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2015年8月31日

青山社中メールマガジンvol.57 猛暑の終わりと新しい季節に乾杯!

青山社中メールマガジンvol.57 猛暑の終わりと新しい季節に乾杯!

「新国立競技場の問題やエンブレムの問題以上に深刻ではないか」とすら感じる東京オリンピック・パラリンピックの課題が、最近の東京の猛暑だ。

「こんな暑さの中で競技をしたら、命にかかわるのではないか」と、この夏思った人は数知れないだろうし、私自身、毎日のように5年後の夏を想像して心配していた。かつて、インド人の友人が8月中旬に東京に遊びに来た際に、「この暑さには耐えられない」と、とめどなく流れる汗を拭いながら言っていたのを、苦笑交じりに聞いていたことを思い出す。

そんな猛暑も、ようやく一段落した感がある。私も、今夏初めて、クールビズ仕様の半袖ではなく、長袖を着て出勤し、このエッセイを書いている。そういえば、私が霞が関に入省した18年前は、「クールビズ」という言葉もなければ、もちろん薄着の習慣もなく、真夏でも職場では必ずネクタイを締め、上着を常備していた。

当時、かろうじて「カジュアル・フライデー」という習わしがあり、金曜だけはポロシャツ等で出勤することが許されていたが、我が部屋の鬼室長は、とある金曜日、ポロシャツ姿の私を見てこう叫んだ。「お前は、ピザ屋の出前か!、俺たちは今国益のために格闘してるんだ!、いわば戦争だ!、戦闘服を着ないで戦争している軍隊があったら言ってみろ!」そして、翌週の金曜日。室員全員がスーツで出勤し、我が部屋の「カジュアル」の五文字は、夏の暑さというよりは上司の熱さで、完全に溶けてしまったことは言うまでもない。

そんな霞が関の職場環境を一変したのが、「クールビズ」旋風だ。省エネルックなどと言われて「半袖スーツ」が導入されても、「カジュアル・フライデー」が唱えられても、一向に変わらなかった役所のネクタイ文化が不思議に一変した。長年の習慣を「変革する」のは、本当に大変だが、一度起こってしまうと、「あれ?、昔はそんなだったっけ?」となるのを身をもって体験した。

意識して残すべき「伝統」なのか、惰性で続いている「慣習」なのか。判別が極めて難しいことは多々あり、往々にして反対意見にも一理あることが多い。それでもやはり、信念をもって変革に突き進めるかどうか。小池百合子環境大臣(当時)の思い切りの良さを横目にみながら、リーダーシップということの本質が少しだけ分かったような気になった。

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この夏、猛暑から逃れるべく、NHKドラマの「マッサン」ブームにも乗せられて、家族で北海道の余市のニッカ・ウヰスキーの蒸留所を見学した。北の大地の透徹した空気の中で、印象的な赤い工場群を眺めつつ、創業者の竹鶴政孝氏の歩みを追想していると、思わず目頭が熱くなる。

私はかねがね、英語のリーダーシップとは、同じ「しどうりょく」でも、「指導力」ではなく「始動力」と訳すべきだと主張しているが(全く広まっていないが・・)、竹鶴政孝氏の人生は、まさに、リーダーシップ(=始動力)に溢れている。

広島の造り酒屋を三男ながら継ぐはずが、洋酒に興味を持ち、日本では普及しないと思われていたウィスキーに目覚め、スコットランド留学などを経て、外国人女性と結婚し、苦労を重ねて寿屋(今のサントリー)でウィスキー作りに着手した。その後も紆余曲折ありつつも、自ら起業してリンゴジュース販売などで苦労して資金を貯め、ようやく自社(現在のニッカウヰスキー)でウィスキー作りをはじめるという、まさに「始動」者の人生だ。

洋酒とリーダーシップ、ということについては、サントリーの中興の祖である佐治敬三氏も負けていない。話題の書となっている北康利著『佐治敬三と開高健 最強のふたり』に詳しいが、佐治氏は、晴天の霹靂で訪れた跡継ぎというポジションに甘んじることなく、例えばビール事業に果敢に乗り出し、苦境にも決してあきらめずに黒字化への道筋をつけた。東日本大震災の際に、テレビに何度も流れて有名になったACジャパン(旧公共広告機構)を設立したり、サントリーホールを作ったりと、様々な文化関連事業にもチャレンジしている。

