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2013年10月31日

青山社中メールマガジン vol.35 「企てる」ということ雑感

青山社中メールマガジン vol.35 「企てる」ということ雑感

「アベノミクスの本質は精神運動である」
最近、ある政府要人から聞いた言葉である。「何を言っているのか。経済政策は具体策が鍵だろう。」と考える方々を中心に、恐らく違和感を持つ人も少なくないかとは思うが、私はその言葉を聞いた瞬間、ある種の心内のモヤモヤが氷解した気がした。

経済産業省職員として、パッケージ型インフラ輸出など、民主党政権下の「成長戦略」の一部分の策定に携わった経験を含め、それこそ、いくつもの「成長戦略」「総合経済対策」等々の策定プロセスとその帰趨を見てきた経験を踏まえれば、政府の経済対策というのは、アベノミクスで言えば一本目と二本目の矢、即ち金融・財政政策が本質である。つまり、三本目の矢(個別の経済活性化策/産業政策)というのは、「側面の側面支援」でしかない。かつての例で言えば、法律に「産業活力の再生」「産業の革新」などと銘打ったところで、政府ができることは、誤解を恐れずに表現すれば、税制の優遇や補助金と言うインセンティブ付与くらいなのである。それなりの意義を認めるにやぶさかではないが、それで産業が再生するのであれば、世界中の産業は至るところで花開くに違いない。

つまり、現在、日本シリーズが大詰めを迎えている野球にたとえて言うならば、1リーグ制の議論をしたり、ドラフト制を導入したり、外国人選手枠を決めたり、種々の環境整備をするのが、いわば、政府の「三本目の矢」の中身である。それはそれで、各球団や選手の今後を左右する非常に大きな要因ではあるものの、あくまで、日々の戦い方を工夫したり、選手を入れ替えたり、練習を重ねたりして、チームを強化するのは現場の仕事である。経済の話に戻すなら、各企業・各個人がどう主体的に動くかが鍵であり、制度を変えても弱いチームは弱い。

したがって、政府とよくコミュニケートしたり、政府の制度をうまく活用したりすることは重要なのだが、弱いからと言って、政策頼みになるのは長期的に見て愚の骨頂である。逆に「また政府の成長戦略だってさ。何度目だよ。」「どうせ、刺さらないよ」と突き放す行為にも何の意味もない。状況を受け、各主体がどう動くかが重要であり(場合によっては制度の変更を求めて動くことも含め)、刺さらない政策を単に嘆いたり論難したりするのは筋違いというものだ。

今回の産業競争力強化法については、中身に様々な工夫が凝らされていることは誠に素晴らしいとは思うが、当然、安倍政権になったからと言って「打ち出の小づち」のように、これまでの成長戦略にはなかった新しい政策がバンバン入るわけではない。盛り上がった気分の中で、市場のプレイヤーたちが様々にチャレンジしたくなるように、「機運」をつくることが三本目の矢の本質なのだ。その意味で、私は、安倍政権は、政策の「詰め」ばかりでなく、故土光敏夫氏が中曽根行革の象徴となったように、竹中平蔵氏が小泉改革の広告塔となったように、例えば象徴的な人を全面に出すなどして、雰囲気作り、PRに努めるべきだと考える。

さてそれでは、民間サイドは、三本目の矢が刺さるように、即ち、経済を活性化させるべくイノベーションを主体的に起こすために、何に努めなくてはならないのだろうか。「真面目に、ぶれずに、やり抜く力」こそが日本(人)の強みなのだから、それを活かすべき、という人もあれば、或いは、「タフな決断」が日本に欠けているので、リスクを取ったアクションをとることに注力すべき、などの言葉をよく聞く。いずれもその通りだとは思うのだが、最も大切なのは、全ての前提とも言える、そもそもの「構想力」「企画力」やそれを導き出す「想像力」ではなかろうか。

トヨタの強さは、「かんばん」「ジャスト・イン・タイム」「自働化」などの用語に代表されるその無駄のない生産方式、生産システムが強調されがちだが、実は注目を集めている「製造」の前段階にある企画力や設計力がもっと注目されるべきだとの議論がある。ハイブリッド生産にいち早く取り組むことのできるその企画力・設計力の凄さ。その意味では、例えば、典型的なファブレスメーカーとして、企画・設計力が賞賛されてきたアップルとトヨタとは、一見真逆に見えて、実は同じだということだ。

日本から大きなドラマが消えて久しい。大きなドラマとは、まさに構想したり、企画したりする力から生み出される。確かに本質的には、ニーチェが言うように、弱者のルサンチマンが人類から勇者のドラマを消してしまったのかもしれない。しかし、大衆社会に移行した後でも、学問の世界、ビジネスの世界、官僚の世界、そして政治の世界のそれぞれにおいて確実に大きなドラマを提示してきた系譜はあった。その可否はともかく、知識集約(Knowledge Intensive)な社会を作ろうという構想、日本列島を大きく改造していこうという構想、水道哲学と呼ばれる発想、不均衡動学という名の近代経済学へのチャレンジ、などなど枚挙にいとまがない。そして、こうした個々の主体の「企画力」がまた「機運」を創ってきたことも事実である。ビジネスサイドはもちろん、政治や行政の世界にもまた、「企画力」が求められている。

