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2016年4月29日

青山社中メールマガジンvol.65 国会審議の不都合な真実 ~選挙を間近に控えて想う~

青山社中メールマガジンvol.65 国会審議の不都合な真実 ~選挙を間近に控えて想う~

今から15年以上も前の話である。敬愛する「ある先輩」を囲んでの飲み会の席で、仲間の一人が「結婚するならどんな人を選ぶか」と質問した。「もちろん「創る人」だよ」という答えが返ってきた時、真意がよく分からなかったことを覚えている。

訝しげな顔をする私たちに、先輩はこう続けた。「女性に限った話ではないが、頭の良し悪しに関わらず、人間には、物事を「壊す人」と「創る人」がいる。結婚は典型的な「創る作業」であり、したがって「壊す」人と結婚してはいけないと思う。」

確かに、職場や学校などでの知人・友人や、或いはデートを楽しむだけの恋人であれば、「それは違うんじゃないかな。なぜなら、、、」と、互いの意見を「壊す」会話が、むしろ知的興奮や感情の盛り上がりにつながり、心地よかったりする。ただ、様々な共同作業、特に、何らかの方向性を決めて物事を動かさなければならない共同生活や結婚生活では、「創る」営為が太宗を占めていないと、かなりしんどいというのが実感だ。

一昔前、新婚旅行直後に別れるケースは、俗に「成田離婚」と呼ばれ、割と一般化されていた。当時、「結婚してそんなにすぐに別れる夫婦なんているのかな」と不思議に思ったことがあるが、恋愛時には良好だった二人の関係が、旅行という共同作業やその後の現実的生活を踏まえた瞬間に崩壊することは、良く考えてみれば不思議なことではない。
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さて、ここでふと思うのは、最近の民進党に垣間見える「破壊者」としての恐ろしさだ。特にTPPを巡る国会でのやり取りを見ていると「破“戒”者」と言っても良い気がする。

TPP承認案と関連法案の審議は、衆院では特別委員会を設けて行われ、自民党は既に、日程の都合上、今国会での成立を断念している。「破壊者」の立場からは、上々の成果ではあるが、果たして心ある民進党議員の方々から見て、一連のやり方も含め、現実的に国益を実現する上で良いと思っているのだろうか。

今回の野党の「成果」は、相手国との交渉過程を明らかにしなければ審議には応じられないという、国際信義上も、また、今後のために「手の内」を明らかにすべきではないというスタンスからも、明白に国益を害する主張をして、駄々をこねて寝転がった結果得られたものだ。

「海苔弁当」などと揶揄される完全黒塗りの議事録も、「議事録は出せない」と言う政府に、「黒塗りでも良いから出せ」と強硬に主張し、回収を前提に合意の上で出されたものを、強引に世間の目にさらしたものと聞いている。最初から確信犯的に、中身のある議事録が出てこないことを見越して、「海苔弁当」をビジュアルで示そうとしていた疑いが強い。

そもそも、TPP交渉入りは、民主党政権時代(菅政権や野田政権時)から表明しており、仮に民主(進)党政権下で交渉入りすることで党内がまとまれば、実際の交渉に臨むのは官僚であることから、私見では、結果はまず変わらなかったと思われる。

特に民進党のTPP交渉過程解明チームの主力メンバーの面々を見ていると、官僚OBなどを中心に、現実や実態を熟知している方々が多く、個人的にも霞が関時代から存じ上げている方が少なくない。彼らの多くは、むしろ自由貿易推進を主張していた面々であり、本心からTPPに反対しているとは思えない。そして何よりも、国際交渉の現実はもちろん、議事録等の開示不可能性や、「海苔弁当」しか出てこないことについての蓋然性も、誰よりも理解している人たちだ。

彼らは、元々は私も敬愛してきた人たちであり、「創る」タイプであった方が多い。心から「破壊」的行為が良いと思っている旧来的野党政治家に成り下がったとは思いたくないところだ。

ナイーブであることは百も承知の上で、正論を振りかざしてみると、国会議員は、日本国民のため、「創る議論」を展開しなければならないはずだ。国益を最大化するために、国権の最高機関のメンバーとして各地等で選ばれた者同士は、いわば、結婚をして、東京の「国会」の場で共同生活をしながら、国益の最大化を目指して共同作業をしている状態に等しい。ちょっとした「夫婦喧嘩」は、必要悪でもあるが、敵国同士のように罵り合い・殺し合いを始めたら、婚姻生活はたちまち破綻する。

