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2014年6月30日

青山社中メールマガジンvol.43 横須賀・ニセコ雑感 ~外国との付き合い・移民について想う~

青山社中メールマガジンvol.43 横須賀・ニセコ雑感 ~外国との付き合い・移民について想う~

大学のクラスメイトに不思議な男がいた。

特段、帰国子女であるというわけでもなかったし、どちらかというと、大学では「運動会系の武闘派」という位置づけだったのに、ある日、街で偶然に出会ったカナダ人女性と恋に落ち、ほどなく彼女と一緒に暮らしながら英会話学校を始めた。その英会話学校は瞬く間に急成長して、非常に有名になり、今では日本を代表する英会話スクールとして、電車内でもしばしば広告を見かける。(彼自身は、既に経営に関与しておらず、今はカナダに住みながら、たまに日本に帰国している。)

彼のあの国際性はどこから来たのか、長年不思議であったが、今週末を含めてここ数年で4~5回、横須賀を訪れる機会があり、その疑問が氷解した。そのうちの1回は、一時帰国中の彼と汐入駅(横須賀市)でバッタリ会うという奇遇もあって思い出したのだが、彼は横須賀出身であった。

横須賀はその恵まれた地形から、江戸時代末期以来、軍港として発展してきた。戦後は、港として価値のある「かなりの部分」を米軍に「占拠」されてしまっているわけだが、当然、街中を歩くと、米国兵向けの店が立ち並ぶことで有名な「どぶ板通り」のみならず、横須賀中央駅付近、汐入付近など、あちらこちらで外国人(おそらく多くは米国人)を見かける。日本人とアメリカ人の混血と思われる顔立ちの若者も多数見かける。埼玉で山に囲まれて育ち、外国人などおよそ見ずに育った私と、冒頭の彼とは、まるで異なる幼少期・青年期を過ごしたに違いない。

大学時代からの知己である同世代の吉田横須賀市長から聞いたところでは、現在、米軍との関係も極めて良好であるとのことだが、それには、市の担当部局の方々の長年にわたるノウハウの蓄積・非常な努力などが大きく影響しているとも語っていた。歴史的な経緯の違いもあるし、そもそも国益にとって「安定的関係」が絶対善とは言えないわけだが、例えば沖縄に比べ、相対的に「異邦人」との「順調な関係」を構築していることは確かだと感じる。血のにじむような努力と歴史の積み重ねを背景として。
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6月半ば、札幌での青山社中リーダー塾1期生の結婚式の出席ついでに、北海道はニセコ町に行ってきた。オーストラリア人の富豪などが、いわゆるパウダー・スノーという良質の雪を絶賛してスキー楽しんでいることから、最近は外国人観光客の取り込みの成功例として取り上げられることが多い。片山町長をはじめとする皆様の歓待・セッティングのおかげで、人口が約5000人の小さな町が、信じられないような住民自治を実現していること、また、外国人とうまく付き合っている様子などを色々と見聞することができた。
富士山かそれ以上に美しい三角形の羊蹄山を眺めながら、印象深かったのは、住民の方々が、外国人の富豪がもたらす恩恵に感謝しつつも、ハイシーズンには一泊30~40万円もするコンドミニアムとは当然ながら基本的に無縁の生活を送っていること、そして、それらの不動産を開発しているのが、主に外国資本であることから、何となく複雑な感情を抱いている感じを受けたことだった。
外国人向けコンドミニアムが集中する一角は、素晴らしくゴージャスなコンドミニアムが林立しており、私も一泊で良いからステイしてみたいものではあるが、そこには「和風」はほとんど感じられず、かつて西武や東急がリゾート開発をしていた面影もほとんどない(西武は文字通り撤退)。
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私の感性が閉鎖的か否か、或いは、日本人一般が閉鎖的か否かをここで問うつもりはない。恐らく、私を含め日本人はやはりどこか相対的に「保守的」であり、そして、その保守性がこの国を形作ってきたし、その変革への「疑い」がこの国や社会を守ってきたこともまた事実であろう。ただ、人口面から見ただけでも、我が国が全体として、或いは過疎地域は特に、存亡の危機を迎える中、果たしてそれだけで良いのかどうか。地域の活性化は、まさに、「戦場を見てから戦略を考える」しかないので、当然ながら、地域における外国との付き合いもそれぞれの地域の事情に応じて「うまくやる」としか言いようがないわけだが、一般的に保守的な国民性という現実とマクロの当為をどうバランスさせるべきか。