「企」という字は、立ち止まって遠くを見る様を表す漢字だと聞いた。激しく動く現代社会において、立ち止まる暇はなかなかないかも知れないが、ビジネスの世界で過去の文明品がどのように世界を席巻してきたのか、経済学はどのような大きなコンセプトを提示してこれまでの常識を崩してきたのか、偉人たちは政治を通じてどのように社会を大きく動かしてきたのかなど、気宇壮大に古今東西・過去未来の動きに想いを馳せつつ、大きなドラマを創るべく、未来に向かって一歩踏み出す時かもしれない。産業競争力強化法の審議入りを横目で見つつ、ふと、そんなことを思う。

筆頭代表CEO
朝比奈 一郎

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【1】  青山社中フォーラム2週連続企画

             ~ 今、この女性リーダーに訊きたい~

    11月27日(水) 青山社中フォーラムVol.18
                 江川 雅子 東京大学理事 講演会

    12月7日(土) 青山社中フォーラムVol.19(プロジェクトK共催企画)
          稲田 朋美 行政改革、公務員制度改革担当相 講演会

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11月27日(水)は、外資系金融機関勤務やハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センター長としてグローバルにご活躍されてきた江川雅子東京大学理事、12月7日(土)は、行政改革、公務員制度改革担当大臣として日本政治の中枢で日々ご奮闘されている稲田朋美氏をお迎えいたします。

 ■江川 雅子 東京大学理事 講演会■
【参加登録はこちらからお願いします】http://www.wazoo.jp/open/af18/
【日時】11月27日(水)19時30分~21時
【場所】青山社中オフィス(最寄駅 外苑前)
【内容】19時~受付開始
      19時30分 開会
      19時35分~講演
      20時30分~質疑応答
      21時 閉会
【参加費】講演会2500円 ※懇親会は開催いたしません
◎江川 雅子氏略歴
東京大学教養学部卒業、ハーバード大学経営学大学院(ハーバード・ビジネス・スクール)卒業 、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了、ソロモン・ブラザーズ本社入社、ウォーバーグ証券会社(現、UBS 証券会社)入社、2001年より2009年までハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センター長として日本企業の研究およびケース作成に携わる。2009年4月より現職。

■稲田 朋美 行政改革、公務員制度改革担当相 講演会■
【参加登録はこちらからお願いします】http://www.wazoo.jp/open/af19/
【日時】12月7日(土)16時~17時45分
【場所】TKP市ヶ谷カンファレンスセンター7A(最寄駅 市ヶ谷)
【内容】15時30分~受付開始
      16時 開会
      16時5分~講演
      17時~質疑応答
      17時45分 閉会
 【参加費】講演会のみ2500円、講演会+懇親会6500円
◎稲田 朋美氏略歴
早稲田大学法学部卒業、第37期司法修習生、弁護士登録、第44回衆議院議員総
選挙より連続当選、自由民主党副幹事長など要職を歴任。
現在、第二次安倍内閣で内閣府特命担当大臣(規制改革)、行政改革、公務員制
度改革担当大臣、クールジャパン戦略担当大臣、再チャレンジ担当大臣。

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【2】 青山社中リーダーシップ・公共政策学校政策系講座が開講!

    伊佐山建志氏、熊谷俊人千葉市長による「現代のリーダー編」

    授業のみの申込みも可能です

     (2014年3月12日(水)、26日(水)実施)

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10月24日、政策系講座が開講しました。
竹中治堅氏による講義は、初回から大幅に延長、質問が飛び交い白熱教室となりました。
また、伊佐山建志氏、熊谷俊人千葉市長をゲスト講師としてお呼びいたします「リーダーシップ系講座 現代のリーダー編」のみなど、皆様のご都合に合わせたお申込みが可能です。
引き続き受講申込みの受付をしておりますので、申込みはこちらのサイトからどうぞ。
(https://aoyamashachu.com/project/leader_extension/admission.html )
過去の講義についてのビデオ受講閲覧が可能です。

■リーダーシップ系講座 第13回(3月12日(水))
ゲスト講師:伊佐山建志氏(元特許庁長官、元日産自動車副会長、前カーライル・グループ日本法人会長)
33年に渡る通産官僚としてのご経験、及びその後の日産自動車、カーライル・グループ(投資ファンド)でのご経験を踏まえ、パブリック及びビジネスの双方の視点から今日本に必要なリーダーシップについて、グローバルな視点も交えつつ、幅広くご講演を戴きます。

■リーダーシップ系講座 第14回(3月26日(水))のゲスト講師:熊谷俊人千葉市長
30代の現役の千葉市長として日々ご奮闘されている熊谷氏に、市政におけるチャレンジ、特にどのようにリーダーシップを発揮してきたか、を中心にご講演を戴きます。
また、ご講演の他、青山社中リーダーシップ・公共政策学校(リーダーシップ系講座)受講者とディスカッションをしていただく予定です。

