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2013年8月30日

青山社中メールマガジンvol.33技術の国のリーダーシップについて想う

青山社中メールマガジンvol.33技術の国のリーダーシップについて想う

製造業における他国の追い上げが激しいとはいえ、我が国が未だに「技術大国」であることに異論を唱える人は少ないであろう。世界で最古の磨製石器や縄文土器は、現在のところ日本出土のものと考えられており、日本人の職人気質や求道精神は、かなり年季の入ったものと言える。科学の国か技術の国かという二分法を興味深く聞いたことがあるが、諸街道や水道橋を整備し、あっという間に遠征先で巨大な陣営を構築できた古代ローマなどと並び、我が国は伝統的な技術国家だと思う。

各所で話題となっている映画『風立ちぬ』(宮崎駿監督)の一つのモチーフも我が国の技術である。遅れてきた文明国の日本において、ゼロ戦を開発することになる技師の主人公堀越二郎が、持ち前の「求道精神」で、性能の良い夢のような飛行機を作り上げていくプロセスはこの国の一つのあり方を象徴している。ゼロ戦が如何に世界で恐れられていたかについては、ベストセラーとなっている『永遠の0(ゼロ)』(講談社文庫 百田尚樹著)にも活写されているが、一般論として、とても飛行機後進国だった国の技術者が開発できるような代物ではない。
私見では、この映画自体、宮崎駿監督がこれまで追い求め続けてきたものを集大成的に表現している名作で、まさに彼の「求道精神」を体現していると思われる。この映画の良さが本能的に分からない人は、芸術を解するセンスに欠けると言うか、スポーツの世界で言えば私のように運動神経の悪い人、という事になると思うが(運動神経がなくてもスポーツを楽しむことは自由であるように、センスのない人の映画鑑賞を否定しているわけではないことは言うまでもない)、本論とは関係ないので詳細には立ち入らない。内田樹氏の論評が秀逸だと思う。
(http://blog.tatsuru.com/2013/08/07_1717.php )

さて、日本人の「求道精神」についてである。先日、新潟県の燕三条地域に行き、複数の鍛冶職人や関連ビジネスをされている方々の元を訪れ、話を聞いたり現場を見せてもらったりする機会があった。一枚の銅板からやかんを作り上げてしまう技術や、鍛造を繰り返すことで圧倒的な切れ味の包丁を創る技術など、恐らくは世界に類がないと思われる技の数々に驚嘆した。私は常々、混迷の時代たる現代にあっては、特に、前例や横並びを乗り越えていく「やり過ぎる力」が必要であるというリーダーシップ論(指導力ではなく始動力)を展開しており、同名の著作も出版しているところだが、まさに、前例のない製品に向けて試行錯誤を重ねた結果が、すなわち、「やり過ぎる力」が行きついた先が、こうした究極の技術であると感じた。「求道精神」の体現とは「やり過ぎる力」に他ならない。

しかし、先述のように鍛冶技術などをうまく活用している事業所は数が限られており、経営の苦しさやそれに起因する後継者不足などで商売をたたんでいる事業所も少なくないと聞く。単に一つの技術を極め続けるという求道精神だけでは生き残りにくい時代となっている。成功しているところの多くは、そうした技術の「見せ方」、すなわちデザインなどについても、求道精神を発揮している。つまり、切れ味の良い包丁に、機械では出せない美しい装丁を施したり、さびを活用して銅器に多様な色彩を加えたりして、別の究極の技術も融合させ、消費者の購入意欲を視覚からも刺激している。仮に、本来的な技術のみを追求する求道精神を「狭義の求道精神」と呼ぶならば、後者は「視野の広い求道精神」とでも呼ぶことが出来よう。珠玉の技術が「婚活しない美女」として終わらないようにするためにも、我が国に「視野の広い求道精神」が必要だと思う。(結婚しない生き方を個人として否定しているわけではない。あくまで分かりやすいレトリックとしてご理解いただきたい。)

国語の教科書作成という特定の分野ではあるが、こうした我が国が大切にするべき「視野の広い求道精神」について考えさせられる名著が、最近出版された『国語教科書の闇』(新潮新書 川島幸希著)である。なぜ、数ある高校の現代文の教科書に、ほぼ例外なく「羅生門」「こころ」などが使われているのかを構造的に解明しつつ(教科書検定のプロセスでこれらの作品の使用が義務付けられているわけではない。念のため。)、結論として、「狭義の求道」としての「羅生門を教えるプロ」「羅生門を入れて教科書をつくるプロ」が跋扈する体制から、何が最も教育現場にふさわしく、生徒の関心を引き出すような小説なのかを真剣に見直すべきとの「視野の広い求道精神」を持った本質を追求する人が増えることを期待している。教員、生徒、教科書編集者などの様々な関係者たちがそれぞれに真の求道精神を発揮するべきであろう。

