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2012年9月30日

青山社中メールマガジンvol.22 現代の大政奉還

青山社中メールマガジンvol.22 現代の大政奉還

今から145年前の旧暦10月、江戸幕府第15代将軍徳川慶喜は、無用な戦を
避けるべく、政権返上を明治天皇に上奏した。大政奉還である。
弱体化したとはいえ、当時の徳川幕府は国内的には相対的に十分強力であり、
「一戦交えるべきだ」等の大政奉還反対論も相当に有力であった中、徳川慶喜
の決断・覚悟は特筆に値しよう。坂本龍馬などは、この慶喜の「覚悟」に大変
感銘を受けたとされる。


そして2012年10月。日本の政治は新たな局面を迎える。民主党代表に
野田佳彦氏が再選されて総理を続投することになり、自民党総裁に安倍晋三氏
が返り咲いて、次期総理の座をうかがうこととなった。これまでの経緯上は
「近いうちに」解散があり、日本の政治は新しい体制で船出をすることになっ
ている。


ただ、早期解散に反対とされる民主党の輿石幹事長の再任などを見るに、いつ
解散総選挙が行われるのか、甚だ雲行きは怪しくなっている。今後は、特例公
債法案や衆議院選挙制度改革法案等の重要法案をめぐり、民主党は、「自民党
も責任野党として、財政に穴を開けるべきではない。審議に協力し、一刻も早
く財源の確保や議員定数の削減を図るべきだ」と主張し、自民党は、「総理の
「近いうちに」解散するという言葉はどうなったのか。一刻も早く民主党は国
民に信を問うべきだ。審議への協力は是々非々だ。」と主張するであろう。泥
仕合が続く公算が高い。


不幸なのは国民である。政治が混乱して物事が動かない状況にうんざりしてい
る。野党の自民党が与党の民主党に全面協力すれば良いのかといえば、民主党へ
の失望感があまりにも強すぎてそういう気分でもないというのが率直なところだ
ろうし、逆に自民党に戻れば良いかと問われれば、「結局同じじゃないの?」と
いう気もしているであろう。大阪市長の橋下氏が率いる「維新」への期待、「グ
レートリセット」への共感が高まっているのも、こうした状況とは無縁ではない
と思われるが、じゃあ、維新ならうまく行くのかと言われれば、そう信じきるこ
ともできないというのが素直な国民感情だ。


さて、解がなくなってしまった。どうしたものか。ここで冒頭の大政奉還である。
野田総理は145年前の徳川慶喜のように「大政奉還」(衆院総選挙および
選挙後の退陣)を行うことを発表したらどうだろうか。そして更に重要なこと
は、単に「大政奉還」を発表するのではなく、その条件として、「主要公党間で
の新たなルール(紳士協定?)づくり」を提案するのだ。法律ではない形で。例
えば、「衆議院と参議院での「ねじれ状況」を極力防ぐために、衆院の解散は、
原則として参議院選挙と同時に行う」ことなどを内容とするものだ。


上記の国民感情を考えれば、こうした「大政奉還」的な身を切る姿勢なくして、
「単に新たなルールを作りましょう」と民主党が言いだしたところで、自己愛に
基づく「延命策か?」としか思わないであろう。また、「単に国民に信を問う
(解散総選挙)」ということを取引材料にして、「新たなルールを作りましょ
う」と呼びかけるのではなく、「まずは身を切る(退陣)」ということを示し、
覚悟を示さなければ国民感情は動かないであろう。「今の民主党のおかれた状況
下での解散総選挙は、すなわち退陣に等しい」という理屈の話ではない。


私は個人的に、特に民主党を毛嫌いしているわけでもなく、特に野田総理につい
ては、むしろ、近年の歴代総理に比べて相対的に高く評価している。また、自民
党に対して特に思い入れがあるわけでもない。しかし、国民が民主党政権に愛想
を尽かしていることは各種世論調査を見るまでもなく明らかであり、また、上記
のとおり、臨時国会では泥仕合になる可能性も低くない。つまり、残念ながら、
野田総理・民主党政権の存続については「正当性」が事実上欠けてしまっている
のだ。自民党としても、かつて、政権を担っていた時期に散々「ねじれ」に苦し
められており、お互いに、一度ずつしんどい思いをさせられてきたということで、
新たなルールづくりのタイミング的にも時宜を得ていると言えよう。


野田総理が自らの身を犠牲にして、こうした政党間でのルールづくりを成功させ、
日本の政治を安定させることができるなら、もしかすると、徳川慶喜並に、
後世に名を残すことになるかもしれない。ちょっと長い引用になるが、徳川慶喜
名で出された「大政奉還の上表文」に記されている一節(の現代語訳)を最後に
ご紹介して巻頭言としたい。


「最近は、外国との付き合いが日に日に盛んになり、ますます政権が一つでなければ
国家を治める根本の原則が立ちにくくなりました。従来の古い習慣を改め、
政権を朝廷に返還申し上げ、広く天下の議論を尽くし、天皇のご判断を仰ぎ、心
を一つにして協力して日本の国を守っていったならば、必ず海外の諸国と肩を並
べていくことができるでしょう。」


筆頭代表 CEO
朝比奈 一郎

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【1】 青山社中フォーラム 開催!

