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2017年6月30日

青山社中メールマガジンvol.79 150年前の奇跡から、現在への軌跡を嘆く  ~何を間違えたのか~

青山社中メールマガジンvol.79 150年前の奇跡から、現在への軌跡を嘆く  ~何を間違えたのか~

今年は坂本龍馬没後150年ということもあり、最近まで東京で、二つの龍馬展が開催されていた。会場は、それぞれ目黒雅叙園と江戸東京博物館だ。せっかくの機会だからと、家族と共に訪問し、数々の龍馬の手紙や遺品などを拝観した。

 小学生と幼稚園児の3人の我が子に彼の偉業を説明しようとして、はたと思い当ったが、龍馬は実に奇妙なヒーローである。説明すべき地位がない。例えば、豊臣秀吉や徳川家康といった戦国大名であれば、天下統一を果たして関白に上り詰めたとか、征夷大将軍として江戸幕府を開いたと説明できるし、西郷隆盛や大久保利通のような維新の志士であれば、明治新政府を打ち立てて陸軍大将になったとか、大蔵卿として政治行政を差配したなどと説明できる。

 龍馬はその点、どうして「エラい」のか説明しにくい。地位的には、数十名からなる海援隊長だったとか、その前身の亀山社中の創立者としか言えない。子供たちとしては???である。そんな龍馬展にどうして長蛇の列が出来ているのかと言えば、逆説的だが、彼の言葉を借りれば、(明治新政府の役職に就くでもなく)「世界の海援隊でもやるか」とうそぶくスケールの大きさ・爽やかさである。龍馬が現代に生きていたら、ほぼ間違いなく政治家にはならず、仮になっても地位にはしがみつかなかったと私は思う。

 リーダーとは、日本人的には、一定規模のグループの長のようなイメージがある(指導者)。が、本来はグループの存在は関係ない。近現代において典型的なリーダーとされるキング牧師にしてもマハトマ・ガンジーにしても、グループがあって何かを始めたというよりは、自分ひとりが始動(≠指導)して事を成している。地位は関係ない。「全米黒人解放連盟」的な組織のトップだからアクションしたわけではなく、想いを持って、平社員ならぬ平牧師としてリーダーになったのがキング牧師であり、同じように一人で歩み始めた「とある弁護士」がガンジーである。

 今から150年前の大政奉還の演出者の一人だったとも言える龍馬だが、将軍という地位を爽やかに投げ出した徳川慶喜を激賞したとも言われる。演出者も演者も極めて爽やかだ。そういう意味で、龍馬は、いや幕末期のプレイヤーたちの多くは、日本が誇る、地位や名声を過度に追い求めない「さわやかなる真のリーダーたち」と言えよう。やはり150年前の渡仏時に衝撃を受け、銀行制度その他日本の資本主義の基本を築きつつも、三菱との大論争などを経て、自らは敢えて財閥化しなかった渋沢栄一など、この時期には私利私欲の薄い「真のリーダー」が多い。

ちなみに、龍馬が師と仰いだ幕臣勝海舟は、明治新政府への出仕を論難する相手に対し、「行蔵(こうぞう)は我に存(そん)す。 毀誉(きよ)は他人の主張」という言葉を残したことでも有名だ。自らの行動は自分の信念によるものであって、それをけなしたり褒めたりするのは他人の勝手だと喝破し、自己弁護・弁明に汲々とすることはなかった。

我々の生きている現代を眺めると、天下り斡旋の咎(とが)で辞職を余儀なくされつつ、約8千万円とも言われる巨額の退職金を平然ともらった人が、獣医学部増設の可否をめぐる政策論ではなく、「文書があったの無かったの」と、本質的ではないところで世論を炎上させて名誉回復を図って政権を叩く。

政権も政権で、堂々と議論を受けて立つのではなく、地位に恋々として逃げ切りを図る。安定的な地位を守るために、極力、面倒くさいことからは逃げる、沈静化するのを待つ、という姿勢がアリアリで、それがまた国民感情に火を注ぐ。

 地位安泰を目指す政権は、元々、本質的ではない「出会い系バー通い」を暴露して逆襲をしていたが(表面的には先制攻撃)、全国の教職員を束ねる立場の元次官は、教職員であれば一発でアウトとも思われる行為への詫びをするでもなく、一説によると30回超も特定の人と会っていながら「調査だった」と開き直る。

