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2016年7月7日

青山社中メールマガジンVol.68 「任せる」リーダーへの疑問  ~ 新都知事への期待 ~

青山社中メールマガジンVol.68 「任せる」リーダーへの疑問  ~ 新都知事への期待 ~

すったもんだの大混乱の末、まもなく、新しい都知事が誕生する。

石原慎太郎氏が2012年に任期途中で退任するまで、都知事と言えば4年の任期を全うすることは当たり前だった。それどころか、1人で何期も務めることが少なくなく、コロコロと総理が変わる国政に比べて、その安定度が際立っていた。

完全に余談であるが、こうした安定度もあって、私が生まれる10年前の1963年から石原慎太郎知事の4期目が開始した2011年まで、ほぼ半世紀(48年)の間、都知事の就任日は、ずっと、私の誕生日の4月23日であり続けた。

そんな安定的な都知事が、この4年足らずで石原氏→猪瀬氏→舛添氏と変遷し、また新しい知事が誕生しようとしている。真実は闇の中ではあるが、知事と議会や役人とのスタンスの乖離から、スキャンダルが意図をもって表出しているという解説もある。

次こそは、カネや異性関係の問題のない、立派な方に就任して頂き、安定的な都政を期待するのが人情ではあるが、果たして「安定」が最大の希望であって良いものだろうか。更に言えば、安定のためには、都議会与党や部下たちの「神輿(みこし)」に乗ることが、新知事にとって最も近道だが、本当にそれで良いのだろうか。
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最近、世間のリーダー論を見るに、「任せる力」というのが一つのブームになりつつある。確かに、多くの人は立場上、「リーダー」というよりは、「フォロワー」であるので、「部下に任せる」「任された人が自由に力を発揮する」「リーダーは動かずとも、チームとしてのパフォーマンスが極大化する」といった言説が、世間に心地よく響くことは間違いないところだ。

ただ、日本の家電メーカーの凋落を例に挙げるまでもなく、理系・技術部門・現場などの出身で、自ら製品やサービスにこだわりをもって経営をしていた創業者世代から、「自分は文系で製品に関する細部はよく分からないので任せるが、管理部門の経験は豊富です」的なサラリーマン社長になった瞬間、没落していく企業は少なくない。

世上、シリコンバレー等で成功しているIT企業は、いわゆるESD型CEO(Entrepreneurial System Designer 型のトップ)が統治しているケースが多いと言われており、アマゾンのジェフ・べゾス、フェースブックのマーク・ザッカーバーグ、グーグルのラリー・ページやセルゲイ・ブリンなど、みな、自らIT技術に通暁し、こだわりをもって製品やサービスを産み出しているESD型CEOである。ジョブズなきアップルをティム・クックが率いて苦戦しているが、彼がESD型かどうかは議論が分かれるものの、少なくともジョブズより「ESD度」で劣ることは間違いないであろう。
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さて、政治に話を戻す。例えば国政を見るに、戦後、日本が大きく伸びた時代の総理の多くは官僚出身で政策や法律に通暁していた。安倍総理の祖父でもある岸信介、池田勇人、佐藤栄作、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘など、著名な総理はことごとく官僚出身であった。田中角栄は官僚出身ではないが、33本の議員立法を成立させたという未だに破られていない記録の持ち主であり、政策や法律に誰よりも通じていたと言って良いであろう。

因果関係の証明が困難で、かつ、やや乱暴な議論であることを承知で書けば、日本が衰退した一つの要因は総理と言うリーダーの劣化ではなかろうか。1993年に退陣した宮澤喜一以降、「失われた10年~20年」と言われる時代を通じて現在に至るまで、官僚出身者は宰相になっていない。企業で言えば「ESD型CEO」にあたる宰相が減った一つの証左であろう。政治の文脈に則して言えば「政策立案型宰相」とでも言うべき人が今求められている気がする。

「細かい政策はよく分からないので官僚に任せるが、大きな方向性は打ち出します」的な言説は、一見聞こえがいいが、どうも、実は本質的な改革に踏めないことの言い訳にも見える。時折大きな「政治的うねり・ドラマ」はあるものの、もう30年近くもの間、本質的な改革は実施されておらず、単なる「ブーム」で終わっている気がする。

