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2015年10月30日

青山社中メールマガジンvol.59 迷い、迷わされて5周年。犬は吠えるが、キャラバンは進む。 デロリアンはきっと空を飛ぶ。

青山社中メールマガジンvol.59 迷い、迷わされて5周年。犬は吠えるが、キャラバンは進む。 デロリアンはきっと空を飛ぶ。

あと2週間ほどで、弊社は設立5周年を迎える。これまで支えてくれた多くの方々に対しては、感謝の気持ちしかないわけだが、果たして、そうした方々の期待にきちんと応えているのか、と言われると、やれるだけのことはやっていると胸を張れるような、まだまだ努力が足りないと内心忸怩たる気持ちを隠せないような、正直、妙な感じがしている。

この気持ちは、何となく、自分や会社の将来像について抱く感情と似ている気がする。つまり、知人などから、「不惑の40歳を超え、経営を5年やってきたわけだが、これから、朝比奈は、青山社中は、一体どこに向かうのか?」という質問をしばしばされるが、その時に感じる気持ちだ。

確かに、「これまで通り、人を創り、政策を練り、地域活性化に取り組み、我が国のグローバル展開を促進し、必要に応じて他の事にも取り組み、坂本龍馬や亀山社中のように、とにかく日本を活性化するために色々とやるつもりです」と答える自分には、少しの迷いもない。ただ、正直、会社設立に奔走していた5年前や霞が関改革に役人として取組んでいた10年前に、今の姿を全く予想できていなかったように、これから先、どういう立場でそれらに取り組んでいるのか、想像もつかないため、何やら、抽象的で不誠実な答えをしているような後ろめたさも感じる。迷っているような、全く迷いはないとも言えるような、そんな不思議な気持ちだ。

当面、政治家や官僚という「分かりやすい立場」は捨て、「地位」を追い求めることから自由になることで、逆にこの国や社会にとって本当に必要なことを実現していく、ということについての迷いはない。大きな道、中長期的に向かっている方向については、確信を持って、大地を踏みしめながら歩を進めていると言っても過言ではないと思う。北極星はいつも大体同じところにあって、旅人たる自分たちの「道しるべ」となってくれている。

しかし、日々の迷いは絶えることがない。「本当にこの仕事を受けて/受けないで良いのだろうか」「もっとやらなければならない大切なことを忘れてはいないだろうか」「こんな財務状況であんなことをやっていいのだろうか」といった悩みは尽きない。そんな状況下、やると決めたことについては、我ながら、よく体力・気力の限界まで働き続けていると思うことがあるが、どうしてかと言えば、何度倒されても殴られても謎の敵スミスと戦い続ける『マトリックス』の主人公ネオよろしく、理屈抜きに、“Because I chose it”(その道を自分が選んだから)という言葉ででしか説明が出来ない気もする。
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そんなことをつらつら考える中で、ふと、「短期と中長期」という命題を思い出す。最初に、明示的にこの違いを意識したのは経済学を学んでいた時だ。

大恐慌で失業者が街にあふれ、目を覆いたくなるような貧民の惨状がある中、「中長期的な市場メカニズムによる価格・数量調整」を説く経済学に疑問を感じ、本当に「レッセ・フェール」で良いのかと痛切に感じた経済学者がケインズである。「長期で考えれば、我々は皆死ぬだけだ」「嵐の中にあって、『嵐が通り過ぎれば平穏になる』と説くのが経済学者で良いのか」などと喝破し、財政・金融政策による「経世済民」を理論化した。

しかし、不況期などにダメな企業が淘汰されずにゾンビ企業となることをむしろ問題視し、中長期的な景気循環などを重視したのがシュンペーターだ。中長期的な経済発展をめざし、新結合によるイノベーションを、むしろ彼は重要視する。

“in the short run”(短期)と“in the long run”(長期)。必ずしも矛盾するわけではないが、視座は確かに異なり、結局は、両方にバランスよく目を行きわたらせることが肝心となる。健康面で言えば、投薬などによる短期的な体調の回復と運動や精神修養などによる長期的な体作りの両方が大切であり、政治面で言えば、アベノミクス的な短期的な金融政策による景気回復策などの人気施策も、中長期の安保体制構築を見据えた不人気政策の実施も、共に考えていかなければならない。