本質論から離れての私利私欲に基づく泥仕合は見ていて悲しいし、見苦しい。自明のことだが、民主主義下において、自分たちのレベル以上の政治家・行政マンを期待するのは、メディアや国民としてみれば、いわば「無いものねだり」であり、こんなことがトップニュースになって何の違和感も持たない我々自身の猛省も必要だ。

我々はどこで何を間違ってしまったのであろうか。

代表・CEO
朝比奈一郎

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<1> テレビ朝日の「朝まで生テレビ」に朝比奈が出演予定
   6/30(金)25:25〜28:25
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本日、「朝ナマ」でお馴染み、政治関連を中心とする討論を行う深夜の長寿番組である「朝まで生テレビ」に朝比奈がパネリストとして出演し、田原 総一朗氏 の司会のもと、有名政治家と共に討論を行います。

今回は「激論!安倍政権と官僚」をのテーマに、「森友問題」「加計問題」「共謀罪」の真相や官僚制度の在り方などについて取り扱います。

http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/

ぜひ番組をご覧になってみてください。

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<2> 日経新聞電子版に経産省の「次官若手プロジェクト」
   に関する朝比奈のコメントが掲載
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経産省の次官・若手プロジェクトについて、朝比奈のコメントが日経電子版に掲載されました。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO17560370S7A610C1000000/

2003年に省庁の同期メンバーと「プロジェクトK(新しい霞ケ関を創る若手の会)」を設立し、代表として提言をまとめた経験などをふまえ、コメントをしています。

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<3> 第37回青山社中フォーラムを開催
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元ヘリテージ財団 上席研究員の横江公美 氏をお招きし、今後のアメリカの姿について、お話を頂きました。 

ミレニアル世代の意見を体現したオバマ大統領やその功績、ヒラリーが読めずトランプが読めていた時世、トランプ政権の人事の意図や他国との外交関係など、日本メディアでは報道されないような視点を沢山頂きました。

アメリカを政治を理解するために参考になる「アメリカを変えたM世代」「崩壊するアメリカ トランプ大統領で世界は発狂する」などの本も参考にご紹介いただきました。

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<4>  「完訳 第8の習慣」に朝比奈の書評が掲載
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出版されて以来1,000万部以上を売り上げるスティーブン・R・コヴィーによる「7つの習慣」の続編として、5月に「完訳 第8の習慣」が刊行されました。21世紀における新しい考え方や行動指針が記載されています。

冒頭に朝比奈の書評が掲載されていますのでご覧ください。

https://aoyamashachu.com/news/2017/4364.html

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<5> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾通信 5期生 水木昇
History doesn’t repeat itself, but it does rhyme(歴史はそのまま繰り返さない、しかし、「韻」を踏む)

これは青山社中フォーラムでコモンズ投信の渋澤健氏が紹介していたMark Twainの言葉だ。青山社中リーダー塾では、他の塾生と共に、伝記、歴史、思想、文化・文明、日本の政治・行政を学び、今の日本が歴史上どういう位置付けにいるのかを考えて行動するようになった。過去にパクス・ブリタニカは、200年周期の興隆と衰退を経験した。今のパクス・アメリカーナも、100年周期の興隆と衰退を経験するかもしれない。日本の歴史も40年周期のリズムで興隆と衰退を繰り返しているならば、今はどういう時代だろうか。明治維新(1986年)から日露戦争(1904年)までの興隆、その後の敗戦(1945年)までの衰退、戦後復興からバブル絶頂(1989年)までの興隆、そして、現在は緩やかに衰退したまま閉塞感のど真ん中にいる。財政危機、社会保障、人口減少、世代間格差、シルバー民主主義などの問題を抱えて、日本はジリジリと後退しながら撤退戦を戦っている。

政府債務残高の名目GDP等に対する比率は、約250%(2015年)に達している。これは終戦時の200%(1945年)を超える数字だ。当時は戦争が終われば赤字の原因は解消されるが、今は構造的な問題で改善は難しい。1990年以降の政府債務の増加要因は、主に社会保障費の膨張だ。毎年1兆円以上のスピードで拡大する社会保障費によって、一般会計の歳出と税収の乖離が広がり「ワニの口」のようなグラフになっている。その社会保障費のうち医療費が約4割を占めている。さらに2025年には一気に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるため、医療制度改革は待ったなしの状態だ。貧すれば鈍するでは手遅れになる。

