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2016年5月31日

青山社中メールマガジンvol.66 伊勢志摩サミットに対する感想 ~セレモニーとしての場のフル活用~

青山社中メールマガジンvol.66 伊勢志摩サミットに対する感想 ~セレモニーとしての場のフル活用~

先進7か国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が終わった。

私の周囲では、「今のG7に何か意味があるんだっけ?」とか「多分にセレモニー的で、オバマさんが来日ついでに広島に行ったのは良かったけど、核軍縮についても、特に具体策はないよね。」など、冷めた意見が多い。
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これらの感想は、実に「ご説、ごもっとも」である。例えば、第一回のランブイエが典型だと思うが、かつて、サミット開催地は、少なくとも日本の政治行政関係者の多くが自然に把握していた。しかるに、昨年の開催地のエルマウとか、少し前のロック・アーンなどは、担当でもない限り、ほとんど開催地としての記憶すらないのではないだろうか。それほどまでにサミットへの注目度が低下していることは否めない。

言うまでもないが、相対的に存在感を増してきているのがG20だ。首脳会合が始まったのは、わずか8年ほど前に過ぎないが、今や、新興国のコミットなしに、経済の話を実質的に進めることは難しくなってきている。安全保障面でも、火種は中東や東アジアにあるので、必然的にG20というアリーナへの注目が高まらざるを得ない。

私が霞が関に勤務していた頃は、サミット(当時はロシアも参加していて“G8”)は外務省が仕切り、G20は財務省が仕切るというのが不文律であったが(経済マターは、新興国を無視できないのでG20で財務省が仕切る形でもOKだが、純然たる外交・安保マターはG7で外務省が仕切る)、恐らく、今やそうした不文律も形骸化しているのではないかと思う。
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こうした事情を踏まえた上での今回のサミットに対する私の感想であるが、「セレモニー」としての場を、我が国としては精一杯活用したのではないかと思う。

完全雇用状態にある現状をリーマンショック前になぞらえるのは、確かにやや無理があるが、世界経済が安定的とは言えないのは確かであるし、何より、自国の利益のために開催国としてのメリットを最大限に受けようという観点に立てば(これが国際社会の現実・・・)、安倍総理は、おそらく明日(6月1日)にも発表される消費増税延期に向けて、サミットと言う舞台をフル活用したと言えよう。(構造政策や金融とセットとはいえ、財政政策を実施する方向性を宣言)

また、外交・安保は、多分に「セレモニー」が重要な意味を持つが、特に、対中国という文脈で今回の成果を見ると、ある意味政権の意図が非常に分かりやすい。

何より、「東シナ海・南シナ海の状況を懸念し」ていることを宣言して、一定の牽制を実現させたことは大きいし、貿易投資面でも、TPPや日EU・EPAに対する前向きの宣言を見せびらかすことに成功した。その他、「質の高いインフラ」「アフリカ開催となるTICAD VIへの言及」「サイバー空間の安全性」なども、外交・安保の一環とも言えよう。そしてもちろん、オバマ大統領の広島訪問を実現させたことも特筆に値する。大統領の謝罪はなくとも、「被害者としての日本」を国際的に改めて周知したことは、大きな外交的成果である。

すなわち、G7が相対的に意味を失いつつあるという制約条件の中で、精一杯、「セレモニー」としての伊勢志摩サミットを活用したと言えるのではないか。

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最後に、あまり言及されていないが、私見では、伊勢志摩という場所の活用も、セレモニーとしての意味を大いに高めたと思う。

昨今、「グローバル」と言うと、「英語」「海外経験」ということが注目されるが、私見では、確かにそれらも重要ではあるものの、時にはそれ以上に、「お前は何者であるか」ということが重要になる。即ち、他にはない自分だけの「特異性」である。

分かりやすく言えば、プレゼン力・説明能力が滅茶苦茶高い凡打者より、独特の打法で黙々とヒットを量産するイチロー選手の方が、本来は「グローバル」であるということだ(イチロー選手は、実際には英語にも堪能であると思われるが、分かりやすい喩え・イメージとして使わせて頂いている。)。

別の喩えを用いれば、東大が、現状のグローバルの大学ランキングをベースに、ハーバードやオックスフォードに追い付こうとしても、それは無理・無謀であり、むしろ、彼らにはない独自性を追求すること(例えば、「科学」以上に「技術」を磨くなど)が戦略的に大切だということだ。

ただ、同時に、「特異性」はある程度の「普遍性」も有していないと、グローバル社会における意味をなさないのも事実だ。今回のG7首脳たちの伊勢神宮訪問や、首脳の配偶者たちがグローバルブランドとして有名なミキモト(御木本)真珠島を訪問したことは、日本という国の「特異性」と「普遍性」の絶妙なPRにつながったのではないか。