同じことは都政でも当てはまると考えるところ、間もなく誕生する新都知事が、「創造的な政策立案型」のトップであることを期待しつつ、筆をおくこととしたい。

筆頭代表CEO
朝比奈 一郎

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<1>2016年度 青山社中リーダーシップ・公共政策学校開講
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混迷の時代、みなさんは如何に生き抜きますか。

IT革命、資源エネルギー価格の不安定化、新興国の台頭、少子高齢化の進展などにより、世界も日本も激動の波に飲まれつつあります。

また、国境を越えた活動が盛んになればなるほど、逆に、国や社会のあり方を無視できなくなるという状況も生まれてきております。

自分たちの国や社会がどこから来てどこに向かうのかを自分なりにしっかり見極める大局観を持つことが重要な時代になりつつあるのではないでしょうか。

そんな中、青山社中株式会社ではビジネスマンを含む多くの方々に、
上記のような大局観やパブリックマインドを持ったリーダーとして活躍していただくことを目的として、「青山社中リーダーシップ・公共政策学校」を開講しています。

【講座のポイント】
・大組織の中で改革の活動をリードしてきた、朝比奈によるリーダーシップ講座の直接指導があります。
・現代日本における「政治・行政」「経済・財政」「地方自治」「医療・社会保障」の各分野の解決策を模索する上でのリテラシーを養うことができます。
・各分野の一流の講師たちに直接質問したり議論し、最新の知見を得ることができます。
・同じ志を持ったビジネスパーソン、公務員など様々なバックグラウンドの方々と議論し、ネットワークを構築することができます。

【講座内容】(毎回水曜 19:30~21:30)
10月:リーダーシップ編(全3回) 担当:朝比奈一郎(青山社中筆頭代表CEO/中央大学客員教授)
11月:政治・行政編(全3回)   担当:竹中治堅(政策研究大学院大学教授)
12月:経済・財政編(全3回)   担当:小黒一正(法政大学経済学部教授)
1月:医療・社会保障編(全3回)  担当:宮田俊男(日本医療政策機構エグゼクティブディレクター・医療政策ユニット長)
2月:地方自治編(全3回)     担当:久保田崇(前・陸前高田市副市長/元内閣府参事官補佐)
3月:社会を変える編(全3回)   担当:小室 淑恵 株式会社ワークライフ・バランス代表取締役
                    小木曽 稔 一般社団法人新経済連盟事務局 政策統括/楽天株式会社渉外室渉外課長
                    佐藤 大吾 一般財団法人ジャパンギビング代表理事/ NPO 法人ドットジェイピー理事長/株式会社 JG マーケティング代表取締役

各分野1講座あたり一ヶ月に3回の授業(夜19:30~21:30)となっており、ご興味のあるものだけ個別受講することも可能です。

お忙しいビジネスパーソンの方でもお仕事の負荷に合わせて関心分野の最新知識を効率的に学ぶことができる上に遠隔受講もご用意しています。

カリキュラム、講師プロフィール等詳細については下記URLからご覧ください。
https://aoyamashachu.com/project/leader_extension2016/index.html

また、無料説明会を開催しておりますので、ご興味のある方は、下記URLよりお早めにお申し込みください。

【無料説明会お申し込み】
8月31日(水) 19:30-21:00 http://ptix.co/29Z6DMp
9月7日 (水) 19:30-21:00 http://ptix.co/2adumwo
9月17日(土) 14:00-15:30 http://ptix.co/2aduA74

【受講申し込みフォーム】
https://aoyamashachu.com/contact_aslg1/

校長の朝比奈をはじめ講師一同、皆様と議論できることを楽しみにしております。

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<2> 青山社中フォーラムVo.32 開催のご報告
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青山社中フォーラムVol.32 厚生労働大臣 衆議院議員の塩崎恭久氏による講演会を開催しました。
https://aoyamashachu.com/news/2016/2755.html

厚生労働大臣というリーダーの立場から、医療、社会保障、働き方改革、経済など、様々な分野における課題に対する政策などについて、持論を情熱的に語って頂きました。

参加者は100名を超え、大盛況でした。次回の青山社中フォーラムも近日中に案内を致しますので、奮ってご参加下さい。

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<3> 教育・リーダー育成事業のご報告
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青山社中では筆頭代表の朝比奈を中心に教育・リーダー育成事業を行っています。

