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2015年4月30日

青山社中メールマガジンvol.53 演説の国、アメリカ ~安倍総理の訪米に想う~

青山社中メールマガジンvol.53 演説の国、アメリカ ~安倍総理の訪米に想う~

3日前の4月27日。
安倍総理が、懐かしいハーバード大学ケネディスクールで演説している雄姿をテレビで見て、思わず涙ぐみそうになった。

今から10年以上前の2002年9月。世界を震撼させた同時多発テロから丁度1年後のことだ。

私は、ハーバード大学ケネディスクールに通う2年目の日本人学生として(1年目の授業初日がテロの日だった)、小泉純一郎総理(当時)の訪米をわくわくしながら、そして、同時にがっかりしながら待っていた。

わくわくしたのは、ニューヨーク(国連総会)で、日本の総理が演説すること自体が嬉しかったし(当時は、印象だと、総理が自ら演説するのは3~4年に1度くらいの出来事であった)、何より、総理がボストンやハーバードにまで来てくれることがエキサイティングに感じられたからだ。

がっかりしたのは、せっかくハーバードに来てくれることになったのに、小泉氏は、日本人学生との内輪の会には出席して下さることを決めてくれたものの、ケネディスクールでの講演は断られたからだ。

我々の動きだけが要因になったのかどうかは定かではないが、私も、ジャパンコーカス(日本人学生団体)の一員として、総理のハーバード訪問の働きかけに若干尽力し、その過程で、当然、総理のハーバードでの演説もお願いし、実現を期待していた。

ただ、残念なことに、理由は不明だが、小泉氏は、学長のローレンス・サマーズ氏(当時)との会談や、先述の日本人学生との内輪の会には来てくれるものの、演説は受けてくれなかったのである。

その直後、パキスタンのムシャラフ大統領(当時)が、ケネディスクールに来校し、お世辞にも上手とは言えない英語をまくしたてながら、パキスタンがタリバンをいかに抑え込むつもりであるかなど、まさに気迫の演説をして、満場の喝采を浴びた。ハーバードの学生たちに、確実に良い印象を残して去っていくムシャラフ氏を見送りながら、私は複雑な気分であった。

アメリカは演説の国であることは論を待たない。現在のオバマ大統領は、ある意味で、演説能力を最大の武器としながら現在の地位を獲得したと言えるし、安倍総理が、昨日の米国議会演説の際に「私の苗字はエイブではない」と述べて思い起こさせたエイブラハム・リンカーンは、奴隷制に賛成の雰囲気だったニューヨークで1860年に名演説をして、その雰囲気を一変させたとも言われる。

演説で政治が、社会が、本当に変わってしまうという迫力を、また、その怖さを、米国人たちは良く知っている。

現在の日本にいると、演説で政治や社会が一変するという状況がやや理解しにくいが、それでも、橋下旋風などは、演説力に負うところが大きいし、明治時代の研究者などによれば、福沢諭吉が交詢社を提唱した頃などには、かなり、日本にも弁論・演説を重視する政治文化が根付いていたとも言われる。

私がケネディスクールに在籍していた頃、前大統領のクリントン氏と、前副大統領のゴア氏が相次いでハーバードに講演に来たことがあった。正直、日本にいるときから抱いていた彼らのイメージとしては、クリントン氏は、地頭が良く、捌きはうまいと思うが、情報ハイウェー構想その他、政策論になるとゴア氏の方が数段存在感が上である気がしていて、「どうして、ほぼ同い年であるにも関わらず、ゴア大統領、クリントン副大統領」とはならないのだろうか、くらいに考えていた。

紙幅の関係で詳細は割愛するが、二人の演説を聞いてみて、圧倒的に演説力に差があることを知った。クリントン氏の演説能力は常人のレベルを超越していた印象だ。米国文化の中で、ゴア大統領・クリントン副大統領という組み合わせはあり得ないことを悟った。(その後、「不都合な真実」などが有名だが、ゴア氏もかなり演説力をつけている印象ではある)

日本では「寝業師」的政治家、訥弁だが実直な人もトップを目指せるが、良し悪しは別として、カルチャー的に、アメリカでは、正直、それは考えにくい。そういう面ではあまり評価が高いとは言えないブッシュ父子ですら、日本の基準だと、かなり演説力が高い部類に入るであろう。米国では、演説のうまさは、トップを目指す上で必須の条件だと感じる。ビジネス界ですらそういう印象だ。

そのような演説の国アメリカで、その上下両院の合同会議で、日本の総理として初めて、安倍総理が演説をした。まずは、その気迫に僭越ながらエールを送りたい。小泉氏の時との比較するに、ケネディスクールでの講演を逃げずに力強く行ったことが迫力の伏線にある気がするが、議会での演説は、その内容も含め、120点だったと感じる。

演説で最も重要なことは、聞き手に寄り添うことだと個人的に考えているが、安倍総理は、まず、英語で講演をして相手の心に入り、民主主義や多様性など、アメリカの文化の基盤に、個人的な体験なども織り交ぜて大いに理解を寄せ、同時に、日米関係の様々な過去に思いを馳せつつ、うまく、双方が一緒に描く未来を紡いで見せた。