いずれにしても、与えられた限界の中で精一杯頑張ることの重要性を、報道を見つつ感じた次第である。

筆頭代表・CEO
朝比奈 一郎

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<1> 青山社中フォーラム Vol.31
「G1サミット」の創設者 グロービス 堀義人氏による講演会
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グロービスの堀義人氏が青山社中フォーラムに登壇します。

堀氏は「グロービス経営大学院」学長としてビジネスリーダーの育成、また「グロービス・キャピタル・パートナーズ」代表パートナーとしてベンチャー企業の成長に向けたプロデュースなどを行っています。

今回は、各界のリーダーが参加する日本版ダボス会議「G1サミット」にて、堀氏を中心に、4年をかけて議論し、その内容をまとめたご著書「日本を動かす『100の行動』」(http://100koudou.com)を基に、 日本社会が抱える課題や、その解決に向けて取り組むべき行動などについてお話し頂きます。

本書を事前にお読みいただけますと、講演内容のより深い理解にもつながるかと存じます。

日本の未来を自ら作り上げていくために、本講演が皆様のアクションを促す一助となれば幸いです。奮ってご参加ください。

【日時】2016年6月1日(水)19:30 – 21:00

【会場】
青山社中オフィス(最寄駅:外苑前)港区南青山2-19-1 サザンキャッスルビル2階
https://aoyamashachu.com/about/access.html
※申し込みが多く弊社オフィスで収まりきらない場合に近辺の会議室で開催させて頂く可能性があります。

【申し込みページ】
 http://ptix.co/1SbUPaX

【参加費】
2,500円 (青山社中後援隊は1,500円、別途割引コード送付)
※5/27(金)以降のキャンセルは返金不可となります。コンビニ・ATMでチケットを購入し、キャンセルした場合は500円の返金手数料が発生します。

【内容】
19:00 受付開始
19:30 開会
19:35 講演
20:30 質疑応答
21:00 閉会

【講演者プロフィール】
京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur‘s Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設し、2013年4月に一般社団法人G1サミットの代表理事に就任。2011年3月大震災後には復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、代表理事を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『新装版 人生の座標軸 「起業家」の成功方程式』(東洋経済新報社)等がある。

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<2> G1東松龍盛塾 第2期生 募集中
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地域から日本を変えていく政治家やパブリックリーダーを育てることを目的とした「G1東松龍盛塾」が第2期生を募集しています。

「G1東松龍盛塾」は青山社中、グロービス、龍馬プロジェクト、G1サミットの各組織の得意分野を十分に活用しながら、『行動する軸』と『政策を作り動かす実力』をもった政治家を育むためのカリキュラムとコンテンツづくりを追求し、他にはない学びのプログラムを提供します。

主に自治体議員や政治志願者を対象として、プログラムを7月16~18日の3日間に渡りグロービス東京校にて提供します。

詳細は下記URLをご覧ください。
http://www.ryouma-project.com/g1/

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<3> トライセクター リーダーシップ講座 受講者募集中
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企業、NGO/NPO、行政機関等、セクター間の垣根を越え、世界と日本の情勢を理解した真のリーダーシップとイノベーションを創出する「トライセクター リーダーシップ講座」が6月30日より開講します。

CSVを企業理念に掲げるIT・コンサルティング会社、キャスレーコンサルティング株式会社の主催で2016年6月~2017年5月にかけて、朝比奈が講師となり、月1回ずつ講義およびワークショップを行います。

管理職、新規事業担当者、中小企業社長など、リーダーシップや事業創出による社会変革に興味がある方向けに、リーダーシップ基礎理論、伝記、国家の盛衰、日本の現状分析、主要政策などをテーマとして取り扱い、「リーダーシップ」や「大局観」を養います。

6月2日(木) 19時30分からキャスレーコンサルティング株式会社にて無料説明会を実施します。
詳細は下記URLをご覧ください。
http://www.casleyconsulting.co.jp/leadership/#

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<4> 青山社中リーダー塾通信
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5月21日より第6期青山社中リーダー塾が開講しました。

今年も予想以上の素晴らしい人材が集まったため、当初の定員より2名多い1クラス14名でスタートすることになりました。

大学生から、総合商社・金融・コンサルなどのビジネスセクターの人材、官僚、首長選挙経験者などの公共セクターの人材まで個性豊かなメンバーが揃い、闊達な議論が始まっています。

今後も講義や活動などの様子をレポートしますので是非ご注目ください!!

