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2012年12月27日
青山社中メールマガジンvol.25日本の政治についての短期予測と中長期予測
「近いうちに解散」「嘘つき」と泥仕合の様相を見せていたのに、気がつけば、あっという間に衆議院の解散総選挙が実現しあれよあれよと自民党が圧勝して終わった。自民党・公明党を合わせると衆議院の議席は2/3を超えることになったため、いわゆる「ねじれ国会による国政の停滞」懸念もある程度は払拭されることとなった。
こうした状況下、組閣も終わり、いよいよ安倍政権が本格的に稼働する。前回の安倍政権の最大の失敗は、憲法改正・教育改革・公務員制度改革その他、「戦後レジームからの脱却」という名の下に、一気に「あれもこれも」やろうとしたことであると言われており、今回は、「優先順位」を明確化し、7月の参議院選挙までは、「安全運転」に徹すると言われている。現に、竹島や尖閣については、当面は公約を先送りする模様だ。
まずは、景気回復(デフレ脱却)に注力するという選択は懸命だと思う。
その景気回復に関しては、いわゆる「マクロ政策」については、金融緩和・財政出動を最大限に行うことはほぼ既定路線となっている。日銀法改正を「ブラフ」としつつ(実際には行わず)、3月~4月にかけての副総裁・総裁人事も活用しながら、緩和姿勢を求めることになろうかと思う。ただ、人事案件については、衆議院での再議決が使えないので(「ねじれ国会」の影響を受けるので)、世論の支持を睨みながら慎重に行わざるを得ない。
財政出動については、当面は補正予算の10兆円が既定路線化しつつあるが、焦点は、今後の個別政策の動向であろう。金融・財政政策はあくまで「薬」であり、体質をどう変えるかが鍵となる。総理秘書官(政務)や総理補佐官人事から、私の古巣である経済産業省の影響が強くなるのではないかと巷間言われているが、民主党の「コンクリートから人へ」に対するアンチテーゼで考えても、そのことはほぼ間違いないと思う。
すなわち、民主党による「医療や介護など福祉関係の従事者を増やし、失業率を低く抑えることに成功した」という主張に対して、「製造業等で450万円の年収をもらっていた人たちを、300万円の介護労働者に移しただけではないか」と反論し、製造業等がオフショアリングによって海外に行かないよう、また、雇用を守るために国が積極的にお金を入れて企業が工場閉鎖や倒産から免れるよう、様々な政策ツールを活用するという方向で、バランスをどのようにとるかという問題である。大きな文脈では、例えばTPP参加表明により大きな打撃を受ける農家に対する「補償」なども、このカテゴリーに入ると言えよう。
個人的には、大きな文脈として、この方向性は多少は仕方がないし、やむを得ないと考えている。ただ、例えば、年明けから、既に取り沙汰されているNECやシャープの地方工場や本体の動向が本格的に俎上に乗りかねない中、プレゼンテーションを誤ると、「日本は、非効率な業種や産業を、何でもかんでも国が保護して守ろうとしている」というメッセージにもなりかねず、せっかく上がりつつある株価にも悪影響を及ぼす可能性がある。また、歯止めなき財政出動にもつながりかねないことから、例えば、財務省vs経済産業省のような霞ヶ関の「内ゲバ」(?)にもなりかねない。実際に、官房副長官人事や内閣参与の人事では、一般的には大幅な財政出動にネガティブな財務省にも一定の配慮をしている。
したがって、しばらくは、薄氷を踏むような形で、かなり慎重な「ミクロな」経済運営が必要になろう。安倍政権が、何とかうまくこの数ヶ月を乗り切って、私の悲願である「霞ヶ関改革」など、本格的な「戦後レジームの脱却」に乗り出してくれることを期待したい。
さて、最後に、つらつらこの20年ほどを振り返った所感を述べたい。つまるところ、「既存の体制ではダメだ!」という勢力が持ち上がっては、従来型の自民党体制に戻る、という繰り返しの20年だったような気がする。確かに、細かな改革は徐々には進んでいるものの、明治維新等に匹敵するような本格的なガバナンス改革には至らないうちに、ズルズルと国力が後退していった20年とも言えよう。
まだ私が学生だった90年代前半。熊本県知事だった細川護煕氏が、「地方からの決起」ということで、日本新党を結党し、新党さきがけなどと合わせて新党ブームが起こった。そして、細川氏は、総理大臣に就任することとなった。細川政権は政治改革などについてある程度の成果はおさめたものの、本格的なガバナンス改革には至らないまま、自社さ政権→自民党政権という形で自民党が復帰した。
その後、「自民党をぶっ壊す」という小泉政権が誕生し、郵政民営化などで一定の成果を上げたが、これまた、本格的なガバナンス改革には至らず、結局は、福田政権・麻生政権というある意味「典型的な」自民党政治に戻った。