6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」の改訂版(いわゆる「成長戦略」)にも外国人の受け入れについての記述がある。しかし、その内容は、あまり異論が出ない高度人材の受け入れが最初に来ており、技能実習制度の拡充や、いわゆるメイドさんの受け入れ(それが拒絶されることで日本勤務に二の足を踏む外国の知人が私の周りにもいる)、海外子会社で働く人材の受け入れなどにも言及があるが、どこか及び腰との印象も受ける。労働力不足を目の前にしての施策としては、「女性の積極的活用」策に比べ、「恐れつつも踏み出さざるを得ない」という感じが、色濃く出ていると見るのは私だけではなかろう。ある意味で正確に日本の実情を反映した記述となっている。
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そんなことを考えながら、村上春樹の名作『中国行きのスロウ・ボート』でも読み返してみたいとふと思った。外国人との付き合いを考える上で珠玉の短編であると思う。この作品が発表された1980年の日本と現在では、グローバル化の進展度合いが全然違うし、また中国という事例はまた、我が国にとっても、逆に中国から見ても、その長い歴史の経緯から、或いは、近現代史における泥沼化した戦争の記憶から、かなり特殊なケースであると言えるかもしれない。

それでもなお、小説の中のエピソードを例にとれば、一見、軽い気持ちで書いたとみられる落書きや、ちょっとしたミスが元になっているように見える「逆回りの山手線への乗車指示」も、もしかすると深い潜在意識に基づくものかもしれない、という恐れがぬぐえない。どこかで異なるものを遠ざけている。国の成り立ちが全く異なる移民の国アメリカを別とすれば、頑張って移民を受け入れてきた欧州諸国がそのことで幸せになっている印象も一般人は持っていないであろう。

「クリーンアップが内角のシュートを恐れないように」「革命家が絞首台を恐れないように」異なるものと正面から恐怖と向きあう覚悟があっても、それでも「友よ、中国はあまりに遠い」こともまた事実だ。中国に限らず、他国と外国人と正面から向き合うには、本当は、とてつもなく大きな覚悟が必要なのである。僕たちには、どうしたらその覚悟ができるのだろうか。渋みと酸味が心地よく混ざり合ったグアテマラのコーヒーを飲みながら、ふとそんなことを思う。

筆頭代表 CEO
朝比奈 一郎

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<1> 青山社中リーダーシップ・公共政策学校受講生が市長選にチャレンジ!

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青山社中リーダーシップ・公共政策学校の受講生、安里満信さんが、7月13日に行われる栃木県下野市長選挙の立候補に向けて準備を進めています。安里さんの政策作りも弊社が支援しています。安里さんは、同市にある自治医大病院附属救命救急センターで約11年間救急医療に携わった、強靭な精神と体力の持ち主です。その間、地域医療の充実と予防医学の必要性を痛感し、政治の道を志すことになりました。「住みやすく、健康水準日本一の街」を目指す安里さんのご活躍に期待します!

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<2> 青山社中フォーラムVol.23 國定勇人氏(新潟県三条市長)による講演 (共催:「NPO法人地域から国を変える会」)

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今回の青山社中フォーラムでは、新潟県三条市長・國定勇人氏に「自治体経営のあり方~新潟県三条市から変える~(仮)」と題してご講演頂きます。小中一貫・スマートウェルネス・給食からの牛乳撤廃などの各種具体策を通じての自治体経営のお話について頂き、弊社筆頭代表朝比奈が当市地域活性アドバイザーとして関わらさせて頂いている取組みもご紹介頂きながら、皆様と一緒にこれからの自治体経営について考える機会にしたいと思っています。是非奮ってご参加くださいませ。