*青山社中リーダー塾 4期生 田中大介
愛媛県伊予郡松前町、10分も歩けば、漁港が見えるような港町で育ち、大学生になって初めて上京。5年間の大学生活を経て、就職先は長野県の田舎町の企業と、青山社中のリーダー塾の方々の中ではかなり異色の道を進んでいる自覚があります。

 一体そこで君は何をやっているの、とよく聞かれますが、立ち話程度の時は、半分冗談で『ゼリー屋さん』と答えます。もう少しツッコんでくる方には、『昔ながらの和菓子屋さんや外食産業・病院向けに、商品を売り込みに行ってるよ』と言います。だいたいの方はこれで納得されますが、中には真剣に、私の仕事内容を知りたいと言う方もいらっしゃいます。その方には、こう説明します、『弊社は、食についての悩みを解決することを生業とする、総合食品・製剤メーカーです』。

『付加価値の時代』『体験の時代』という言葉を最近よく聞きます。食の世界で言えば、前者は、単純に野菜などの一次産品を売ってもお金にならないということで見栄え良く加工して売ったり、ちょっとしたお洒落なカフェを自分で経営して、そこ食材にあてがうようなことでしょう。後者は、農園に直接観光客を呼んで、そこで農業体験をしてもらう、あるいは○○体験と銘打って、実際に加工の体験をしてもらうような具合です。

 このように、何かと価値を上乗せして、言いかえるなら『自分で値段をつけて』売りたい人が来ているように思います。最近、やたらとブランド物(ブランド米やブランド野菜等)が増えているのも、その流れの一環でしょう。そうした『付加価値』を付けるお手伝いをしているのが、私の仕事です。地元で採れた果物をゼリーにして売りたい、驚くほど滑らかな食感の洋菓子を作って名物にしたい、従来の飲料の枠を飛び越えて「新時代のドリンクを開発したい」など、お客様ごとに、色々な悩みがあります。それを一つ一つ拾い上げて、実現させ、オンリーワンの価値を創っていく。

青山社中リーダー塾風に言えば、『地方創生の主役づくり』を担う仕事かもしれません。小さな仕事の積み重ねですが、これからの日本の政策のキーになっているという使命感を持って、取り組んで参ります。

*NPO法人「地域から国を変える会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
ホームページhttp://chiikikara.org

【三条チーム】
本会で創設支援を行いました「滞在型職業訓練施設・しただ塾」が4月にプレ開講し、現在、市内経営者からの講話や観光資源の発掘についてのプログラムが日々実施されています。自然豊かな下田にある旧荒沢小学校を活用して展開されている授業、10月からは受け入れ人数を5~10名に拡大させた本開講となります。

【沼田チーム】
群馬県沼田市の起業家養成塾「ぬまた起業塾」では第二期生の募集を行っております。説明会では(次回は6/5(日))、今年卒業した塾生による参加者向けへのメッセージや自身の起業体験が語られました。今年も沼田市の中から起こるイノベーションにご期待ください。詳細はぬまた起業塾ホームページをご参照ください。
http://www.city.numata.gunma.jp/jigyosha/chusho/sangyo/1003602.html

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)

本会で活動を支援してきた三条市貿易振興会が、「燕三条貿易振興会」に名称を変更し、新たな体制で活動をスタートしました。弊会代表理事の朝比奈もアドバイザーとして就任します。

(越後ジャーナルにて掲載)
http://www.palge.com/news/h28/5/20160525bouekisinkoukai.htm

本会は、燕三条貿易振興会第一弾の事業となるベトナムミッション(7月19日~23日)の企画や運営を、三条商工会議所と協力しながら進めています。ミッションでは市場の視察、ビジネスマッチング商談会、燕三条PRイベントなどを通した、燕三条地域の企業のベトナム進出支援を目的としています。

日本の地域の海外展開の一つのモデルとして、より多くの企業にとって価値のある企画になるよう、引き続き設計を進めて参ります。

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<5>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<5月の実績>

・5月上旬 ジャパンビジネスラボにて記事掲載 (朝比奈)
題名:「日本をより良い社会に導く」オピニオンリーダーへのインタビュー(第4回)
https://aoyamashachu.com/news/2016/2413.html

・5/13 一般社団法人日本フードサービス協会にて講演 (朝比奈)
題名:革新の志とリーダー育成 ~リ─ダーシップから考える外食産業~
https://aoyamashachu.com/news/2016/2505.html

・5/18, 5/23「GROW」マガジンにて記事掲載 (朝比奈)
題名:vol.2 「カルチャー」を軸に企業を選べば、就活は変わる? vol.3 合理性にとらわれず行動を 学生時代は「抽象的思考力」養って

https://aoyamashachu.com/news/2016/2443.html

・5/19 軽井沢 22世紀風土フォーラム基本会議に委員として参加 (朝比奈)

・5/23 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
題名:政府各会議の諸プラン、期待度は ~出生率向上へ思い切った政策を~
https://aoyamashachu.com/news/2016/2533.html

・5/25 燕三条貿易振興会のアドバイザーとして就任し、越後ジャーナルにて紹介記事掲載 (朝比奈)
https://aoyamashachu.com/news/2016/2618.html

<6月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」6月号にて記事掲載 (朝比奈)
・6/1 「PROISM」にてインタビュー記事が掲載 (朝比奈)

 
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