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これまで、青山社中としては、中長期的な日本の活性化を目論みつつも、短期的な必要性も意識して、様々な挑戦をしてきた。

日本には、マニュアルに従って受験戦争を勝ち抜いた疑似エリートはいても、本質を見据えて変革に取り組む「始動者」たるリーダーが少ないと感じ、創設したのが「青山社中リーダー塾」。中長期的な人材育成の必要性を意識して真っ先に創設し、5期生を数えるまでになっている。更に、数か所で教鞭をとり、新たなニーズに合わせた教育事業を展開している。(地方議員向けのG1東松龍盛塾、公務員志望者などを育てる中央大学公共政策大学院、社会変革型リーダーの挑戦や構想力について考える大前研一氏が主宰するBBTの講座、パブリック・リーダー育成を目指した青山社中リーダーシップ・公共政策学校、等)

そして、消滅可能性都市・地方創生の議論が盛り上がる中、それより遥か前に、塾生たちに突き上げられる形で、彼らと共に創設したのが「NPO法人地域から国を変える会」。以来、那須塩原市、三条市、川崎市、沼田市の現場に何度も何度も飛び込み、その土地の方々と語り合い、土地の実情や本当に必要とされていることを考え抜きつつ、各市のアドバイザーにも就任して、様々な事業に取り組んできた。最近では、我が国各主体のグローバル展開の必要性も見据えて、塾生たちと一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」を設立し、例えば先々週はロシアに行って、地域の産品をモスクワの日本大使館を借りて展示・商談をする会のアレンジもしてきた。

もちろん、創業者2名が元々官僚であるという出自も活かし、政党や政治家向けの政策支援サービスも展開している。次世代にいい影響をもたらすような政策を、ビジネスベースで作成・展開していくサービスである。公務員制度改革などでは、国会の参考人も務め、実現の一助になったと考えている。

これさえやれば日本は決定的に良くなる、というボーリングで言う「センターピン」がない(見つからない?)中、上記のように様々な「社会変革事業」を展開してきた。いうなれば、「王様を取ったら勝ち」という「チェス」や「将棋」のような勝負の仕方ではなく、あちらこちらに根を張って、それらが徐々につながっていく事で大きな耐性のある陣地を構築する「囲碁」のような勝負の仕方だ。短期的な成果も求めつつ、どちらかと言えば後者を見据えていると言えるだろうか。

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そんなわけで、2週間後に迫った「青山社中設立5周年」という節目を通り過ぎても、我々は、「急がず、さりとて、休まず」この国の変革に向けて地道に歩み続けるのだろう、というごく当たり前の結論が、或る時は高揚感を伴って、或る時は、よくある平凡な荒れ地として、私の目の前に広がる。

ただ、人生の絶望は、「先が見えすぎてしまうこと」からも来るし、「先が全く見えない」ことからも来ることに気づけば、青山社中の現状というのは、むしろ、絶望から最も遠い非常に良い状態なのかもしれない。

私がまだ少年の頃、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という非常に独創的な映画があり、何度も何度もワクワクしながら見たことを思い出す。先日、久しぶりに5歳の息子と一緒に見て気づいたが、この映画は1985年の米国が舞台で、タイムマシンのデロリアンが飛び立つ30年後の未来は2015年の10月21日だった。そこでは、空中を自動車が飛び交い、未だ日本企業が輝きと恐れを持って描かれていた。

そして、ついに本当に来た10月21日、即ち10日前、劇中に出てくる天才科学者ドクは、フェイスブック上のビデオメッセージで、「30年後」を迎えたことについて、次のコメントを寄せている。
“It is different than we all thought. But don’t worry, it just means your future hasn’t been written yet. No one’s has.”  (予想とは違っていたけど、心配することは無い。それはただ、君の未来が、そして誰もの未来が、まだ決まっていないってだけのことなんだ。)

そして、多くの少年たちが、「人生はきっと良いものに違いない」と、目をキラキラさせて胸をわくわくさせて確信した、あの、パート3の名セリフがそのあとに続く。“Your future is whatever you make it, so make it a good one.”
(君の未来は、それがどんなものであろうとも、君が作るものなんだ。だから、是非、良い未来を創りたまえ!)