40兆円を超えて増加を続ける医療費は、政治、行政、大企業、ベンチャー、アカデミア、医療機関、地域コミュニティーが、それぞれ同時多発的に始動して問題解決しなければならない課題だ。単純明快な処方箋はないが、医療制度改革、企業組織の効率化、テクノロジーの活用、新市場開拓、研究から応用、国民の理解などが重要になる。これから診療報酬や薬価の市場価格は神の見えざる手で調整局面に入るだろう。皆保険制度に守られてみんなで「茹でガエル」になってはいけない。投げやりにならず正しい危機感を持って変革する勇気が必要だ。

政治や行政は、国家の方針策定で大切な役割を果たすが、「大国を治むるは小鮮を烹るが若し」で時間と丁寧さが求められる。一方、民間セクターの方が機動性もあり行動して早く結果を出すことが可能だ。今まで民間セクターで製薬を中心にライフサイエンス分野でのキャリアを歩んできた。青山社中での学びを通じて、後世に遺せる仕事をしたいと考え、来月から新しいキャリアで医療分野での事業変革に挑戦する。今後は、物事を正しく正確に行うだけでなく、正しいと信じることを行いたい。小さな一歩でも「千万人と雖も吾往かん」の精神と共に。

*NPO法人「地域から国を変える会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です)
【千葉県木更津市】
全国的にコミュニティバスの財政負担の問題が叫ばれている昨今、公共交通網を再編し、バス路線を効率化する取組みが行われています。このたび、木更津市の公共交通網の形成計画の策定支援を行うこととなりました。市内の事業者などからヒアリングを丹念に行い、持続可能なコミュニティバス・市内バス路線のあり方を検討していきます。

【群馬県沼田市】
群馬県沼田市の起業家養成塾「第3期ぬまた起業塾」には、今年も多くの方にご応募いただき、面接を経まして、12名の方が入塾されることになりました。1期生・2期生を含めた塾生ネットワークにおいても様々なランチ会・勉強会が実施されるなど、拡充しています。

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です)
8/1~7に成都イトーヨカドーで行われる催事に向けて準備を進めております。
(参考:プロモーションビデオ https://goo.gl/c6Wwzv)

10月以降(予定)の越境ECでの販売に向けたテストマーケティングを目的として開催します。

展示する商品に、来場者が興味を持った際、スマホによるQRコードの読み取りで商品情報の取得や先行予約等ができる仕組みを作り、消費者の反応を探ります。また、一部商品は実演や販売を行う予定です。

出品事業者や成都イトーヨーカドーの双方と成都市場にマッチする商品選定を進め、催事において一定の成果を出すとともに越境ECでの展開に繋げていきたいと思います。

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<6> 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<6月の実績>
・6/12 東大の学生による自主ゼミ「私流の生き方」にて講演
題名:私の人生のこれまでと現在
https://aoyamashachu.com/news/2017/4354.html

・6/13 日経新聞の記事に経産省の「次官若手プロジェクト」に関するコメントが掲載
題名:経産省若手プロジェクト 空回りしないためには
https://aoyamashachu.com/news/2017/4350.html

・6/16 新公益連盟が主催する「ソーシャルビジネス経営者合宿」にてセッションに登壇
題名:ソーシャルセクターの行政/政治連携の必要性・活用可能性
https://aoyamashachu.com/news/2017/4372.html

・6/16 フジサンケイ ビジネスアイ「高論卓説」
題名:森友・加計問題の根底にある真因とは? 「衆愚社会」へ陥れるメディアに警戒を
https://aoyamashachu.com/news/2017/4359.html

・6/17 NPO法人ストリートデザイン機構にて講演
題名:地域を変革するリーダシップとは何か~セクターの垣根を越えて~
https://aoyamashachu.com/news/2017/4348.html

・6/22 OMOTENASHI Selection 第3期商品部門 授賞式にて祝辞
https://aoyamashachu.com/news/2017/4375.html

・6/22 株式会社リーディングマークにて講演
題名:組織に頼れない激動の時代をどう生きるか〜リーダーシップと弱いつながりの重要性〜

・6/28 総合幼児教育研究会サマーフォーラムにて講演
題名:非認知能力としてのリーダーシップ教育の重要性

<7月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載(朝比奈)

 
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