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2014年11月30日

青山社中メールマガジンvol.48 政治の喧噪を離れて 〜 ベトナムで感じた親日の根源

青山社中メールマガジンvol.48 政治の喧噪を離れて 〜 ベトナムで感じた親日の根源

衆院選の投開票まであと2週間となった。

「どうして解散するのか。大義なき解散だ。」と野党が吠えれば、与党は、「3党合意に基づく法律で定められた予定を変える話であり、解散して国民に信を問うのは当然。」と返す。

互いに建前論を振りかざしてあれやこれや議論しているが、ホンネとしては、野党側は「せっかく閣僚の金銭スキャンダル等で政権を追い込みつつあったのに、いきなり解散・総選挙とは何だ。候補者調整もままならず、準備不足なのに冗談じゃない。」ということだろうし、与党側としては、「まだアベノミクス等への支持があるうちに、悪化しつつある風向きを変えて、政権基盤の強さを盤石にするべく解散してしまえ。」ということだと思う。

与党の大勝利説から、意外と苦戦を強いられて政局になるかもしれないとの説まで色々とあり先がよく分からない状態だが、争点・論点が見えにくいことが、その一因であろう。野党はアベノミクスや集団的自衛権について「批判」「反対」はできても、強力な「対案」が打ち出せないでいる印象だ。

個人的には、消去法的に自民党が勝つのではないかと思う。「アベノミクスは日銀の金融緩和政策に極端に頼り過ぎで、長期金利の急上昇などの副作用がいつ起こるか分からない不安はあるが、さりとて他党に任せるのはもっと怖い」というのが国民のホンネではないか。前回の選挙で落選した大量の民主党議員などが、これまで積み重ねてきた「握手の数」でどれだけ票を出せるかも重要な点だが、大きな傾向をひっくり返すのは至難の業であろう。

私も8日(月)に東京(@ニコファーレ)での候補者同士の公開討論会のディスカッション・コーディネーターを頼まれていることもあり、出来るだけ選挙を盛り上げたいとは考えているが、このような情勢下では、少なくとも、全体の投票率がやや低めになるのは避けられない気がする。

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こうした衆院選を巡る喧噪を横目で見ながら、政治家にはならないまでも、政治と向き合いながら世の中を変えて行きたいと考えている自分の人生に想いを巡らせると、「人生は一行のボードレールにも若かない」と喝破した芥川龍之介の一種のニヒリズムに共感しなくもない。もちろん、「すべてを理解することは全てをゆるすこと」的な文脈を延長しつつ、自分の中では、この感情を能動的なニヒリズムとしなければならないことは、頭では理解しているつもりではあるが。

一見するとニヒリズムとは無縁な形で、日本を活性化するとの熱い想いを抱いて霞が関を飛び出したのが2010年の11月。早いもので4年が経過した。政治関係の仕事をこなすだけではなく、リーダー塾生たちの人生と向き合ったり、或いは、塾生らとの語り合いの中から生まれた地域活性化のためのNPO法人の長として、地域の現状やそこに暮らす人と向き合ったりできて本当に良かったと思う。こうした形でバランスが取れるので、逆説的ではあるが、国の政治とも能動的に向き合えるのではないかと感じる。「現場」にニヒリズムは似合わない、というか存在しえない。

青山社中の5年目にどのような未来が待っているかは知る由もないが、愚直に、リーダー育成、地域活性化、政策支援など、地道に我が国の活性化にとって必要なことをやっていきたいと感じている。改めて支えていただいている皆様に感謝する次第である。

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ニヒリズムを肌感覚として全く理解できない若きリーダー塾生たちが、新たに「日本と世界をつなぐ会」という一般社団法人を立ち上げたこともあり、先日、彼らとともに、政治的喧噪から遠く離れて、ベトナム(ハノイ・ホーチミン)に10日ほど行ってきた。地域の産品の売り込みの可能性について、「暗闇で真剣をぶんぶん振り回したらどこかに当たるのではないか」という感じで、ハノイ・ホーチミンで、とにかく闇雲に多くの人たちに会ってきた。遠く、バリア・ブンタウ省(日本が重視する東南アジアの南部回廊の東端でもあるカイメップ・チーバイ港などを有する石油産業・観光産業などが盛んな地域)まで行って、省の商工局長らと会談もしてきた。

