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2017年5月31日
青山社中メールマガジンvol.78 真の勝者は誰か ~加計学園問題を遠目に眺めて~
森友学園が懐かしくなるくらい、今度は連日、加計学園の問題が国会・メディアを賑わしている。 森(もり)から、加計(かけ)に来たので、次は「ざる学園」?と、蕎麦(そば)つながりのくだらない推測までしてしまう。
冗談はさておき、既に行間に書いているようなものだが、今回の一連の騒ぎについての私の正直な感想を書けば、「バカバカしい」の一言に尽きる。
私は、6年半前まで約14年にわたって国家公務員であったが、残念ながら(幸運にも?)、特区の担当をしたこともなければ、文科省への出向はおろか、同省の職員と一緒に仕事をしたことすらない。従って、読者諸賢以上に、本件について何か「すごい情報」をもっているわけではない。ただ、素人でも分かるのは、この問題は、本来、国権の最高機関である国会で、多大なる時間その他の資源を使って議論する話ではない、ということである。
私なりに理解する「ことの本質」を簡潔にまとめれば、以下のようになる。そもそも、既得権益層がガッチリと防御している分野において、少しでも穴を開けるべく出来たのが「特区」制度だ。したがって、当該分野においては、「さあ、既得権者の海に飛び込みます」と息巻く新規参入者があまりいないのが通例で、実現段階に近づくほど、どうしても特定のプレイヤーへの支援(随意契約)的な色が強くなるし、既得権益層は、既存のルールを楯に激しく抵抗する。
今回のケースに当てはめれば、獣医師会・教育界としては、本音では新規参入者が少なければ有難いと思っているところ、特区という形態で加計学園が参入してくるのは、一般論的には面白いはずがないし、手を挙げる学校はそもそも少なかったと推測される。そういう状況で、何とか獣医学部を新設するとなると、どうしても特定の学園・場所の支援的色彩は濃くなるし、既存のルールを楯に取る文科省も前例と違ったことをやるのは嫌がる、ということだ。
つまり、あからさまに贈収賄が行われている証拠でもあるならともかく、「忖度」「ご意向」というだけで問題なるなら、これはもう、特定案件の問題というよりは構造的な話で、それこそ、特区制度そのものをやめろ、ときちんと主張すべき話だ。開き直ったかのように悲劇のヒーローを演じている前川元次官などは、本音では特区制度そのものに反対なのではなかろうか。
私は個人的には、医者や獣医の数を医学部・獣医学部の定員を通じてコントロールすること自体に反対で、極端なたとえを書けば、どうして、食べれば人間の命にかかわるケースだってあるかもしれない牛丼屋の新規参入や数はさほどコントロールしようとしないのに、ここまでしゃかりきに、獣医学部の設置をコントロールする必要があるのか疑問に思っている。が、それはひとまずさておき、仮にお役所の権限の源泉でもある既存の規制は規制としてしぶしぶ認めるとしても、野党は、贈収賄に関わるような確たる証拠が出て来ていない本件をそこまで執拗に叩くのであれば、堂々と、特区制度そのものを止めろ、と構造的な解決を目指す主張をすべきだと思う。
繰り返しにはなるが、特区制度という、既得権益権者の群れの中に、一匹だけ元気の良い新規参入者を入れようという試みの中では、ほとんどの案件が今回のケースにあたるわけで、こんな調子だと、冒頭の冗談ではないが、国会の審議は、ほとんど、もり、かけ、ざる、たぬき、てんぷら、きつね、、、と、これで終わってしまう。野党は、国権の最高機関で仕組みを作りたいのであろうか、それとも、単にスキャンダル探しをしたいのであろうか。一体どういうつもりなのか。
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さて、ここまで、国権の最高機関たる国会では、もっと中身のある議論をすべきだと述べてきた。「スキャンダル探し党」でも結成して堂々と国民の信を受けてスキャンダル探しに勤しむならともかく、そうでない限り、野党は、本来、どのように構造的に良い国を創る方向を目指すか、という具体的提案に注力すべきだと主張した。半ば確信犯的に、多くの国会の審議時間をスキャンダル探しに割く野党の責任は確かに重い。
ただ、事件の解決を目指す刑事のような目線、即ち、真に利益を得ているものは誰か、という観点で本件を眺めた場合、果たして、それは野党なのだろうか、とも思う。野党は、この騒ぎで本当に得をしているのだろうか。世論調査では、野党の支持率は上がっていない。安倍政権の支持率もさほど下がっていない。政治に関心を有している人たちからの目線はもっと厳しく、民進党にいる「優秀」だと思われていた議員も、結局は、単なるスキャンダル探しに熱を上げていると、半ば呆れられている。そして、野党の心ある議員も、そのことに気付いている。
となると、一体、真の勝者は誰なのか。私の仮説では2つだ。1つはメディアである。当たり前だが、メディアは、とにかく、騒ぎが起こって、注目が増し、テレビにしても新聞にしてもネットにしても、世間の耳目が集まることが大事だ。議論の質は関係ない。「上げて、落とす」というのがメディアの常套手段だが、上がりきった安倍政権は、落とせば注目を浴びる格好の的であり、これ以上の「商材」はない。
野党議員は、その先棒を担がされて、下手をするとそのことに気づきすらせず(自ら気づかないふりをして)、嬉々としている。私が敬愛する霞が関の先輩の鈴木寛氏(現東大・慶大教授)が、かつて「テレビが政治をダメにした」という象徴的なメディア批判の書を出していたが、全くメディアに国権の最高機関が乗っ取られているかのようだ。野党は、スキャンダルと言うメディアから渡される「麻薬」にたまに手を出すならともかく、固定の売人と麻薬常習者のような関係になってしまうと、これはもう終わりである。
