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2013年3月29日

青山社中メールマガジン vol.28 新学期を前に、「学ぶ」ということについての雑感

青山社中メールマガジン vol.28 新学期を前に、「学ぶ」ということについての雑感


例年より早く桜が開花する中、先日、娘の幼稚園の卒園式があった。園生活の実際は正直あまりわかっていなかったが、そんな私でも、式中、何度かハンカチを目にあてることとなった。娘は4月から小学校に進学し、息子は幼稚園に入る。その下の娘はまだ生まれたばかりだが、あっと言う間に幼稚園生・小学生となるのであろう。

喜ばしいことではあるが、ただ、子供たちの立場に身をおいて考えると、遊んでさえいれば良かったこれまでとは異なり、今後は勉強もせねばならず、大変だなぁ、とも思う。自分の人生を振り返っても、大学受験での失敗をはじめとして、学校での勉強ということについては、正直、苦しい記憶が多く、あまり思い出したくはない。

こうしたことをつらつら思うに、そろそろ、子供たちからの「恐怖の質問」に備えなければならないことを何となく意識する。すなわち、「どうして勉強しなければならないのか」という難問に答えるという、親としての第一関門である。

非常に現実的な答えをするというのが一つの案ではある。つまり「足し算や引き算ができないと、買い物に行って困るぞ」とか「字が読めないと、将来契約を結んだりするときにすぐに騙されるぞ」と言った類の回答である。小学校までは、この戦法は有効だとは思うが、ただ、高等教育に進むにつれ、意味をなさなくなる。微分ができずとも立派に生きていくことは可能だ。しかも、そもそもこの説得方法には、何か違和感がある。確かに基本的な算術や読み書きは出来た方が良いが、「生きていくためには、いい大学に行く必要があり、その試験に出るから」というお仕着せの理由だけで、無理に微分を学んで欲しいとは思わない。

「勉強しないと困るから」という現実路線ではなく、当為から攻めるという方法もあるかもしれない。例えば、佐藤一斎などを持ち出し、「少にして学べば、壮にして成すあり。壮にして学べば、老いて衰えず。老いて学べば、死して朽ちず。」などと説いて、「だから、人間は一生学び続けるべきなのだ。学びながら、人生を一つのドラマのように創っていく。それこそが人間のあるべき姿なのだ。」などとやるわけである。個人的にはこのアプローチが嫌いではないが、ただ、受け手としては、大上段にそんなことを言われても、一部の人を除き、なかなか納得感は得られないであろう。

私が今思う答えは、上記の両方のアプローチを足したものであるが、その本質・原点は、「疑うこと」「考えること」の必要性である。すなわち、特にこれからの混迷の時代、現実問題として、安定的なものは極めて少ない。国家だって、通貨だって、アベノミクスだって、勤務先だって、男女の愛だって、ずっと信頼できるわけではない。いつどうなるか分からない。そんな中、デカルトは、今から400年近く前に、「我思う故に我あり」と唱え、「全ては疑わしいが、そう思っている自分だけは確かである」と説いた。

疑ったり考えたりすること、即ち「思う」ことがないと、特に混乱の時代には現実的に困ることが多々ある。騙されて泣きを見るのは自分だ。また、当為論としても、人間とは「思う」べきなのだ。学問とは、「問うを学ぶ」と書くが、本来、学問をするというのは、自分で問いを立て、問題意識を持つところが原点だと思う。

そして、疑うだけではなく、その中で、何が信じられるのかを追求しなければ生きて行かれない。確信を得るためには、先例やら、他者の考えやら、様々なことを学習しなければならないわけである。その中から自分なりの答えを見つけ出したり創り出したりしながら、それを信じる。「学ぶとは、まね(=真似)ぶこと」だとも言う。先人や他者を参照しながら考えることも重要だ。論語には、「学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」との一節があるが、言い得て妙だと思う。
疑った後、信じるためには、先例やルール等の「勉強」が鍵になる。

さて、疑ったり信じたりする能力をつけるため、どうやって何を勉強すべきか。不世出のプロイセンの宰相ビスマルクは、「賢者は歴史に学び、愚者は体験から学ぶ」と喝破したそうだが、私は、学べればどちらでもいい、とも思う。確かに、書物や講話から得たことも多いが、それ以上に、体験から得たことも多い。第二次安倍政権のここまでの運営のうまさも、主に第一次内閣での「体験」から学んでいると思われる。失敗することも含め、実践してみることもまた重要な「勉強」である。