正直、ベトナムでの商売の困難さ(「儲からない」と悲鳴を上げている進出企業が意外に多い。統計的にも明らか。)、政治・行政体制の難しさ(特にライセンスの取得のむずかしさ)などを痛感する日々であり、特にベトナムの内需を期待する場合には、日本のハイスペック・高価格な製品が、未だ途上国の現地になじむか疑問なところはあるが、打つ手はあると感じた。うまく行くかは分からないが、チャレンジしないと何も生まれない。やはりキーワードは能動的ニヒリズムだ。戦略的に、大胆に進めたいと思う。

そんな行脚の中で、本当に様々なことを見聞できたので、やや大げさに言えば、1冊の本を書くくらいに色々と雑感を書き連ねたいところだが、紙幅の関係もあり、ここでは1点に絞りたい。それは「大親日国ベトナム」ということである。この点については、お会いした人たちが一人の例外もなく強調していたのが印象的だった。

客観的に考えれば、中越関係の微妙さ(歴史的に1000年以上前から独立運動等で対立し、昨今の西沙諸島を巡る対立はもちろん、中越紛争もかつて勃発している)、米国との難しい関係(文化へのあこがれはあるが、Agent Orangeとも呼ばれる枯葉剤の被害者の展示が未だに大々的になされ、ベトナム戦争の傷あとの深さは半端ではない)、フランスとの関係(ディエンビエンフーの戦いは今でも語り継がれている)、などと比べて、短期間の仏印進駐くらいしかしていない日本は、ベトナムに関与した大国の中では、相対的に「良い国」であるのであろう。

ただ、ここで問題にしたいのは、台湾の親日の理由説明などでも使われる他国との相対比較ではなく、ベトナム人が、日本のどこを積極的に愛しているのか、という点である。複数の現地の日系工場を見学したり、日本式教育を取り入れている複数の職業支援学校等を見学したりした結論としては、個人的には、日本人が黙々と頑張る姿こそが愛されているのではないかと感じた。

我々の先輩たちは、ベトナムに限らず、世界の各地で、「黙々と頑張る背中」を見せて、日本への好感度を上げてくださった。絶望的状況にあっても、自暴自棄になることなく、一種の能動的ニヒリズムを持ち続けてくださった。南米では、日本からの移民が、その働きぶりから次々と成功を収め、尊敬を集めてきたことなどが有名だ。パラグアイで35年の独裁政治を担ったストロエスネル将軍の日本の移民への述懐を目にした際などはとても感動した。

「黙々と頑張る男」の代名詞のような高倉健氏が、先日他界したが、中国でも、多くの人がその死を悼んでいるとの報道がある。NHKの朝の連続ドラマで話題の竹鶴政孝氏(ドラマでは別名)は、スコットランド人を妻に迎えているが、彼はかつて日経新聞の私の履歴書の初回に、「ただ一筋にウイスキーづくりだけに生きてきた。その意味では一行の履歴でかたづく男であり、これまで「私の履歴書」への登場を辞退してきたのも、それ以外に取り柄がなく、私などの出る幕ではないと思っていたからである。」と書いている。

芥川の言う「ボードレールの一行」が消極的ニヒリズムとしての象徴だとすれば、「竹鶴政孝的な一行」は、能動的ニヒリズムの象徴と言えるのではないか。そして、そうした心性を有し、現場を持って黙々と働く美しい日本人こそが、外国からも敬意をもって迎えられるのではないか。