【日時】8月29日(金)19時30分 ? 21時00分
【場所】青山社中オフィス(最寄駅:外苑前)港区南青山2-19-3 サザンキャッスルビル2
【内容】19時00分 受付開始
    19時35分 講演
    20時30分 質疑応答
    21時00分 閉会
【参加費】講演会2,500円 (*青山社中後援隊メンバーは1,500円、割引コード別途送付)    19時30分 開会

【申込み】こちらより・・・  http://peatix.com/event/42961

【講演者】國定勇人氏(新潟県三条市長)

平成18年に新潟県三条市長に当時全国最年少市長として当選、小中学校一貫体制、スマートウェルネスの推進、三条マルシェの開催など幅広い自治体経営をされております。

以下略歴:

平成9年3月 一橋大学商学部卒業
平成9年4月 郵政省(現総務省)入省 大臣官房総務課審議室、放送行政局放送政策課、総務省情報通信政策局放送政策課政策係長、大臣官房総務課総括国会第三係長平成15年4月 三条市総務部参事兼情報政策課長
平成17年4月 三条市市長公室長兼総務部参事
平成17年5月 三条市総合政策部長
平成18年4月 総務省情報通信政策局地域通信振興課課長補佐
平成18年11月 三条市長就任(当時全国最年少市長)
平成22年11月 三条市長2期目就任

【共催】NPO法人 地域から国を変える会

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<3> 青山社中リーダーシップ・公共政策学校、本年度さらに講座を拡大し今年も開講!

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一昨年青山社中リーダー塾エクステンションスクールとして開講し、昨年日本版ハーバード・ケネディ・スクールを目指し更に講義を充実させた青山社中リーダーシップ・公共政策学校が今年も10/1に開講します!

今年も青山社中の朝比奈・桑島が教えるリーダーシップ系講座のほか、政策系講座を更に科目数、授業数(各科目毎)とも拡大し、本年は以下の4科目を予定しています。

政治・行政編 (講師:竹中治堅 政策研究大学院大学教授 全6回)
経済・財政編 (講師:小黒一正 法政大学准教授 全6回)
外交・安全保障編 (講師:小谷哲男 日本国際問題研究所主任研究員 全5回)
医療・社会保障編 (講師:宮田俊男 日本医療政策機構 医療政策ユニット長 全6回)

詳細(価格、スケジュール等)はまた本MLにてご連絡差し上げますが、各クラス30名限定で、それぞれの第一線の現場で活躍する充実した講師陣による、日本の各政策の論点、そして日本のあるべき将来を深く、熱く議論する場となりますので、乞うご期待ください!

なお、本年度の説明会は以下を予定(19時半-21時半/弊社外苑前オフィス)しておりますので、ぜひあわせてご検討ください。

7/31
8/27
9/8
9/18
9/23

それでは、皆様の積極的なご参加をお待ちしております!

青山社中リーダーシップ・公共政策学校副校長
桑島 浩彰

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<4> 第3回G1東松龍盛塾

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第3回G1東松龍盛塾が6月28日(土)~29日(日)に横須賀にて開講されました。
塾長を務めます朝比奈は、29日(日)「東西思想概論」を講演。東洋・西洋の政治思想や経済思想を取り上げ、塾生と考察していきました。

*G1東松龍盛塾は、地域から日本を変えていく、政治家・パブリックリーダーを育てる道場です。
■詳細はHPをご参照ください
(http://g1summit.com/g1toshoryusei/ )

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<5> 青山社中リーダー塾通信

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*リーダー塾生による活動報告

【NPO法人地域から国を変える会より】
新潟県三条市・栃木県那須塩原市において地域の皆さんと共に活動している地域から国を変える会、第三の舞台として、川崎市で活動をすることになりました。言わずと知れた工業都市・川崎は人口約140万人、日本は人口減時代にあっても、武蔵小杉のタワーマンションなどの開発が進み、いまだ人口が増え続けています。しかしながら、グローバルの時代において、工業都市を取り巻く環境は厳しく、あぐらをかいている状況にはありません。
今回、いわゆる中小企業振興条例を、商工会議所を中心とした経済界が市に対して提案することを目指す会議がつくられ、私どもでお手伝いすることとなりました。会議では、朝比奈理事長が副座長となり、市内外の様々なアクターが知恵を出すことをアシストしていきたいと思います。単なる文章としての条例ができて終わりではなく、策定までのプロセスにより、業界の垣根を越え、交流が生まれ、厳しい時代に対峙する諸政策を打ち出す、こうした流れ・仕組化ができればと考えています。
【地域から国を変える会Facebookをご覧ください https://www.facebook.com/chiikikara.org