もちろん、現実的な意味で米国が最も求めていたポイント、即ち過去への反省も入れ込み、同時に、「多様性」という米国の文化を想い起こさせることにより、特定の民族の極端な主張で社会が息苦しくなることを、戦略的に、間接的に牽制していたようにも思える。

共通の利害を綺麗に提示しながら、自らの役割を果たす決意を迫力をもって述べたこの演説は、日米の歴史に残るものになると感じている。

何やら、初夏の風がとても心地よい。

筆頭代表・CEO
朝比奈 一郎

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<1> 青山社中フォーラムvol.26:前IEA事務局長・笹川
平和財団理事長 田中伸男氏による講演会
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笹川平和財団理事長として、現在ご活躍されている田中伸男氏をお迎えし、ご講演頂きます。

田中氏は、旧通商産業省(現経済産業省)、経済産業研究所、経済協力開発機構(OECD)などを経て、2007年に欧州出身者以外で初めて国際エネルギー機関(IEA、本部・パリ)の事務局長に就任され、4年間務められました。

今回の青山社中フォーラムでは国際機関に身を置かれたご経験があり、エネルギーについて造詣の深い田中氏から、「戦略物資」として非常に重要なエネルギーを巡る世界情勢、日本の取るべきエネルギー政策について 、また前IEA事務局長として考えたグローバル人材のあり方などについてご講演頂きます。

【日時】5月25日(月)19時30分-21時00分

【会場】青山社中オフィス(最寄駅:外苑前)港区南青山2-19-1 サザンキャッスルビル2階
https://aoyamashachu.com/about/access.html

【参加費】2,500円(青山社中後援隊メンバーは1,500円、割引コード送付)

【内容】
受付開始 19時00分
開会   19時30分
講演   19時35分
質疑応答 20時30分
閉会   21時00分

【講演者】田中 伸男氏 (前IEA事務局長・笹川平和財団理事長)
1950年生まれ、神奈川県出身。東京大学経済学部卒。1973年、旧通商産業省(現経済産業省)入省。通商政策局総務課長、経済産業研究所副所長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て、2007年9月、欧州出身者以外で初めて国際エネルギー機関(IEA、本部・パリ)の事務局長に就任。2011年8月に退任し、日本エネルギー研究所特別顧問、東京大学大学院公共政策大学院教授を務め、現在、笹川平和財団理事長。著書に「『油断』への警鐘」(エネルギーフォーラム刊)。

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<2> 統一地方選における政策支援
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青山社中では政治に携わる皆様に対する政策アドバイス業務を行っています。例えば、国会議員・地方議会議員の皆様に向けた政策立案・議会活動のサポートや、各種選挙に向けた政策公約作成のサポートを行っています。
https://aoyamashachu.com/project/thinktank/support.html

この度の統一地方選挙では、下記の皆様に対する政策公約作成のサポートを行い、そのうち多くの選挙で良い結果を頂きました。

県議会会派   1会派(議席増)
県議会議員候補 2名(いずれも当選)
政令市議会会派 2会派(いずれも議席維持)
区長候補    1名(落選)
区議会会派   1会派(議席増)
区議会議員候補 2名(いずれも当選)

また、朝比奈が塾長を務める、G1東松龍盛塾の塾生からも多数、当選されました。G1東松龍盛塾では地域から日本を変えていく、政治家・パブリックリーダーを育てる道場です。自治体議員や政治志願者を対象として、自らの使命を自覚し、生涯つきあえる仲間をつくり、自治体経営の実践的な能力を磨く、プログラムを全国各地で提供しています。プログラムでは自治体を経営するという視点でマネジメントや戦略などに関する議論を少人数で行っています。

http://www.g1summit.com/g1toshoryusei/concept.html   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<3> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー2期生 竹澤夏樹
おしゃれな戸建てのお店が立ち並ぶ通りには、ハーゲンダッツカフェ、スタバが並ぶ。その一角にあるイタリアンレストランでは、洋服をきた家族連れや若い男女が楽しそうに談笑をしている。会話は英語。 

こんな風景が実際にある街、インドのチェンナイに私は駐在している。チェンナイは多くの日本人にとって馴染みの薄い街だが、インド南東部に位置する人口468万人、インド第4の都市だ。東南アジア、南アフリカに近く、日系を含む外資系製造業が多く進出している。

インドはモディ政権が立ち上がり、国内外から再注目されているが、多くの日本人にとってインドのイメージは冒頭の風景ではなく、牛、インドカレー、数学が得意、不衛生などではないだろうか。

確かに冒頭の街も周りに目を向けると、牛、豚、山羊が街を普通に歩き、スラムもある。牛の真横で平然と昼寝をしている人を見たときには、唖然とした。人と動物の境は限りなくない国なのだと思う。

一方で、ほとんどのインド人は英語を話す。というのも、インド国内には20以上の言語があり、地域ごとに言葉が異なることから、隣の州に行くと母語が通じないということが普通にある。そのため、初対面のインド人同士では英語で会話をすることも多く、多くのインド人は母語+英語のバイリンガルだ。