そっくりだとよく言われる自分の息子の顔を見ていると、なんだか少年時の自分に言われているような気がしてくる。「何があってもあきらめないで、ドクが言っているように、良い未来を創ってよね。人生ってきっと良いものだと思うから。」

「こんな大人」になった自分で良かったかな、と思いつつ、デロリアンが空を飛ぶ日をまだ夢見ている今日この頃である。

筆頭代表CEO
朝比奈 一郎
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<1>「青山社中設立5周年記念 後援隊の集い」を開催
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青山社中はまもなく5周年を迎えます。先日は青山社中後援隊の皆様とちょっと早めに5周年を一緒に祝いました。朝比奈 (CEO)・遠藤(COO)から青山社中のこれまでや今後について1時間ほど、お話をさせて頂き、その後懇親会を開催しました。
https://aoyamashachu.com/news/2015/1851.html

青山社中は、日本を「世界に誇れ、世界で戦える」国にするためには、日本のあるべき姿を実現するための政策、日本のあるべき姿を深く考えリスクを取った決断ができるリーダー、 世界を相手に戦う活力のある組織、の3つが必要だと考え、2010年11月15日(坂本龍馬の誕生日かつ命日)に設立した会社です。

今年で5年という節目の年を迎えることができたのも、これまでさまざまな形で私達を支えてくださった皆様のお陰であり、厚く御礼申し上げます。

今後とも、皆様の変わらぬご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

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<2>青山社中リーダーシップ・公共政策学校 開講!
(まだまだ申し込み受付中)
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10月14日に青山社中リーダーシップ・公共政策学校が開講しました。
10月は朝比奈 一郎 (本学校長/青山社中筆頭代表CEO/中央大学客員教授)が、3回にわたる「リーダーシップ編」にて熱弁を振るい、受講生と共に熱い議論を交わしました。
https://aoyamashachu.com/news/2015/1860.html

以下の1講座あたり一ヶ月に3回の授業(夜19:30~21:30)となっており、ご興味のあるものだけ個別受講することも可能です。
お忙しいビジネスパーソンの方でもお仕事の負荷に合わせて関心分野の最新知識を効率的に学ぶことができる上に、動画による遠隔受講も可能です。

【講座内容】(毎回水曜 19:30~21:30 第1回お申し込み期限 10月9日(金))
11月:政治・行政編(全3回)   担当:竹中治堅(政策研究大学院大学教授)
12月:経済・財政編(全3回)   担当:小黒一正(法政大学経済学部教授)
1月:地方自治編(全3回)     担当:久保田崇(前・陸前高田市副市長/元内閣府参事官補佐)
2月:医療・社会保障編(全3回)  担当:宮田俊男(日本医療政策機構エグゼクティブディレクター・医療政策ユニット長)

【講座のポイント】
・大組織の中で改革の活動をリードしてきた、朝比奈によるリーダーシップ講座の直接指導があります。
・現代日本における「政治・行政」「経済・財政」「地方自治」「医療・社会保障」の各分野の解決策を模索する上でのリテラシーを養うことができます。
・各分野一流の講師たちから最新の知見を得ることができます。
・同じ志を持ったビジネスパーソン、公務員など様々なバックグラウンドの方々とネットワークを構築することができます。

11月以降の講座の受講は、まだ申し込みを受付けておりますので、受講を希望される方は下記URLをクリックして、内容をご確認の上、受講フォームよりお早めにお申し込みください。(各講座初回講義前日まで申し込み可能です)
https://aoyamashachu.com/contact_aslg1/

校長の朝比奈をはじめ講師一同、皆様と議論できることを楽しみにしております。

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<3>  G1東松龍盛塾第一期終了のご報告
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「G1東松龍盛塾」が無事終了しました。
https://aoyamashachu.com/news/2015/1867.html

「G1東松龍盛塾」とは地方議員、地域リーダーのためのリーダー塾です。
朝比奈が塾長を務めており、20名の若手政治家や地域リーダーが1期生として2年間、合計12日間、リーダーシップ、
ビジネスマインド、近現代史、近代思想、そして具体的な政策テーマについての学びを修了しました。

最終講義はG1中国・四国との共同開催となり、通商政策(TPP)やエネルギー問題(原発問題)などを取り扱いました。修了生たちが各地の核となり、日本がさらにより良い方向へ進んでいくことを期待しています。