現政権が、国益を著しく損ね続けていて、かつ、別の政権が現政権以上の成果を出すことが明らかであるのならば、「壊す」議論にも首肯できる。「離婚」して新しい家庭の創設を目指せばいい。しかし、民進党は、少なくとも、上記のTPP交渉過程解明チームの主力メンバーたちは、自分たちが仮に今政権を担ったら、党内対立その他で議論がまとまらず、国益をより損ねることは、十分に理解しているはずである。

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官邸独裁とも言われる状況下、いわゆるearly decision(早期の決断) ではなく、quick decision(短期の決断)が出来るため、物事の決断をギリギリまで引き延ばせる現政権は、実際には、参院選に合わせた衆議院の解散(いわゆる「ダブル選挙」)の決断を最後の瞬間までしないであろう。熊本を中心とする地域の震災の状況、景気動向と消費増税の行方、サミットやその前の外遊(特にロシア)での成果、など、様々な判断要素がある中、果たして最終的にどうなるか。

いずれにせよ、参院選、もしかすると衆院選も一緒という、非常に重要な投票が迫る中、与野党関係なく、是非、国会議員の総力を挙げて素晴らしい「国創り」をして頂きたいものである。議員になる時は、皆、選挙民の一票一票に感謝しつつ、「議席にしがみつくことではなく、また、党利党略ではなく、真剣に国益になる行動を取ること」を考えるはずだ。

筆頭代表 CEO
朝比奈 一郎

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<1> 青山社中フォーラム Vol.31
「G1サミット」の創設者 グロービス 堀義人氏による講演会
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グロービスの堀義人氏が青山社中フォーラムに登壇します。

堀氏は「グロービス経営大学院」学長としてビジネスリーダーの育成、また「グロービス・キャピタル・パートナーズ」代表パートナーとしてベンチャー企業の成長に向けたプロデュースなどを行っています。

今回は、各界のリーダーが参加する日本版ダボス会議「G1サミット」にて、堀氏を中心に、4年をかけて議論し、その内容をまとめたご著書「日本を動かす『100の行動』」(http://100koudou.com)を基に、 日本社会が抱える課題や、その解決に向けて取り組むべき行動などについてお話し頂きます。

本書を事前にお読みいただけますと、講演内容のより深い理解にもつながるかと存じます。

日本の未来を自ら作り上げていくために、本講演が皆様のアクションを促す一助となれば幸いです。奮ってご参加ください。

【日時】2016年6月1日(水)19:30 – 21:00

【会場】
青山社中オフィス(最寄駅:外苑前)港区南青山2-19-1 サザンキャッスルビル2階
https://aoyamashachu.com/about/access.html
※申し込みが多く弊社オフィスで収まりきらない場合に近辺の会議室で開催させて頂く可能性があります。

【参加費】
2,500円 (青山社中後援隊は1,500円、別途割引コード送付)
※5/27(金)以降のキャンセルは返金不可となります。コンビニ・ATMでチケットを購入し、キャンセルした場合は500円の返金手数料が発生します。

【内容】
19:00 受付開始
19:30 開会
19:35 講演
20:30 質疑応答
21:00 閉会

【講演者プロフィール】
京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur‘s Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設し、2013年4月に一般社団法人G1サミットの代表理事に就任。2011年3月大震災後には復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、代表理事を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『新装版 人生の座標軸 「起業家」の成功方程式』(東洋経済新報社)等がある。

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<2> 青山社中「後援隊の集い」開催のご報告
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4/2に「後援隊の集い」を開催し、CEOの朝比奈やCOOの遠藤から、青山社中のこれからについて報告しました。懇親会も実施し、後援隊員同士及び青山社中社員との親睦を深めました。

「青山社中後援隊」とは青山社中の理念・事業に賛同し、活動を後援頂ける方々による会員組織です。会員の方には、講演会・シンポジウムなどへの優先参加、会員同士の交流会の開催など各種特典をご用意しております。

引き続き青山社中をよろしくお願い致します。

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<3> 朝比奈のインタビュー記事が掲載
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今月、掲載された朝比奈のインタビュー記事について、下記の通りご紹介いたします。

1. ジャパンビジネスラボ
http://www.jb-lab.co.jp/interview
我究館・プレゼンスなどの教育事業を行っているジャパンビジネスラボにより、「『日本をより良い社会に導く』オピニオンリーダー」として朝比奈がインタビューを受けました。経産省入省から青山社中の設立に至る朝比奈のキャリアや人生観などについて述べています。