また、メイドを雇う文化は、幼い頃から、人を雇い、仕事を割り当て、指導する必要がありマネジメントを学ぶことができる。ある本でインド人がグローバル企業のトップになっている理由に、英語力とこのようなマネジメント力を上げていた。

街の風景は外資系企業の進出により工業団地、道路、電気、水のインフラは徐々に整備されている。チェンナイ市内は数年内に空港と市内を結ぶ地下鉄が開通予定で、市内にはいくつか巨大なショッピングモールができている。モールには高級ブランドショップから、日本でも馴染みのあるZARA、スターバックス、ハードロックカフェなどが入居し、綺麗な映画館には若者で溢れかえっている。

ネットで検索すれば、インドの現状、町並み、データは簡単に手に入るが、その街が持つ熱気、風景の移り変わりは実際にきてみないとわからない。一つの都会が出来上がっていく様子を間近でみれる今の経験を非常に有難く感じている。

アインシュタインの言葉に”Information is not knowledge. The only source of knowledge is experience.”(知識とは唯一経験から得られるものである)がある。日本から約6400キロ離れた遠い街チェンナイだが、是非インドの今を体験しにきてはいかがだろうか。

*NPO法人「地域から国を変える会」 ◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。
 【那須塩原チーム】チーム那須(私たちNPOと那須塩原の地元住民で構成)は4月28日、阿久津那須塩原市長に、昨年実施してきたワークショップ内容を取りまとめた政策提言書を提出しました。酪農・林業などの第一次産業に関する具体策から観光施策や公共交通施策など、特に産業に関して、那須全体の底上げを目指すための提案書としました。提出の場では、これまでにチーム那須で提言した内容の中から、地方版成長戦略(那須塩原市定住促進計画)に反映されたものも多いと、市長から感謝の言葉をいただきました。今後のチーム那須は、那須地域内に数ある団体の横連携を進めて行くなど新たな展開を目指します。
 <是非、地域から国を変える会Facebookをご覧ください https://www.facebook.com/chiikikara.org

*一般社団法人 「日本と世界をつなぐ会」◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。
「日本と世界をつなぐ会」は新潟県三条市にある企業の海外販路開拓に携わっており、現在三条市と共に、想定している海外事業展開モデル (ベトナムにおける富裕層向けの製品販売、製造業向けの特殊部品の販売、技能実習生の受け入れなど)の実行をふまえ、活動計画について協議を進めております。ベトナムのみならず、世界の都市(ロシア、中国南部、香港など)にも人脈を形成し、販路開拓の幅を広げていくことも戦略的に実施していく予定です。弊会の活動にご興味のある方は、事務局長・駒形までご連絡をお願い致します。

(連絡先:komagata@aoyamashachu.com
(FB:https://www.facebook.com/pages/一般社団法人-日本と世界をつなぐ会/800513439960846)   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<4> アドバイザー就任のお知らせ (桑島)
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http://www.linkers-net.co.jp/about/executive

この度、グローバル・ニッチ・トップの技術を持つ日本全国の中小企業と、国内外のエクセレントカンパニーをクラウドソーシングで繋いでいく事業で急成長を遂げているベンチャー企業「リンカーズ株式会社」のアドバイザーに4/13付で桑島が就任しましたので、お知らせします。

同社のビジネスモデルは、日本国内の中小企業によるオープンイノベーションの創造、および事業成長に革新的なインパクトを与える可能性があり、今度同社のシリコンバレーをはじめとした米国展開を支援するため、このたびアドバイザーとして就任しました。特に青山社中でのポジションは変わりませんが、リンカーズにも積極的に関わっていきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<5>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<4月の実績>
・4/10 総合経済紙フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
題名:「首長と議会、二元代表制の罠にはまるな」
https://aoyamashachu.com/news/2015/1354.html

・4/15~ 中央大学公共政策大学院にて講義を開始 (朝比奈)
講義名:「日本の政策形成」
https://aoyamashachu.com/news/2015/1394.html

・4/17  ビジネスブレークスルー大学の講義を松嶋啓介シェフと収録(朝比奈)
https://aoyamashachu.com/news/2015/1410.html

・4/27  埼玉県富士見市議会会派「草の根」にて講演 (遠藤)
題名:「議会改革について」「教育政策について」

・4/28 金沢工業大学(KIT) 虎ノ門大学院にて講演 (朝比奈)
題名:「“平成の龍馬”が描く新しいビジョンとリーダー像」
https://aoyamashachu.com/news/2015/1384.html

・4/30  公益社団法人名古屋青年会議所4月例会にてパネルディスカッションのコーディネーターとして登壇 (朝比奈)
題名:「取り戻せ日本人のプライド ~戦後70年を超えて~」
パネリスト:櫻井よしこ氏、小名木善行氏
https://www.nagoyajc.or.jp/65nendo/?p=106

<5月の予定>
5/21 小松商工会議所にて講演 (朝比奈)
題名「リーダーシップ論から考える地域活性化 ~ものづくり10万人都市新潟県三条市の事例など、各地の経験も踏まえて~」

5/28 CSV開発機構にて講演 (朝比奈)
題名:「民間から政府等への働きかけについて」

 
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