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<4> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾生が合同クラスを行いました。
https://aoyamashachu.com/news/2015/1889.html

青山社中合同クラスとは、青山社中リーダー塾生1期生~5期生までの塾生が集まり、年3回開講されるクラスです。今回は塾生活動報告に引き続き、自由民主党 衆議院議員 農林水産副大臣の斎藤健氏をお招きし、ご講演頂きました。

多様な経験を積み、内省を重ねることや自分なりの国家観・歴史観・世界観・人間観を持つことなど、斎藤健氏のこれまでのご経験から、リーダーとして成長していくために必要な要素などについてのお話を伺いました。

参加した塾生一同、大変関心を持ちながら話を聞いており、大盛況となりました。

*NPO法人「地域から国を変える会」◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。

●三条チーム 三条市の山間部・下田地域に滞在型職業訓練施設を廃校となった小学校に開設すべく、事例調査・設計を進めています。これは、下田地域に移住していただき、座学の訓練や地元企業・農家などでの実習を受けつつ、下田地域に根差した仕事に従事していただくことを目指しています。

●沼田チーム 「ぬまた起業塾」はビジネスプラン作成の段階に入りました。少人数ゼミ形式で、塾生の起業動機やスキルの徹底分析&起業を想定しているマーケットの徹底分析を行っています。もやもやしているアイデアの整理整頓が起業塾の重要な役割の一つです。

*一般社団法人 「日本と世界をつなぐ会」◎青山社中リーダー塾生が中心となり立ち上げた団体です。
弊会がアレンジ・コーデディネートする形で10/6に在ロシア日本国大使館で「三条市特産品内覧会・日露交流会」を実施しました。(https://aoyamashachu.com/news/2015/1820.html)
三条市長のプレゼンテーションや金属加工技術を活かした製品の実演などを通してPRをした結果、三条企業と現地企業の間でいくつか商談が進んでいるようです。現地のバイヤーや政府関係者含む約70名が参加し、今後のビジネス展開の土台作りとして、非常に重要な機会となりました。

ロシアに限らず、ベトナムにおいても三条企業の製品を集めた展示会の実現に向けて動いており、「コンセプト」「PR方法」など、全体方針について三条企業やベトナムのパートナーと調整を進めております。

弊会のサービスにご興味のある方は、事務局長・駒形(連絡先:komagata@aoyamashachu.com)までご連絡をお願い致します。

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<5>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<10月の実績>
・10/2 四国生産性本部にて講演 (朝比奈)
題名:リーダーシップ論から考える地域・企業の活性化
https://aoyamashachu.com/news/2015/1856.html

・10/3 「青山社中設立5周年記念 後援隊の集い」にて講演 (朝比奈・遠藤)
https://aoyamashachu.com/news/2015/1851.html
※「後援隊」とは
青山社中の理念・事業に賛同し、活動を後援頂ける方々による会員組織。

・10/18 G1東松龍盛塾にて講義(朝比奈)
講義内容:通商政策(TPP)、エネルギー問題(原発問題)などについて
https://aoyamashachu.com/news/2015/1867.html

・10/20 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
https://aoyamashachu.com/news/2015/1874.html
題名:新しい政権運営の「ホンネ」とは? タカ派イメージ脱却、人口問題にも対処

・10/23 「重徳和彦衆議院議員を育てる会」にて講演 (朝比奈)
題名:家康公に学ぶチャレンジ精神 ~天下を取る真のリーダーとは~

・月刊武道11月号「武道の可能性を探る」シリーズにて記事掲載(朝比奈)
題名:グローバル化と剣道の理合い
https://aoyamashachu.com/news/2015/1885.html

・10/30 東京MXのニュース番組「モーニングクロス」にて取材内容が放映(朝比奈)
取材内容:日本のインフラ輸出の現状と課題について

<11月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」11月号にて記事掲載予定 (朝比奈)
・静岡東部日経懇話会(日経新聞静岡支局)にて「全方向から日本を変える ~リーダー教育、地域活性、グローバル展開、政策作りの各現場で思うこと~」をテーマに講演予定(朝比奈)
・那須塩原市、大田原市、那須町、那珂川町からなる「定住自立圏」を対象に人口問題等について講演予定 (朝比奈)

 
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