2. 「GROW」マガジン
https://magazine.grow-to-global.com/interview/front-runnerr/p532.html
朝日新聞がIGSと協力して運営しているグローバル人材の就職活動支援サービス「GROW」マガジンにて、朝比奈のインタビューが掲載されています。学生NPO団体「アイセック・ジャパン」のメンバーからの就職活動に関する質問に意見を述べています。

3. News Picks
https://aoyamashachu.com/news/2016/2461.html
朝比奈がプロピッカー(ニュースへのコメンテーター)を務めるニュースのキュレーションサービスNewsPicksにて、エネルギーについての特集記事が掲載されています。経済産業省時代の経験を基に、エネルギーの安定供給に向けた日本のエネルギー政策について触れています。

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<4> 青山社中リーダー塾通信
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*第6期生募集締め切り
お陰様で今年もたくさんの素晴らしい人材にご応募をいただきました。
選抜面接も終わり、5月2日の合格発表の後、21日(土)開講の予定です。
塾の模様は随時Facebookページに掲載していきます。
まだの方は是非下記Facebookページに「いいね!」をお願いいたします!

【青山社中リーダー塾Facebookページ】
www.facebook.com/Aoyamachachu.ldr

*NPO法人「地域から国を変える会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
【沼田チーム】
群馬県沼田市の起業家養成塾「ぬまた起業塾」の第二期生の募集を開始しました。今年は、帝国データバンクの方を講師とした「起業時におけるデータ分析の仕方」や、ビジネスプラン作成をクラス授業と個人授業の両面から支援するなど、プログラムのブラッシュアップを行いました。

現在、説明会参加者・入塾希望者を募集しています。群馬県沼田市での起業家養成が目的ですが、お住まいの場所に関わらず、参加可能です。単なる座学だけではなく、魂のこもったカリキュラムを実施します。詳細はぬまた起業塾ホームページをご参照ください。

http://www.city.numata.gunma.jp/jigyosha/chusho/sangyo/1003602.html

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
燕三条地域の製品・サービスの海外展開を目指し、7月に派遣するベトナムミッションへ向け、三条市やベトナムのパートナーと調整を進めてまいりました。現地ではホーチミンおよびバリアブンタウの視察・ビジネスマッチングイベント・燕三条地域のPRを行う予定です。

朝比奈が「クールジャパン・地域プロデューサー」に認定されました。政府により、地方におけるクールジャパン資源を海外展開やインバウンド振興に結び付けていける専門知識・ノウハウを持った人材のリスト化を進め、地方に対して情報提供を行うとともに、日本全体としての視点を共有できるようにネットワーク化が行われています。下記、HPをご参照ください。
http://www.kantei.go.jp/…/tit…/cool_japan/tiiki_produce.html

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<5>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<4月の実績>
・4/5 ビジネスブレークスルーチャンネルの講義にて横須賀市長 吉田雄人氏をゲストに迎えて収録 (朝比奈)
題名:社会変革型リーダーの構想力 ※CSスカパー557chにて5/25(水) 21時より放送予定https://aoyamashachu.com/news/2016/2463.html

・4/8 香川銀行にて講演 (朝比奈)
題名:リーダーシップ論から考える地方創生と地銀の役割
https://aoyamashachu.com/news/2016/2422.html

・4/12 ビズリーチアカデミーにて講演 (朝比奈)
題名:霞が関改革の旗手が語る変革の時代のリーダーシップ論
https://aoyamashachu.com/news/2016/2458.html

・4/12 「ジャパンビジネスラボ」のHPにてインタビューが掲載 (朝比奈)
題名:日本をより良い社会に導くオピニオンリーダーインタビュー (第1回~第3回)
https://aoyamashachu.com/news/2016/2413.html

・4/14 「GROW」マガジンにて朝比奈のインタビューが掲載 (朝比奈)
題名:どうしたら「志」を持てるんですか? 「青山社中」筆頭CEO・朝比奈一郎さんに聞く
https://aoyamashachu.com/news/2016/2443.html

・4/15 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
題名:異動の季節に考える「リーダー論」~セオリーなし、リスク取って自ら動け~
https://aoyamashachu.com/news/2016/2454.html

・4/21 News Picksにて特集記事を掲載 (朝比奈)
題名:日本はエネルギー不足と格闘し続けてきた
https://aoyamashachu.com/news/2016/2461.html

・4/30 日中リーダー会議のセッションにてモデレーターを予定 (朝比奈)
題名:Future of Chinese urbanization and its implication to Japan

<5月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」5月号にて記事掲載 (朝比奈)
・5/13  一般社団法人日本フードサービス協会にて講演 (朝比奈)

 
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