燕三条地域や日々の読書の中での感想をつらつらと書いてみたが、いずれにせよ、我が国の社会の各所で、「狭義の求道精神」から、「視野の広い求道精神」への転換が起こること、すなわち一つの道の追求だけという前例を乗り越える「やり過ぎる力」が発揮されることが、強く求められている気がしてならない。

筆頭代表CEO
朝比奈 一郎

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【1】ゲスト講師に伊佐山建志氏、熊谷俊人千葉市長

   「青山社中リーダーシップ・公共政策学校」受講申込み受付中

   受講申込み締め切りは、9月15日です。

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「青山社中リーダーシップ・公共政策学校」リーダーシップ系講座 現代のリーダー編のゲスト講師が以下のお二方に決定いたしました。

■リーダーシップ系講座 第13回(3月12日(水))
ゲスト講師:伊佐山建志氏(元特許庁長官、元日産自動車副会長、前カーライル・グループ日本法人会長)
33年に渡る通産官僚としてのご経験、及びその後の日産自動車、カーライル・グループ(投資ファンド)でのご経験を踏まえ、パブリック及びビジネスの双方の視点から今日本に必要なリーダーシップについて、グローバルな視点も交えつつ、幅広くご講演を戴きます。

■リーダーシップ系講座 第14回(3月26日(水))のゲスト講師:熊谷俊人千葉市長
30代の現役の千葉市長として日々ご奮闘されている熊谷氏に、市政におけるチャレンジ、特にどのようにリーダーシップを発揮してきたか、を中心にご講演を戴きます。
また、ご講演の他、受講者とディスカッションをしていただく予定です。

■「青山社中リーダーシップ・公共政策学校」受講のお申込みはこちらからどうぞ。
(https://aoyamashachu.com/project/leader_extension/admission.html )

■「青山社中リーダーシップ・公共政策学校」無料説明会(模擬授業)のお申込みはこちらからどうぞ。
(http://www.wazoo.jp/open/aslg2013/ )
残すところ、9月4日(水)、9月11日(水)の開催です。

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【2】9月27日(金)、青山社中フォーラムVol.17

   「内閣官房副長官 世耕弘成氏 講演会」参加登録受付中

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■9月27日(金)19時30分~、安倍内閣の現役の官房副長官として最前線でご活躍されている世耕先生をお迎えし、青山社中フォーラムを開催いたします。

■参加登録はこちらからお願いします。
(http://www.wazoo.jp/events/open.php?eid=1570 )

■開催概要
【日時】9月27日(金)19:30~21:00
【場所】秀明学園 東京本部
    東京都千代田区神田駿河台2丁目2杏雲ビル4F (御茶ノ水駅徒歩5分)
【内容】 19:00~受付開始
     19:30~開会
     19:35~講演
     20:15~質疑応答
     21:00  閉会
【参加費】講演会のみ2500円、講演会+懇親会6500円

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【3】後援隊募集!9月7日(土)「後援隊の集い」を開催、

   ゲストに小黒一正氏をお迎えします。

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■9月7日(土)に後援隊の皆様を対象とした「後援隊の集い」を開催致します。
ゲストには、本年9月開講の「青山社中リーダーシップ・公共政策学校」講師であります小黒一正法政大学経済学部准教授をお迎えいたします。
(主な著書に「アベノミクスでも消費税は25%を超える」(PHPビジネス新書))
若手世代の視点から、財政・社会保障をはじめとした今の日本経済が抱える構造問題を直視し、真に日本の立て直しに必要な現実的、かつ骨太の方策を、お話いただきます。

■「後援隊の集い」参加登録はこちらからお願いします
(http://kokucheese.com/event/index/107019/ )

■開催概要
【日時】9月7日(土) 17:00~20:00
【場所】FRAPS cafe&Dining(最寄駅 外苑前)
(http://www.frapscafe.com/access.html )
【会費】4,500円

■なお、後援隊の集いは、後援隊へのご登録が必要です。
後援隊登録はこちらからお願いいたします。
(https://aoyamashachu.com/supporter/index.html )
なお、以下メールアドレスにご連絡を頂ければ、9月7日当日の後援隊の集いの場での後援隊登録も可能です。
(office@aoyamashachu.com )

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【4】地域から国を変えるリーダーを育む!