話は少し変わるが、先日、講演を頼まれて大阪に行ってきた。淀屋橋のあたりで少し時間ができたので、有名な適塾を覗いてみた。幕末に蘭方医の緒方洪庵が開いた塾で、福沢諭吉、大村益次郎、橋本左内など、綺羅星のような人材を輩出している。私は、「当時の最先端の「実学」たる「蘭学」を学んで、出世等に役立てようと思っている優秀な人が集まったのだろう。今で言えば、MBA取得志望者の集まりか」くらいに思っていたが、そうでもないことに気づいた。

例えば、福沢諭吉の「福翁自伝」には、適塾を振り返った記述として、いくつか興味深いものがある。「とにかく当時緒方の書生は、十中七、八は、目的なしに苦学したが、その目的のなかったのがかえって幸せで、江戸の書生よりもよく勉強ができたのであろう。(中略)始終わが身の行き先ばかり考えているようでは、修業はできなかろうと思う。」「緒方の書生が幾年勉強してなにほどエライ学者になっても、とんと実際の仕事に縁がない。(中略)貧乏をしても難渋をしても、粗衣粗食、一見みる影もない貧書生でありながら、智力思想の活発高尚なることは王侯貴人も眼下に見下すという気位で、(略)」などである。実学のイメージとは大分異なる。


何度も強調している「自分なりの問をたて、それに対して自分なりの答えを考える。そのために様々なことを勉強する。」という実学を離れたアプローチは、まさに、この福翁自伝に書かれている適塾の姿に通じるものがある。私が青山社中リーダー塾を設立する際に参考にさせてもらった松下村塾や札幌農学校などと同様、やはり、この実学を離れたアプローチは、時代を超えたリーダー教育の真理であるとの思いを強くした。

幕末もそうだが、混乱の時代には、様々な「学び」がブームになる。現代も、数多くの「塾・スクール」と、多くの「ノウハウ本」が巷に溢れている。しかし、100年後、200年後に評価される塾・スクールや本がどれだけあるだろうか。手前味噌ではあるが、先日、第三期生の募集を開始した青山社中リーダー塾では、こうした原則を大切にしつつ、「国や社会のことを考えて、変革に向けたアクション」を起こす一期生・二期生が結集しており、今後が楽しみだ。

話があちこちに飛んだが、そんなわけで、子供たちや塾生には、あれこれ想いを巡らしながら疑う力(問いを立てる力)と、様々なことを学んで信じる力(自分なりの答えを出す力)と、両方を身につけて行って欲しいと思っている。

さて、今回はかなり長文になってしまい、このエッセイが、「小学校で出される算数の宿題をどうしてやらなければならないのか」、「漢字の勉強がどうして大事なのか」という自分の子供からの問いがあった場合のわかりやすい答えになっているか、はなはだ不安になってきた。が、その問いの答えも自分で探させることが、そもそも大事なのかもしれない。


筆頭代表CEO
朝比奈 一郎


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■日時 (各回 定員20名 先着順)
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-4月6日(土)  14時~15時40分
-4月10日(水)  19時30分~21時10分

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■対象:原則として35歳以下の日本在住者(日本語で「話す・聞く・読む・書く」ことができる者)


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【2】青山社中フォーラム 【参加者募集中!】

Vol.14  (2013年4月22日19時30分~)

黒川 清氏(政策研究大学院大学アカデミックフェロー)

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4月の青山社中フォーラムでは、政策研究大学院大学アカデミックフェロー 黒川清
氏をお迎えします。
東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)でのご経験を踏まえ、
立法府の課題及び中長期的に立法府を改革してゆくべき点、日本の立法府のある
べき姿についてなどをお話しいただきます。
席に限りがございますので、是非、お早目にお申込みください!


◆青山社中フォーラムVol.14  黒川清氏講演会

【主催】青山社中株式会社
【日時】2013年4月22日(月)19:30~21:00
【場所】東京都千代田区神田駿河台2丁目2杏雲ビル4F
    秀明学園 東京本部

詳細・お申し込みはコチラ
http://www.wazoo.jp/open/aoyamashachuforum014


★5月は5月25日(土)開催予定です!
ゲストはコペルニク共同創設者兼CEO 中村俊裕氏です。
詳細は後日お知らせいたします!