今月は、企業・自治体向けには、

・四国生産性本部による「四国リーダー塾」http://www.spc21.jp/business/leader/
・奈良県生駒市役所での職員研修
・キャスレーコンサルティング株式会社による「トライセクター リーダーシップ講座」http://www.casleyconsulting.co.jp/leadership/

など、講師として各地で講義やセミナーを行いました。

また、個人向けには、政治家・パブリックリーダーを育てることを目的とした「G1東松龍盛塾(http://www.ryouma-project.com/g1/)」がグロービス東京校にて開催され、朝比奈は塾長として、全体ガイダンス、日本の現状、霞が関の現実、エネルギー・通商政策などの講義を行いました。

教育・リーダー育成事業にご関心のある方は、下記をご参照ください。(過去の講演実績の閲覧や講演の依頼が可能です)
https://aoyamashachu.com/project/education/seminer

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<4> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾
今年度1回目のリーダー塾合同クラス(政治・行政編)では、ハーバード大学 社会科学名誉教授のエズラ・F・ヴォーゲル先生をお招きしました。

日本が世界でNo.1の国家として評価されていた時代から今日までの日本を見続けられており、社会科学の分野に造詣の深いヴォーゲル氏から5人の政治家、鄧小平、朴正煕、李光耀、田中角栄、中曽根康弘、それぞれのリーダーシップについてお話し頂きました。

社会を変えるリーダーの特徴について、数多くの示唆を得ることができ、特にパブリックの分野での活躍を目指す塾生などにとって、非常に刺激的な講義でした。

*青山社中リーダー塾 5期生 高山直仁
個々人、いや組織・社会であっても、その未来を決定づける力とは、何だろうか。その人、組織・社会の持つ能力、技術、教育環境、きっとたくさんのことを挙げることができるだろう。しかし、私にとって答えはこうだ。「意志・想い」である。

気がつけば、山梨県で働きながら南アルプス、八ヶ岳、秩父山塊を歩き回っていた時期からはもう1年以上が経つ。2015年4月、私は所属元から出向という形で上京し、東京で働く機会を得るとともに、5月、青山社中リーダー塾へ入塾した。そして、この4月からは北京で働いている。赴任をした当初は、中国語を専門的に勉強した経験もない私は、まるで「赤ちゃん」に戻ったような気持ちになった。恥ずかしながら、中国語の発音に耳馴れず、タクシーに乗ったり、買い物をすることから一苦労だったのである。しかし、日々「赤ちゃん」が「子ども」、「大人」になる喜びを味わっている。

さて、冒頭にも述べた、私の「意志・想い」を考えてみたい。こう考えるとき、私には、桑田佳祐ばりの歌唱力で周りを驚愕させる仲間の塾生が歌う「ピースとハイライト」が聞こえ、また、幼少時に親父の影響で何度も見た「大地の子」のラストシーンの陸一心の言葉を思いだしてしまう。孫文が亡くなる約1年前の1924年に神戸で遺した有名な演説(日本は、西洋覇道の番犬となるか。東洋王道の牙城となるか。」)も脳裏に浮かんでしまう。釈迦に説法になってしまうかもしれないが、第二次世界大戦後、今日程、世界が混迷している時はないのではないだろうか。欧州の英国の EU離脱問題、中東からの移民問題、テロによる悲劇の数々が連日報道され、また米国では、「米国第一主義」とも言われるドナルド・トランプ氏が正式に共和党の大統領候補に指名された。そして、東アジアでは中国の海洋を巡る問題が、極めて大きな懸案課題となっている。まさにガンダム顔負けの世界情勢である。

そんな中、我が国はどのような「意志・想い」で舵をとっていけばいいのだろうか。思うに、先ほど紹介した孫文の言葉も踏まえれば、「西洋覇道」でもなく、「東洋王道」でもなくいわば『中庸の道』である。その趣旨は、こうだ。古来より中華文明を受容しつつ、我が国は、それを吸収し独自の「和」の文化を育てあげてきた。また、幕末の時にも、西洋文明を受容するとともに、我が国の精神に合う形で独自にそれを発展させ、太平洋戦争での挫折はあるものの、世界に確固たる経済大国を創りあげた。いわば、東洋文明、西洋文明を両方を受容し取り入れることで、生き続けてきた国家が我が国なのである。こうした経緯を持つ我が国が、この混乱する世界のために果たすべき、果たさなければいけない役割は、まさに「中庸」もとにきっと大いにあるに違いない。