   朝比奈が塾長を務めます「G1東松龍盛塾」が開講します

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■G1東松龍盛塾について(G1東松龍盛塾HPより)
地域で変革を導くリーダーを育てることが、日本をよりよくする道です。
G1東松龍盛塾は、地域から日本を変えていく、政治家・パブリックリーダーを育てる道場です。
G1東松龍盛塾は、主に自治体議員や政治志願者を対象として、自らの使命を自覚し、生涯つきあえる仲間をつくり、自治体経営の実践的な能力を磨く、プログラムを全国各地で提供します。
いわゆる「政治塾」や「政策セミナー」とは一線を画し、学びとコミュニティの質にこだわります。
経営者・起業家・文化人そして超党派の政治家等の各界のリーダーが集うG1サミットが、塾生の学びと成長を全力で支えます。
G1サミットに集う30代、40代の改革派知事・市長の各地での挑戦は非常に頼もしく、未来への希望を強く感じさせてくれます。明確な問題意識をもち既得権や前例と戦い、地域に根差しながら幅広い視野で国家の将来を強く思い、行動するその姿は、東湖、松陰、龍馬、隆盛ら幕末の志士達と同じ匂いがします。
日本をよくする、そのためには地方の現場に根を張ったリーダーが、高い志と広い視野を持ち、幅広いネットワークを活用し、必要な能力を兼ね備え、具体的な変革を全国各地で「同時多発的」に起こしていくことだと確信します。
日本の「再創造」を担う、地域に根差した「創造と変革の志士」のために、G1東松龍盛塾は存在します。
志が高い人々と、G1東松龍盛塾で会えることを楽しみにしています。
■開催概要
【定員】1期20名程度 (最小15名)本科生/個別受講生(各回5名程度を予定)
【対象】・主に、地方自治体議員または政治家を目指す方
    ・志とビジネスマインドを持つ「地域のリーダー」にご関心をお持ちの方
    ・2年間学ぶ意欲のある方*議員または政治家経験をお持ちでなくとも構いません
【学費】本科生 2年間(1泊2日を6回)で、240,000円(宿泊費、交通費、食費は除       個別受講生 1回48,000円(宿泊費、交通費、食費は除く)

■詳細はHPをご参照ください
(http://g1summit.com/g1toshoryusei/ )

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【5】弊社桑島がワシントンDCで行ったカーネギー国際平和財団

   で講演、政府関係者等と意見交換を行いました。

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桑島が8月前半、カーネギー国際平和財団@ワシントンDCにて講演を行いました。
また、ワシントンDCの様々なシンクタンク・政府関係者・議会関係者とミーティングを実施し、今日本が米国からどう見られているのか、客観的な現状について意見交換しました。

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【6】 青山社中リーダー塾通信

   ~飛躍していく塾生たち~

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こちらでは、様々なフィールドで活躍の場を広げている青山社中リーダー塾生の活動を紹介いたします。

【青山社中リーダー塾1期生/滝沢頼子】
青山社中リーダー塾1期生の滝沢頼子と申します。
リーダー塾では、講義内容は勿論、日頃接することのない社会人や学生たちと議論をしていく中で、自らのアクションへの背中の後押しを受けました。
私は昨年から、大学受験の支援サイトmanavee(URL: manavee.com )の運営に関わっており、現在副代表を務めております。
manaveeは、大学受験における地理的・経済的な格差を解消するために、サイト上で高校生向けの授業をすべて無料で提供しています。
大学受験システムは、全員が同じ試験を受けその成績で合否が決まるという、一見公平に見える形をとっています。
しかし、大学の情報が得られるかどうか、適切な受験のための指導が学校や周囲の塾で受けられるかどうかという点について、大きな地理的・経済的格差があるのが現状です。私たちは無料で誰もが勉強をできる環境を実現することで、その格差をなくそうと活動しております。
現在manaveeには、25000人以上の登録ユーザーがおり、約5000の授業コンテンツが提供されています。
授業をする先生と運営メンバーは全員ボランティアです。
現在、個人からの寄付・企業からの協賛を募集しております。お力添えを何卒よろしくお願い致します。
先生として・運営メンバーとしての参加についてもお気軽にお問い合わせ下さい。
◎URL: manavee.com
◎お問い合わせ:communication.manavee@gmail.com

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【7】 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ

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<8月の実績>
【メディア】
8月5日(月)発売 『週刊現代』8月17日・24日合併号「いま日本で最高の経営者は誰か」にてインタビュー記事掲載(朝比奈)
【講演】
8月7日(水)「実戦 社長塾OB懇親会」(清話会主催)にて講演(朝比奈)
8月7日(水)カーネギー国際平和財団(於:ワシントンDC)にて講演(桑島)
8月23日(金)「若手社員のためのスキルアップ勉強会」(明電舎主催)にて講演(朝比奈)
【その他】
8月13日(火)~14日(水)「2013夏 首長合宿」に参加(朝比奈)
8月31日(土)~9月1日(日)「G1新世代リーダー・サミット」に参加(朝比奈)

<9月の予定>
9月14日(土)「やり過ぎる力~混迷の時代を切り開く真のリーダーシップ論」(九州ビジネス部会主催)にて講演(朝比奈)
9月30日(月)三条市役所にて職員研修向け講演会(朝比奈)

 
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