・Vol.10 (2012年10月17日19時~)
松本大氏(マネックスグループ株式会社代表取締役会長兼社長CEO)

・Vol.11 (2012年11月15日18時半~)
谷内正太郎氏(元外務事務次官)
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リニューアル第3弾は、「青山社中ビジネスフォーラム」として、
マネックスグループ株式会社代表取締役会長兼社長CEOの松本大氏をお迎えし、
10月17日(水)19時より御茶ノ水にて開催いたします。
今回は講演ではなく、ご参加頂く皆さまとディスカッション形式で開催致します。

日本が国として抱える課題(財政・社会保障・日本経済、政治、教育等)に関
し、特に今後日本の2-30年を考えるうえで若手世代がリーダーシップをとって解決
してゆくべき課題は何か、その課題について、どのような問題意識をもち、
それぞれの組織でリーダーシップを発揮すべきか等について、議論していきます。

まだ残席はございますので、是非、奮ってご参加ください。

◆青山社中フォーラムVol.10  ゲスト:松本大氏
詳細・お申し込みはコチラ
http://www.wazoo.jp/open/aoyamashachuforum10/


また、青山社中フォーラムVol.11(11月15日(木)18時半~)では、
元外務事務次官 谷内正太郎氏をお招きします。

日本外交の最前線にお立ちになられていた谷内先生に、昨今領土問題で一
時的に悪化の兆候を見せている東アジア周辺国との関係を、中長期的にど
のように再構築すべきかなど、ご講演いただきます。


◆青山社中フォーラムVol.11  谷内正太郎氏講演会
詳細・お申し込みはコチラ
http://www.wazoo.jp/open/aoyamashachuforum11/


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【2】朝比奈が日経ビジネススクールにて連続講座を開始します
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筆頭代表 朝比奈が、日経ビジネススクールにて、11月より「前例なき時代
のリーダーシップ」と題した連続講座の講師を務めさせて頂きます。
9月24日の日本経済新聞朝刊にも掲載頂きましたが、全6回(3テーマ、
各2回)、内2回はゲストにワーク・ライフバランス社長の小室淑恵氏、
コモンズ投信会長の渋沢健氏をお招き致します。
将来の経営幹部を志す方にお勧めの講座となっております。
ご関心のある方は、是非、ご検討いただけますと幸いです。

http://www.nikkei-nbs.com/nbs/seminar/121107AB.html

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【3】青山社中リーダー塾 エクステンションスクール開講しました
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先般よりご案内しておりました、「青山社中リーダー塾 エクステンション
スクール」が、9月13日より開講いたしました。
ご参加戴いた方々はお一人お一人が、バックグラウンド、年齢とも非常に多種
多様で、大変志の高い、共に日本を少しでも良くしていこうという方ばかりです。
おかげさまで、初回も第2回も大盛況のうちに終了しました。
講義後の懇親会も大盛況で、やはり志の近い方同士は盛り上がるということを
改めて感じています。
当日の模様は一部、青山社中オフィシャルfacebookページにて公開しています。
なお、欠席者および途中受講者へは期間限定の映像でのフォローも行っており
ますので、ご興味・ご関心のある方は、是非、途中受講もご検討いただければ
幸いです。

途中受講に関するお申込み・お問い合わせ:office@aoyamashachu.com
(青山社中リーダー塾 エクステンションスクール事務局)

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【4】青山社中リーダー塾より
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今月のリーダー塾は、国家の盛衰(米国、近代日本)を経て、近代
西洋思想に入りました。塾生の活動も、講義以外にも広がり、読書会、
有志による富士山登山など行われています。今月末には、1期生・2期生
合同で、合宿が開催されます。他にも、塾生有志で坐禅体験会や海上自
衛隊幹部学校訪問などを企画しています。

また、塾生有志が立ち上げた、地域から国を変える会では、
9月16日、新潟県十日町市で開催された野外現代芸術の祭典・大地の芸
術祭を視察、市役所と意見交換会を行いました。アートが距離を越え、人を集
め、地域活性に繋がることを実感した視察になったようです。
NPOの活動の模様はこちら(https://www.facebook.com/chiikikara.org)をご覧ください。


★リーダー塾生たち活動の最新情報は、facebookページからご確認ください。
http://www.facebook.com/Aoyamachachu.ldr


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【5】後援隊募集中!11月17日(土)に後援隊の集いを開催します
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現在、青山社中では「青山社中後援隊」を募集しております。
青山社中後援隊は、青山社中の理念・事業に賛同し、活動を後援頂ける方々
による会員組織です。会員の方には、青山社中フォーラムへの会員価格での
優先参加、会員同士の交流会(「後援隊の集い」)の開催など、各種特典をご
用意しております。
次回の後援隊の集いは11月17日(土)17時半~を予定しております。
是非、この機会にご入会をご検討いただけますと幸いです。

後援隊 詳細・お申し込みはコチラ
https://aoyamashachu.com/supporter/index.html


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【6】 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<9月の実績>
【講演】
9月12日 学生のための政策立案コンテスト「GEIL2012」アドバイザー(遠藤)
9月17日 アゴス・ジャパン 特別セミナー「グローバル・リーダーシップ最前線」(朝比奈)
9月29日 第4回コモンズ社会起業家フォーラム(朝比奈)

【メディア】
9月5日 読売新聞 地域面(東京・30面) エクステンションスクールの紹介
9月6日 ビジネス・ブレークスルー ISAK小林りん氏を招き対談(朝比奈)
9月24日 日本経済新聞 日経ビジネススクール「前例なき時代のリーダーシップ」告知(朝比奈)

<10月の予定>
【講演】
10月18日 千葉JCでの講演(朝比奈)
10月19日-20日 日本アイ・ビー・エム株式会社主催「北信越会議 (表題:地域の新たな希望を求めて-大震災から学ぶ真の地域復興)」
パネリスト(桑島)
10月20日 第11回東京大学ホームカミングデ― オイシックス高島社長との対談予定(朝比奈)
10月26日 郡山JCでの講演(朝比奈)


【メディア】
10月6日  日経プラスワン 「リーダーシップの心得」インタビュー(朝比奈)
10月14日 ビジネス・ブレークスルー LIVING IN PEACE 慎泰俊氏を招き対談(朝比奈)

 
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