そして、民主党が、「しがらみのある自民党では改革はできない」ということで「政権交代」を果たし、戦略室の設置や行政刷新を掲げて(注:刷新会議は本来、「仕分け」だけをする場ではなく、国と地方の関係なども見直すことになっていた)、ガバナンス改革を目指すも頓挫し、このたび、自民党政権に戻ったわけである。
「改革狂騒曲には疲れた」「改革、改革と叫ぶな」という意見も少なくないが、個人的には、維新や戦後のように大きく飛躍をするための改革は必要であると考えており、「保守するための改革」の実施こそが我が国の伝統を作ってきたと考えている。この度、誕生した安倍政権が、単なる懐古主義に走るのか、ニュー自民党となって新たなレジェンドを作るのか、刮目して注視したい。
筆頭代表 CEO 朝比奈 一郎
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【1】 オフィス移転のお知らせ
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弊社はこの度オフィスを移転し、12月26日(水)より新オフィスにおいて
営業を開始しました。 今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜ります
よう、お願い申し上げます。
<新住所>
東京都港区南青山2-19-3 サザンキャッスルビル2F
MAP: https://aoyamashachu.com/about/access.html
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【2】政策支援サービス(総選挙で全員当選)
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弊社では、議員・選挙候補者向けの政策支援サービスを行っております。
今回の衆議院総選挙に際しても、個人のホームページに掲載する政策案、
選挙公報・選挙用ビラ、演説原稿などの作成を行いました。
その結果、おかげさまで、弊社で担当させて頂いた候補者3人が全員当選
することができました。
弊社では、引き続き、議員・選挙候補者の皆様の政策サポートを行っております。
ご関心のある方は、こちらのページで詳細をご覧ください。
https://aoyamashachu.com/project/thinktank/support.html
お問い合わせ:office@aoyamashachu.com(担当:遠藤)
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【3】プロジェクトKより出版のお知らせ
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このたび、NPOプロジェクトKは新著『霞が関から日本を変える』(マイナビ新書)を出版いたしました!3冊目である今回のコンセプトは、内外で働く若手メンバーの息づかい、メッセージを広くお伝えすることです。メンバーが日々感じている問題点や悩みを、個人の経験やエピソードを通じて自らの言葉で語りかけます。
この想いを通じて、プロジェクトKの活動やその目指すところを、多くの方に知っていただければ幸いです。ぜひ、ご一読ください! http://www.amazon.co.jp/dp/483994525X
また、今回の新著出版を記念しまして、平成25年1月20日(日)に『第16回架け橋企画』を開催いたします。
今回は、『今、求められる霞ヶ関改革 ~行政の経営戦略~』をテーマに、新著の著者メンバーであり、現在、自治体の幹部として活躍中の、小紫(生駒市副市長)、久保田(陸前高田市副市長)、福嶋(尼崎市理事)によるパネルディスカッションを行う予定です。こちらも、みなさまからのご参加をお待ちしております。
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【4】青山社中リーダー塾より
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11月は、朝比奈の経験を踏まえた新しい霞ヶ関を創る若手の会(プロジェクトK)のこれまで、組織作りのコツ、日本の現状分析、目指すべき国家像などを学び、議論しました。塾生の自主活動もさらに活発になっていき、来年に向け、
渋沢栄一記念館訪問や大学生・高校生を対象としたイベント企画など、
様々な企画が具現化されています。
★青山社中リーダー塾2013年度版パンフレットが出来ました。
ご希望の方はこちらからお申し込みください。
https://aoyamashachu.com/contact_pdf/index.html
2013年のリーダー塾無料説明会日程(予定)************
・2月20日(水)19:30~
・3月30日(土)14:00~
・4月6日(土)14:00~
・4月10日(水)19:30~
・4月13日(土)14:00~(相談会のみ)
※申し込みは来年1月より開始いたします。
たくさんのご参加、お待ちしております!