【一般社団法人 日本と世界をつなぐ会より】
「地域から国を変える会」が活動する新潟県三条市の産品や技術を海外へ広める活動を進めるため、メンバー同士が仕事の合間の短い時間を紡ぎ、海外のどの地域へどんな方針で展開すべきかについて議論を重ねて参りました。鍛冶の町として伝統の技に磨きをかけてきた三条には、こだわりを追求する職人達の結晶とも言える製品がたくさん生み出されてきました。表面を鏡の様に磨き上げられた1個1万円を超える爪切りや、洗練された機能美を追求し続け数々のデザイン賞などを受賞している作業工具、さらに、一般的にみる波形の刃形ではないパン切り包丁は柔らかいパンでも形を崩さずに切り、おまけにほとんどパン屑が出ないという優れものです。この様に三条にはデザイン性、機能性で目を引く製品がたくさん有ります。
この様な製品の魅力が生きる場所はどこなのか?豊かなライフスタイルや伝統、格式を愛する欧州なのか、はたまた世界からバイヤーが集まるアジアのハブ都市シンガポールなのか?三条市は以前よりお隣の燕市と連携し「TSUBAMESANJOブランド」を掲げ感度の高い市場向けの展示会出品などに取り組まれておりますが、我々の会としてどんな形で三条市の海外展開をサポートし、付加価値が提供できるのかを模索して参ります。
当会では今後の活動の広がりや運営管理、体制作りについても一層の充実を図ってまりますので、弊会についてご興味のあるかたは事務局・山田までご連絡くださいませ。 yamada@aoyamashachu.com

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<6> 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ

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<6月の実績>

【メディア】
6月23日(月)15時10分?15時50分 ラジオNIKKEI 「木下晃伸のWorld News File」にて、司会の木下晃伸氏とのトークコーナーで、「やり過ぎる力」の執筆経緯や想いについて対談(朝比奈)
<番組ホームページ>
http://market.radionikkei.jp/newsfile/

6月より「次世代リーダーを目指すビジネスパーソンが今読むべき一冊に出会える書籍紹介サービス「BOOK-SMART」http://book-smart.jp/ の書籍選考委員として、”次世代のリーダーを担うビジネスパーソンに読んでほしい一冊”を定期的に推薦 (朝比奈)

書籍紹介サービス「BOOK-SMART」のご紹介
?現在、ビジネス書は月間200冊以上出版されており、多忙なビジネスパーソンが自身の成長につながる1冊を探し出すことが非常に難しい状況のなか、忙しいビジネスパーソンが数多ある書籍の中から良書を見極め、自身に「今」必要な1冊と確実に出会い、読書を通じて次世代リーダーとしての素養を高めていく・・・というこの一連の流れを「スマート・リーディング」と名づけ、こちらを実現するメディアとして「BOOK-SMART」の運営を開始致しました。?

【講演】
6月14日(土)中央大学主催の進学相談会にて、「政策とは何か」というテーマでの模擬授業 (朝比奈)

6月19日(木)Economist 誌Corporate Network主催の意見交換会にて、経産省が取組む施策や他省庁との関わり方について討議 (朝比奈)

6月24日(火) 法政大学教職課程「教育原理」にてゲスト講師 (遠藤)

6月28日(土)・29日(日)第3回G1東松龍盛塾にて「東西思想概論」を講演 (朝比奈)

<7月の予定>

【メディア】
7月3日(木)  19:00-19:45 ワロップ放送局3F WAROSスタジオ インターネット番組出演「ワシントンからみた日本 -中韓とどう渡り合うか」(桑島)

【講演】
7月19日(土)「政策分析ネットワーク」http://www.policy-net.jp/ シンポジウムにて登壇(朝比奈)

7月23日(水) 千葉市産業振興財団 経営者会 (桑島)

 
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