そんなことを想いながら、私も先達には全く及ばないものの、自分なりに黙々とたまった仕事を片付けているところである。高倉健主演の「遥かなる山の呼び声」を、ニッカ・ウィスキー片手に、久々に鑑賞する日が来るのを夢見ながら。

筆頭代表・CEO
朝比奈 一郎

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・受講料:
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・申込サイト:https://aoyamashachu.com/contact_aslg1/
・締切り:各講座初回講義前日まで

皆様のご参加をお待ちしております!
青山社中リーダーシップ・公共政策学校副校長
桑島 浩彰

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<2> 桑島が外務省日米架け橋プロジェクト(若手研究者米国派遣事業)にてワシントンを訪問

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 11月16日(月)−23日の日程で、共同代表桑島が外務省の若手研究者米国派遣事業「日米架け橋プロジェクト」に選抜され、ワシントンを訪れました。現地では在米日本大使館訪問のほか、有力シンクタンクであるブルッキングス研究所、米戦略国際問題研究所、外交問題評議会訪問、また米通商代表部(USTR)、国家安全保障会議(NSC)、米議会調査局(CRS)、ジョンズ・ホプキンス大学なども訪問し、外交・安全保障・TPPをはじめとした通商問題について現地研究者・政府高官などと議論しました。また、現地のシンクタンクであるイースト・ウェストセンターにて、アベノミクス・衆院解散に関する英語講演を行いました。以下、公表資料(写真有)となりますので、どうぞご高覧ください。

<架け橋プロジェクトHP>
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.847769511933972.1073742088.634485329929059&type=1

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.849222051788718.1073742091.634485329929059&type=1

<イースト・ウェストセンター講演> *映像有
http://www.eastwestcenter.org/events/abenomics-time-rethink-the-three-arrows

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<3> 朝比奈が川崎市経済活性アドバイザーに就任

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 11月4日(月)に、地域から国を変える会理事長として朝比奈が川崎市経済活性アドバイザーを拝命しました。当日は川崎市役所において、福田川崎市長より委嘱状が授与され、産業分野への助言・提言のご依頼をいただきました。地域から国を変える会では、本年6月から川崎商工会議所と共に中小企業を活性化するための条例策定の取組みを行っています。今後は条例の制定と条例に紐づく施策の充実に向けて、経済界と行政による連携を推進する役割として活動してまいります。

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<4> 青山社中リーダー塾通信

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*リーダー塾4期生の活動*

リーダー塾生の各期を超えた塾生間交流促進のため、ミニ合宿(11/22土〜23日@テラス蓼科 リゾート&スパ  URL:http://www.terrace-tateshina.com/index.html )が開催されました。主な活動内容は、㈰人生戦略セッション(己の人生観を醸成するだけでなく、交流を深める目的)、㈪長野酒造ツアー(4期生の夏合宿で、日本の良いところを世界に発信したいという意見が多かったことを受け、日本酒を肴にして(?!)、日本文化の国内外へのマーケティング手法を学ぶ場をアレンジ。NAC日本酒部門委員・馬渕さんのご協力のもと、酒造社長による日本酒のマーケティングや営業戦略の講座などを行い、とても実りの多い合宿となりました。今後の塾生同士の活動につながる後押しとなりました。

*青山社中リーダー塾1期生   :平澤優弥
私は東海大学医学部(5年)に在学しており、本年8月に医療系WEBメディアをリリースしました。
■Dr.Note(ドクターノート)〜お医者さんが教える正しい生活レシピ〜 http://drnote.jp
私が朝比奈代表からリーダー塾で学び、特に大切にしていることは「大局観を持って想像し、大胆に決断し、断行する」という姿勢です。医師としての将来を考えた時、「医療・医学の最大の理想は、そもそも誰も病気にならないことではないか」と思うに至りました。自身の入院経験や小学生の時に父を癌で亡くしたことを振り返ると、「当たり前」になっている健康の大切さを痛感します。そのため「病気になる人を減らすこと」を目標に決め、Macropus
というWEB事業開発会社を経営して結果を出している親友と共に、その一歩目としてこのメディアを立ち上げました。
このメディアの特徴は、(1)医師をはじめとする専門家が記事を監修し、信頼できる正しい情報を伝えること(2)情報を伝えることに留まらず、How toの習慣化をサポートする機能も併せ持つことです。現在はリニューアル中で、今後は意欲が高い人の多い「ダイエット」を中心に正しい情報を提供し、ダイエットの成功を手助けする価値提供と同時に、肥満解消や健康的なカラダづくりによる予防医学的成果を目指していきます。
■Facebookページ(更新情報などを発信します)  https://www.facebook.com/Dr.note.info
■Wantedlyに募集情報を掲載中です!ぜひご支援宜しくお願い致します!
https://www.wantedly.com/companies/macropus#_=_