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<地域から国を変える会より>(※塾生有志で立ち上げたNPOです。)
小学校で手を挙げて解答して誉められる、ワークショップ(WS)はその懐かしい快感の繰り返しです。12月15日、三条市の皆さんとWS講習会を実施しました。来年には商店街で大規模なWSを行う予定です。模擬テーマとして、町のメインストリート活性化策について議論しました。私たちのWSは、否定しない・傷つけない・長く話さないがルールなので、出した意見は殆ど吸い上げられ、ファシリテーターが捌いていきます。最初は座って議論されていましたが、高揚感からとても座ってはいられず、立ち上がって、白熱したものとなりました。次は、WSという着火点をアクションにつなげていきます。
NPOの活動の模様はこちら(https://www.facebook.com/chiikikara.org)
をご覧ください。
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【5】年末年始休業のお知らせ
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誠に勝手ながら、弊社は下記の通り休業させて頂きます。皆様にはご迷惑を
お掛けしますが、何卒ご容赦願います。 今年一年お世話になりまして、大変
感謝申し上げますとともに、皆様のご多幸をお祈りいたします。
<年末年始休業日>
2012年12月29日(土)~2013年1月6日(日)
※2013年1月7日(月)より平常通り営業させて頂きます。
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【6】 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<12月の実績>
【講演】
12月18日 小西洋之参議院議員主催セミナーでの講演(朝比奈)
12月21日 東京大学公務員内定者及び志望者によるコミュニティ「Roots」講演(朝比奈)
12月22日 IGS 未来のグローバルリーダー育成スクール 中高生向け講演(朝比奈)
12月23日 NPO法人アイセック・ジャパン 政策研究大学院大学アカデミックフェロー 黒川清氏,
経済産業省産業人材政策担当参事官室室長 奈須野太氏、オイシックス株式会社社長 高島宏平氏とともにパネルディスカッション(朝比奈)
【メディア】
12月 Z会公務員2013年度試験 国家総合(法律)専門対策講座「公共政策」「政策論文」(遠藤)
12月6日 CSビジネス・ブレークスルー757ch 游仁堂CEO金田修氏を招き対談(朝比奈)
12月10日 日経ビジネスアソシエ(1月号) 特集「新しい働き方」インタビュー(朝比奈)
12月30日 BS JAPAN 「一柳良雄が問う日本の未来」(11:30~)ゲスト出演(朝比奈)
<1月の予定>
【講演】
1月10日 政経倶楽部での講演(朝比奈)
1月15日 小斉太郎みんなの党(衆議院)東京都第一区支部長主催勉強会での講演(朝比奈)
1月21日 K.I.T虎ノ門シンポジウムでの講演(朝比奈)
【メディア】
1月 月刊グローバル経営(一般社団法人日本在外企業協会発刊)寄稿(桑島)
1月8日・15日 週刊SPA!(1月15日号/22日号)『革命前夜のトリスタ(トリックスター)たち』(前篇)上杉隆氏との対談(朝比奈)
1月10日 CSビジネス・ブレークスルー757ch(20:00~) YJキャピタル株式会社COO小澤隆生氏を招き対談(朝比奈)
1月13日・27日 BS JAPAN「一柳良雄が問う日本の未来」(前編・後編/11:30~)ゲスト出演(朝比奈)