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【3】 産経新聞創刊80周年シンポジウム「目覚めよ日本力」

    パネルディスカッションに弊社筆頭代表朝比奈が登壇します

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11月5日(火)開催される、産経新聞創刊80周年シンポジウム「目覚めよ日本力」に朝比奈が登壇、大宮英明氏(三菱重工業(株)会長、川本裕子氏早大大学院教授、近藤史朗氏(株)リコー会長、冨山和彦氏(株)経営共創基盤CEOらと、日本の潜在する力をどの分野でどのように活かしていくか語ります。

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【4】 桑島共同代表CFOがモンゴルを訪問、

    Economic Club of Ulaanbaatarにて講演します

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桑島共同代表CFOが、11月1日にモンゴルのウランバートルにて開催される
Economic Club of Ulaanbaatarにて、モンゴルの政財界の方々(100人程度)向けに日本の政治経済の状況について講演します。日本とモンゴルの関係は様々なイシューがありますが、相撲力士をはじめ、先日も大規模な訪日団が来るなど親日国の一つです。
多くの有力関係者との面会がセットされておりますので、改めて現地報告をさせていただきます。

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【5】 東京JC主催リーダーシップ育成フォーラムにて

    朝比奈が講演&高校生による公開ディスカッションの

    コーディネーターを務めました

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これからの日本が決断し、解決していかなければならない諸問題について、現役高校生とディスカッションを行いました。冒頭、諸外国と比較した留学への意識、原発問題の論点をテーマとし、基礎情報について講義したうえ、未来を創る若きリーダーとの議論を実施しました。
大変有意義なもので、高校生たちの地頭の良さに触れ、日本の未来は明るいと感じる企画となりました。

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【6】 青山社中リーダー塾通信

    ゲスト講師にミドリムシカンパニー・ユーグレナ出雲社長

    をお呼びし、合同クラス開催しました

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10月26日(土)青山社中リーダー塾では、ミドリムシカンパニー・ユーグレナ出雲社長をお呼びし、第1期生から第3期生までが集う合同クラスを開催しました。
農学部で奇跡の生物「ミドリムシ(ユーグレナ)」に出会われ、色々と起業の苦労を経て、世間の期待を集める企業に育てあげた出雲氏の経験談は塾生の「アクション」を考える上で、大きな励みとなりました。
また、塾生の取組み発表も同時に開催し、第3期生による活動の芽も芽生えてきており、今後の飛躍をこのメールマガジンでお伝えできる日も近いと思います。どうぞご期待ください。

<チイキカラ(NPO法人地域から国を変える会より>
 (※塾生有志で立ち上げた団体です。)

チイキカラでは10月の三連休、地域活性に関連した施設が集まる注目の四国エリア
を視察しました。香川(丸亀商店街等)、徳島(神山町で古民家を活用したITオフィス)、淡路島(廃校利用ののじまスコーラ等)の注目エリアには、ピラミッドに「ボス」が君臨しているのではなく、アメーバの中に「リーダー」が存在していました。
今回の視察、共通して言えるのは、人口減少・高齢化という現実に、皆さんポジティブに対峙し、「正しく縮めていこう」という意欲に溢れていることです。

◎詳しい視察内容はチイキカラfacebookをご覧ください。
https://www.facebook.com/chiikikara.org
◎チイキカラホームページが仮オープンいたしております
(http://www.chiikikara.org/ )

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【7】 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ

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<10月の実績>
【講演等】
10月10日(木)「ビジネス&パブリック秋の交流会@六本木ケントス」地域から国を変える会活動紹介(大山)
10月17日(木)「やり過ぎる力~混迷の時代を切り開く真のリーダーシップ論」(Oze ライブラリー主催)(朝比奈)
10月27日(日)「リーダーシップ概論講義」(G1東松龍盛塾主催)(朝比奈)
10月30日(水)「リーダーシップ育成フォーラム 講演&公開ディスカッションコーディネター」(公益社団法人東京青年会議所主催)(朝比奈)
【メディア】
10月18日(金)「ニュースeye8(群馬テレビ)」、10月19日(土)朝日新聞群馬県面、10月19日(土)群馬建設新聞(Ozeライブラリーでの講演の模様:朝比奈)
WEB「BigLife21  アメリカ現政権の日本の見方」(http://biglife21.com/topics/869/ )(桑島)
10月25日(金)発行「かがり火 №153」(朝比奈インタビュー記事掲載)

<11月の予定>
【講演等】
11月5日(火)「産経新聞創刊80周年記念シンポジウム 目覚めよ日本力パネリ
スト」(産経新聞社主催)(朝比奈)
11月7日(木)「職員向け講演会」(三条市役所主催)(朝比奈)
11月9日(日)「PMI Japan Festa 2013講演 混迷の時代をいかに生き抜くか」

(朝比奈)
【メディア】
11月1日(金)発行「月刊ガバナンス 11月号」のFace欄にインタビュー記事掲載(朝比奈)
11月中旬予定 WEB「リクルートワークス研究所才能を開花させた人たち」インタビュー記事掲載(朝比奈)

 
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