*NPO法人 「地域から国を変える会」より ◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。
 [沼田チーム]第4の取組みの地として、群馬県沼田市で活動をすることになりました。沼田市は、群馬県北部に位置し、城下町・街道の要所として古くから栄え、また林業・木材加工業・農業が盛んな地域です。この沼田市では、創業環境の充実を図り、健全なベンチャー企業が数多く生み出し、沼田市の地域経済活性に繋げていく動線を描こうと動き出しています。今はチームで、沼田市の産業の現状分析を行いつつ、具体的な施策づくりに奔走しています。
【是非、地域から国を変える会Facebookをご覧ください https://www.facebook.com/chiikikara.org

*一般社団法人 「日本と世界をつなぐ会」◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。
 新潟県三条市が誇るものづくり技術の海外販路開拓を目的として、19日よりホーチミン、25日よりハノイで販路開拓調査に取り組みました。三条市が誇る技術的魅力を如何にして新興国マーケットへPRし、市場を作っていくかをテーマに、特に現地に根ざしてご活躍中の方々にヒアリングさせて頂きました。公的機関、現地企業や個人経営者の方々より多くの貴重なアドバイスやご意見を頂き、次の具体的ステップに繋がるきっかけとなりました。ご協力頂きました皆様、本当にありがとうございました。
 弊会では、この様な日本の地域に脈々と受け継がれる伝統工芸やものづくり等の魅力を海外へ発信し、更に後世へ受け継いでいけるような活動に取り組んでいきたいと思っております。是非いろいろな方と多面的に議論しながら進めていきたいと考えております故、当会の活動にご興味のある方は、事務局・山田までご連絡を下さい。(連絡先:yamada@aoyamashachu.com)(FB:https://www.facebook.com/pages/一般社団法人-日本と世界をつなぐ会/800513439960846 )

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<5> 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ

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<11月の実績>

【メディア】
Biglife21「青山社中株式会社 桑島浩彰氏・インタビュー 世界で戦える日本を目指して、アメリカを軸に見る対外発信の現状と対策」(桑島)

http://biglife21.com/society/6608/

【講演】
11月6日(木)三菱東京UFJコンサルティング名古屋本部にて、「行政と共に地域を変える、日本を変える」をテーマに講演 (朝比奈)

11月15日(土)政策分析ネットワーク主催(慶応ビジネススクール後援) 【官民連携:国際戦略シンポジウム】「世界に勝つルールメイクの国際戦略」〜政府と民間との新しいコラボレーション〜にてパネリスト (桑島)

11月19日(水)米イースト・ウェスト・センターにてアベノミクスをテーマに英語講演
表題「Abenomics: Need to Rethink the Three Arrows?」 (桑島)

11月26日(水)ベトナム・ハノイにて、1973年生まれの集まる会合で、「73年生まれのグローバル・リーダーシップ」をテーマに講演 (朝比奈)

<12月の予定>

【メディア】
12月第2週目より東洋経済オンラインにて「日本にはロビイングが足りない!」を表題とする記事連載開始(桑島)

【講演】
12月8日(月)衆議院議員選挙公開討論会(主催:東京JC)にてコーディネータ(朝比奈)

 
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