北氏の描く佐治敬三氏を読むと、リーダーシップというのは、必ずしも生まれつきのものではなく、「想いを抱いて始める」ところに生じるということが非常によく分かる。まさに、「始動」するところに生まれるのがリーダーシップだ。

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大ヒットしたスーパードライのようなビールの開発はもちろん、発泡酒が生まれたり、いわゆる「第3のビール」が出来たり、美味なノンアルコールビールが次々に登場したりと、日本の酒造メーカーのイノベーションや工夫というのは、凄まじいものがある。竹鶴政孝氏や佐治敬三氏も、その点に関しては、きっとあの世で喜んでいるのではないだろうか。製法やアルコール度数による税率の違いを逆手にとって、次々に新たな製品を生み出す「始動力」にあふれている。

しかし、国が「公平性」などという「したり顔」をして、イタチごっこのように、せっかくの数々の工夫に対して、次々に網をかけるべく税率を変えてしまうのは本当にいただけない。イノベーションには脱帽して、それを追認するくらいの姿勢が大切だ。「始動力」のない官僚たちが、合理主義を楯に、工夫もなく杓子定規に税率を変えて、「リーダーシップの発露」に網をかけようとするのは、そして、民間に無駄な作業をさせることは、滑稽を通り越して醜悪ですらある。

ただ、私とは反対の立場にも、それなりの議論の積み上げ・経緯があることも、残念ながらまた事実だ。冒頭のネクタイ文化の話ではないが、変革には長い時間と物凄いエネルギーが必要である。

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一体、国の政治・行政、或いは、経済・財政の状況などはどうなっているのか。どんな立場や意見がぶつかりあっているのか。そういった現実面での種々の課題を通じて大局観を涵養しつつ、同時に、リーダーシップの本質を理論や過去の人物の生き様などから学ぶことの重要性。そんな想いで始めた「青山社中リーダーシップ・公共政策学校(略称ASLG)」だが、今年も生徒募集の時期がやってきた。今年は新たに「地方自治」についての講座も設けており、地域の活性化の是非についても考察する機会がある。一人でも多くの方に参加していただきたいと考えている。

余市で買ったミニボトルのウヰスキーをちびりちびりと舐めながら、お酒とリーダーシップに思いを馳せていると、何となくいい気分だ。今年もどんな出会いがあり、どんな講義を展開するべきか。色々と思いを巡らせている。

猛暑の終わりと、新しい季節の始まりに乾杯!

筆頭代表CEO
朝比奈一郎

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<1>~激動の社会で活躍するための大局観と始動力を養いたいという方へ~
ハーバードケネディスクール出身講師らによる
「パブリックリーダー養成学校」無料体験授業開講!
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混迷の時代、みなさんは如何に生き抜きますか。

IT革命、資源エネルギー価格の不安定化、新興国の台頭、少子高齢化の進展などにより、世界も日本も激動の波に飲まれつつあります。

また、国境を越えた活動が盛んになればなるほど、逆に、国や社会のあり方を無視できなくなるという状況も生まれてきております。

自分たちの国や社会がどこから来てどこに向かうのかを自分なりにしっかり見極める大局観を持つことが重要な時代になりつつあるのではないでしょうか。

そんな中、青山社中株式会社ではビジネスマンを含む多くの方々に、
上記のような大局観やパブリックマインドを持ったリーダーとして活躍していただくことを目的として、「青山社中リーダーシップ・公共政策学校」を開講しています。

校長は経済産業省、ハーバード大学を経て、霞ヶ関改革に奔走した後、日本活性化のための法人「青山社中株式会社」を起業した朝比奈一郎が、
副校長は内閣府、ケンブリッジ大学などを経て、前陸前高田市副市長を務めた久保田崇が務めます。

【講座のポイント】
・大組織の中で改革の活動をリードしてきた、朝比奈によるリーダーシップ講座の直接指導があります。
・現代日本における「政治・行政」「経済・財政」「地方自治」「医療・社会保障」の各分野の解決策を模索する上でのリテラシーを養うことができます。
・各分野の一流の講師たちに直接質問したり議論し、最新の知見を得ることができます。
・同じ志を持ったビジネスパーソン、公務員など様々なバックグラウンドの方々と議論し、ネットワークを構築することができます。