ずいぶんと長々と記述してしまったが、以上が、塾頭、塾生と昨年度一年の間大いに議論をし具体的に腹落ちした私の「意志・想い」である。坂本龍馬も、渋沢栄一も、孫文も、自分の強い「意志・想い」のもとに地位(ポジション)にとらわれない生き方をしてきた。この想いを胸に、明日を切り開く。

*NPO法人「地域から国を変える会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
ホームページhttp://chiikikara.org

【群馬県沼田市】
起業家養成塾「第二期ぬまた起業塾」が開講しました。地元ご出身であるぎょうざの満洲金子会長のご講話をはじめ、起業家魂を伝える熱い講義が今年も始まっています。
ぬまた起業塾HP http://www.city.numata.gunma.jp/jigyosha/chusho/sangyo/1003602.html

【兵庫県多可町】
兵庫県多可町で、「ラベンダーを利用した商品開発」と「起業家養成セミナー」を実施することとなりました。兵庫県中央に位置する多可町には、ラベンダーパーク多可や奈良時代から作られている杉原紙など、自然を活かした特産品にあふれています。今回は、商品開発・販路開拓などの専門家とタッグを組み、商品開発中です。

【新潟県三条市】
10月に本開講する「しただ塾」は、地元企業への就職や地域の観光資源を活かしてた起業などを目指す方に最適な滞在型職業訓練施設で、本会で運営支援をしています。経営者講話や観光資源の発掘についてのプログラムが日々実施されます。8月21日(日)14:00~ 東京で、8月27日(土)14:00~三条で説明会が開催されます。詳しくは、三条市役所 市民部地域経営課(TEL 0256-34-5646)までお問い合わせください。

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
7/20-22の3日間(移動も含めて5日間)ホーチミンに渡航し、燕三条企業の海外販路開拓を意図したビジネスマッチング商談会、インバウンドを視野に入れた市長のプレゼンなどを含む燕三条地域のPRをイベントを実施しました。
https://aoyamashachu.com/news/2016/2745.html

現地の業者MAI INTERNATIONALさんの協力もあり、ホテルニッコーサイゴンでの商談会にはひっきりなしにベトナム側バイヤーが訪れ、予想を上回る70名超の参加を得て、今後につながりそうな話も多々ありました。

JETROホーチミン事務所長やホーチミン総領事の挨拶があったり、ベトナムの有名な芸能人と一緒に、市長らが鏡割りをしたり、と大盛況でした。メディアもトイチェやタイニンと言った大手新聞メディアに加え、VTVなどの国営放送も取材に来ました。

視察では、イオンベトナムの現地社長からベトナムでの小売市場の概況や取り組みに関するプレゼンをお聞きしたり、ESUHAIでは技能実習生として日本渡航する予定の学生から話を聞いたり、日本ロジテムでは日本からベトナムへの物流に関する話を聞いたりととても有意義なものとなりました。

今回のような企画を、中長期的な視点から外需を活用し、地域を活性化する1つのモデルとして、今後の日本の人口減少・地方衰退社会の一つの活路として、展開していきたいと思います。

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<5>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<7月の実績>
・7/1 グロービスとNewsPicks主催による講演会の講演録が掲載 (朝比奈)
題名:リーダーに必要な力は指導力より「始動力」
https://aoyamashachu.com/news/2016/2677.html

・7/5 土屋人間社長塾OB会にて講演 (朝比奈)
題名:北海道の若手経営者に贈る真のリーダーシップ論 〜“やり過ぎる力”が北海道を活性化させる〜
https://aoyamashachu.com/news/2016/2727.html

・7/12 四国リーダー塾にて講義 (朝比奈)

・7/16-18 G1東松龍盛塾にて講義 (朝比奈)
https://aoyamashachu.com/news/2016/2752.html

・7/20 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
題名:世界で進む“大分裂” メディアやリーダーに立ちはだかる難問
hhttps://aoyamashachu.com/news/2016/2735.html

・7/26 生駒市役所にて職員研修 (朝比奈)

・7/27 トライセクター リーダーシップ講座にて講義 (朝比奈)

<8月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」8月号にて記事掲載 (朝比奈)

 
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