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【3】日経ビジネススクール  【参加者募集中!】
「混迷の時代のリーダーシップ」(朝比奈)

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「混迷の時代のリーダーシップ」と題し、
朝比奈の講演、参加者同士のワークショップなどを行います。
本セミナーでは、信念ある自説を持って混迷の時代を切り開く能力を身に
付ける端緒を得ることを目指します。同時に、世界や日本の行方が混沌とする中、
リスクを取って何かを「やりすぎる力」をつけるきっかけとなることを目標とします。
将来的に経営幹部を目指す方にお勧めの講座です。
なお、ご参加いただいた方には、朝比奈の近著「やり過ぎる力」を
サイン入りで進呈させていただきます。

皆さま、奮ってご参加ください!
席に限りがありますので、是非、お早目にお申込みください。

【日時】4月14日(日)13時~17時
【場所】丸の内オアゾ丸善3階 日経セミナールーム
【受講料】一般=18,900円(税込)
     NBS会員=17,850円(税込)

詳細・お申し込みはコチラ

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【4】研究報告を発表いたしました

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弊社が研究協力致しました報告書が、慶應義塾大学大学院経営管理研究科、
岩本隆特任教授より発表されました。

『消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する
法律案』に関する経済的ポテンシャルインパクトシミュレーションの研究報告書

https://aoyamashachu.com/pdf/report.pdf

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【5】公務員制度改革に関する大臣意見交換会でお話させていただきます(朝比奈)

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4月上旬に開催予定の稲田公務員制度改革担当大臣主催の意見交換会に
弊社筆頭代表朝比奈が、「有識者」として参加し、今後の公務員制度のあるべき姿
についてお話させていただきます。


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【6】採用情報―筆頭代表CEO秘書を募集いたします

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この度、弊社では筆頭代表CEO朝比奈の秘書を募集いたします。
政界から行政、経済界など幅広い分野の方々との日程調整や、
講演資料作成のお手伝い等、様々な場面で朝比奈を補佐し、活躍していただきます。
ご関心のある方は、是非、奮ってご応募ください!


【募集要項】
◆仕事内容
・ CEO秘書業務
・ 受付業務(電話応対・来客応対など)
・ 庶務業務(資料整理、外出用務など)

◆勤務条件
勤 務 地: 東京都港区南青山
勤務時間: 1日8時間(9時30分~18時30分。休憩1時間。)
休  日: 土・日・祝日、年末年始、その他会社が定める日
     (ただし、繁忙期は時間外・休日勤務あり)
有給休暇: 採用から半年間勤務後は有給休暇あり
雇用期間:2013年4月下旬~5月上旬(応相談)より1年間(更新する場合あり)、試用期間3カ月
雇用形態:契約社員

◆待遇
給与:時給1,100円(通勤手当あり、賞与なし)
福利厚生:社会保険・労働保険加入

◆応募資格
・ 学歴不問
・ 基本的なPCスキル(メール、Word、Excel、PowerPoint)
・ 庶務業務を厭わない方
・ 弊社の企業理念に共感して頂ける方
・ 秘書業務経験者歓迎

◆応募方法
履歴書(写真付き)と職務経歴書を郵送にてお送りください。
後日、担当者からご連絡させていただきます。

宛先:〒107-0062
東京都港区南青山2-19-3サザンキャッスルビル2F
青山社中株式会社 採用担当 行


本件に関するお問い合わせ:青山社中株式会社 採用担当
office@aoyamashachu.com / 03-5474-8995


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【7】 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ


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<3月の実績>
【講演】
3月21日 政経倶楽部(大阪)(朝比奈)
3月24日「和光市長政策公約検証会」委員長(遠藤)
3月27日 民族の会(民間企業から官庁出向者で組織される会) (朝比奈)


【メディア】
3月7日 CSビジネス・ブレークスルー757ch(20:00~)「社会変革型リーダーの挑戦」最終回(朝比奈)
3月10日・24日(3月31日再放送) BS JAPAN 「一柳良雄が問う日本の未来」
一柳良雄氏/学習院女子大学長  石澤靖治 氏/株式会社インテカー 代表取締役社長 齋藤ウイリアム浩幸氏との対談(朝比奈)
3月11日 bookvineger 朝比奈書籍書評http://www.bookvinegar.jp/book/12268/index/
3月14日 東京新聞 インタビュー(朝比奈)
3月21日 現代ビジネス 寄稿(朝比奈)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35157
3月29日 WooRis 朝比奈書籍に関する女性向け記事
http://wooris.jp/archives/15649
http://wooris.jp/archives/15656

<4月の予定>
【講演】
4月16日 ファイテン株式会社(朝比奈)
4月16日 立命館大学 「立命館 霞塾」(朝比奈)

 
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