【講座内容】(毎回水曜 19:30~21:30)
10月:リーダーシップ編(全3回) 担当:朝比奈一郎(青山社中筆頭代表CEO/中央大学客員教授)
11月:政治・行政編(全3回)   担当:竹中治堅(政策研究大学院大学教授)
12月:経済・財政編(全3回)   担当:小黒一正(法政大学経済学部教授)
1月:地方自治編(全3回)     担当:久保田崇(前・陸前高田市副市長/元内閣府参事官補佐)
2月:医療・社会保障編(全3回)  担当:宮田俊男(日本医療政策機構エグゼクティブディレクター・医療政策ユニット長)

各分野1講座あたり一ヶ月に3回の授業(夜19:30~21:30)となっており、
ご興味のあるものだけ個別受講することも可能です。1講座5万円 (入学金1.5万円が別途かかります)
お忙しいビジネスパーソンの方でもお仕事の負荷に合わせて関心分野の最新知識を効率的に学ぶことができます。
遠隔受講も可能です。

今回、できるだけ多くの方々に講座のエッセンスをお伝えしたいと思い、無料体験授業をご用意いたしました。
大局観を身につけ、国や社会のために行動していきたいという方は、魂に火を付ける渾身の授業に是非一度ご参加ください。

無料体験授業の日程、講師プロフィール等詳細については下記URLからご覧ください。
https://aoyamashachu.com/project/leader_extension/index.html

【無料体験授業お申し込み】
9月12日(土)14:00~15:30 (担当:久保田)http://ptix.co/1eHZj9W
9月24日(木)19:30~21:00 (担当:朝比奈)http://ptix.co/1MyFFfj

共に議論できることを楽しみにしております。

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<2> 沼田市経済活性アドバイザーに就任しました(朝比奈)
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8/8に朝比奈が沼田市の経済活性アドバイザーに就任しました。
沼田市は、群馬県の北部に位置する、林業が盛んな都市ですが、
最近では人口が5万を割り、人口減少問題が深刻になってきております。

その対策として、市長や市役所幹部と連携しながら「ぬまた起業塾」(https://www.city.numata.gunma.jp/kigyo.html)
を7月より開講致しました。

全国的に地方創生が叫ばれておりますが、地域の経済活性化を行い、人口を維持するための施策として、「起業」による雇用創出は気持ち・雰囲気を変える大きな鍵となります。

本施策のみならず、今後とも沼田市の経済活性に取り組んでいきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。

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<3> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾4期生:増渕 洋平
「あれれ、これは何かおかしいぞ。」と日常生活で覚える違和感。このような違和感を持ちながらも、自分が所属する組織のためだから、それがルールだから、みんながそうだからと、無理やり自分を納得させることはないのだろうか。そして、自分の組織のためだからと小さな悪事を正当化することで、集合体として最悪の事態をむかえている不祥事が話題を呼んでいる。

ハンナ・アーレントは、「巨悪は思考停止の凡人によって行われる」と、思考停止の危険性を提唱する。これは違和感をもとに組織に対してNoと言い具体的な行動に移すことの難しさを表していると思う。

周りといざこざを起こしたくない、嫌われたくない、ここで頑張ってもどうせ報われない・・・面倒な理由はいくらでも挙げられるなかで、自らリーダーシップを発揮して、Noと言えるのか、自分が所属する組織をいい方向に持っていくよう行動に移すことができるのか。そのようなリーダーシップの重要性を、リーダーシップの理論、伝記を通じた具体的な人物の人生を、去年4月からのリーダー塾座学編を通じて学ぶことができた。

また、リーダーシップを知識として学ぶことに留まらず、塾頭である朝比奈さんは、「偉大なる教師は、内なる心に火をつける」と言われる通り、塾生の問題意識を揺さぶり(思考停止にさせない)、徹底的な議論を通じて、塾生をtake actionしなければいけない気持ちにさせる。

私の例であるが、日本全体が抱える課題に対応すべく政策研究会で活動を行い、問題意識の高い仲間とともに、色々な仕掛けを働きかける準備を行っている(もちろん、その先の行動も見据えた上で)。

日々の活動においても、①所属する組織をclientがより満足するアウトプットを出せることができるよう、clientとのコミュニケーションを通じてclientのニーズを把握し、今まで組織内で常識とされていることに疑問を投げかけ、時には逆風にさらされる場面があるものの、Noというのみではなく、積極的に手足を動かし建設的な対案を行っている、②日本の深刻な社会問題である少子化問題にミクロレベルで対応するため、男性の家庭進出を図るべく、短期間であるもの育児休暇を取得し、幼稚園等の子どもの行事にもできるだけ参加するとともに、友人・同僚にも取得・参加を呼びかけている。

*青山社中リーダー塾5期生が合宿を開催
塾生の自主企画で実施されている合宿が5期生によって行われました。今年度5月に入塾した5期生は、講義がスタートしてから約4ヶ月が経過しました。合宿では講義の内容について、また自身の今後の人生設計についてのプレゼンテーションを行うなど、塾生同士の親睦を深めました。

*NPO法人「地域から国を変える会」◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。
地域から国を変える会では平成27年度総会を開催しました。これまでの活動を総括するとともに、今後、新たな地域への進出する計画についても議論を行いました。

「地方創生」が叫ばれ続け、地域が元気になれば様々な問題が解決されるという文脈の話をあまた見かけます。しかし、自省も込めて言えば、「これからやる」話が多く、結果どうなったのかが今いち見えない気がします。ここに検証作業が苦手な日本の一端が見える気がします。我々は、地域での実践を継続しつつ、様々な地域活性施策を検証することの研究を行い、地域活性の政策的な意義を確かめていきたいと考えています。引き続き、地域活性に貢献したいという会員の方を、広く募集しています。お問い合わせは理事の大山ohyama@aoyamashachu.com までお気兼ねなくどうぞ。

*一般社団法人 「日本と世界をつなぐ会」◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。
今月は10/6に在ロシア日本国大使館で行う三条市の展示会開催に向け、ロシア視察実行委員会(三条市、三条商工会議所、燕三条地場産センター、三条市貿易振興会)と弊会で企画の立案を行いました。この企画では、海外(特に欧米)での販売実績のある三条企業の金属加工製品の品質の高さや「2020年東京オリパラを活用した地域活性化推進首長連合」会長の國定氏が参加すること等をPRし、ロシアの政府関係者やバイヤーなどを招待することで、三条企業の海外販路開拓のきっかけとなる人脈作りを行いたいと考えています。

また、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する「技能実習制度」の適正化及び拡充に向けた調査に協力し、報告書を作成致しました。

弊会の活動にご興味のある方は、事務局長・駒形(連絡先:komagata@aoyamashachu.com)までご連絡をお願い致します。

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<4>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<8月の実績>
・8/26 株式会社ネオキャリア代表取締役 西澤亮一氏と共に収録したビジネスブレークスルーチャンネルの講義がCSスカパー557chにて放送 (朝比奈)
https://aoyamashachu.com/news/2015/1683.html

・8/10 エズラ・ヴォーゲル教授の青山社中フォーラムでの講演録と朝比奈の解説がビジネス雑誌「プレジデント」で記載 (朝比奈)
題名: これから30年、日本はもっと強くなる 『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は変わらない。足りないものはファイトだけhttps://aoyamashachu.com/news/2015/1688.html

・8/14 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
題名:敗戦の日に学ぶ大局観 安保法制、新国立競技場…求められる覚悟
https://aoyamashachu.com/news/2015/1708.html

<9月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」9月号にて記事掲載予定 (朝比奈)
・日本教師教育学会 第25回大会にて「人口減少時代に求められる学校教育や教師教育を考える」をテーマに講演予定(朝比奈)
・9/8 青山社中フォーラム Vol.28 年金積立金管理運用独立行政法人 理事 兼 CIO 水野 弘道氏による講演会
http://ptix.co/1MLV23S
・9/12~13 青山社中リーダー塾 1~5期生の合宿
・9/12, 24 青山社中リーダーシップ・公共政策学校 無料体験授業開催

 
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