もう一つの「勝者」は、日本の隆盛を快く思わない諸外国である。別に国際関係論におけるリアリズム派的立場を取らずとも、国際社会の常識的に、周辺国が栄えて喜ぶ指導者は少ないのは真理だ。古くは「遠交近攻」とも言われるように、近くの国の弱体化を図って、名実ともにコントロール下に置きたいと思うのは世の常である。
戦後、平和ボケの中で、日本は、かろうじて最低限のカウンターインテリジェンス(防諜)には取り組んでいるものの、それでも、各国のスパイやそれらと関係の深いメディア人その他がたくさんいると考えるのがある意味で当然だ。米国大統領という重要ポジションを巡って、プーチン大統領がかつて所属していたKGBとCIAが暗闘をしていると見れば、ロシアゲート問題もある意味で分かりやすいが、米国の覇権が揺らぎはじめた国際社会と、各国の素早い動きは甘く見ない方が良い。
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いずれにせよ、加計問題を巡る賛否から透けて見えるのは、1)主に50代以上の既得権益層(M.ヴェーバー的には「ルールによる官僚支配」)とそれに群がる人々、と、2)主に40代以下の挑戦者層(同じく「変革期におけるカリスマ支配」)とそれを支える人々、との対立をうまく煽るメディアや諸外国勢力、上手に乗せられて踊らされている野党、という構図だ。国益・公益を第一に考える健全なる国民が取るべき態度は自ずと明らかであろう。
そんな中、やはり、国権の最高機関の構成員(政治家)の方々の国造りに向けての奮起と、その方々を選び見守る我々自身の猛省が必要だなぁ、と夜食の「そば」をすすりながら、半ばあきらめつつも、決して絶望せずに、弊社社員は、政策づくりや政治家の卵づくりに日々努めているところである。
筆頭代表CEO
朝比奈 一郎
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<1> 青山社中フォーラム Vol.37 東洋大学国際学部
グローバルイノベーション学科 教授/元ヘリテージ財団
上席研究員 横江 公美 氏による講演会
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ロシア疑惑を中心に、米国トランプ政権の先行きがかなり不透明になってきました。
アメリカ政治は短期的に、また、中長期的にどうなって行くのでしょうか。そしてその国際的影響は?
そんな中、今回は、東洋大学国際学部 グローバルイノベーション学科 教授、元ヘリテージ財団 上席研究員の横江公美さんに登壇して頂きます。
最近、テレビ等メディアに多数のご出演されている横江さんについて既にご存知の方も多いと思いますが、横江さんは、アメリカ政治に強い影響力を持つ大手シンクタンクのヘリテージ財団で、2011年~2014年にかけて、米英人以外で初めての上級研究員を務めました。トランプ政権誕生を予想していた数少ない識者としても有名です。
今回の青山社中フォーラムでは「米国政治を俯瞰する ~改めてトランプ政権発足後の米国を考える~」というテーマ(仮題)で、トランプ政権発足後の米国の行方、また政府としてどのように国家の舵取りをしていくのかなど、アメリカ事情について政治分野を中心にご講演頂きます。
米国政治の本質やシンクタンクに大変深いご知見のある横江氏の講演が、皆様のアクションを促す一助となれば幸いです。奮ってご参加ください。
【日時】
2017年6月27日(火)19時30分-21時00分
【会場】
Coco-de-sica Esta青山
住所:〒107-0062 東京都港区南青山2-24-15 青山タワービル13F
※地下鉄 外苑前駅 1b出口から徒歩1分
URL:http://www.coco-de-sica.com/rental/esta_aoyama_map.html
【申し込みページ】
http://ptix.co/2qPSs8S
【参加費】
講演会2,500円(青山社中後援隊メンバーは1,500円、割引コード別途送付)
※6/26 (月)以降のキャンセルは返金不可となります。コンビニ・ATMでチケットを購入し、キャンセルした場合は500円の返金手数料が発生します。
【内容】
19時00分 受付開始
19時30分 開会
19時35分 講演
20時30分 質疑応答
21時00分 閉会
【講演者プロフィール】
横江 公美氏 東洋大学国際学部 グローバルイノベーション学科 教授 (元ヘリテージ財団 上席研究員)
1965年、名古屋市生まれ。明治大学経営学部卒。博士(政策研究)。
1994年に松下政経塾に15期生として入塾し、その間、プリンストン大学客員研究員、ジョージ・ワシントン大学客員研究員として、アメリカ大統領選挙を中心に世界の選挙について実地研究を行なう。
その後、VOTEジャパン(株)取締役社長やヘリテージ財団上級研究員(2011年~2014年)を経て、現在、PACIFIC21代表として政策、企画、企業研修に関するコンサルティングを実施。明治大学兼任講師。
著書に『Eポリティックス』(文春新書)『アメリカのシンクタンク 第五の権力の実相』(ミネルヴァ書房)『キャリアウーマン・ルールズ』(KKベストセラーズ)『判断力はどうすれば身につくのか』(PHP新書)などがある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<2> 大山が総務省 地域力創造アドバイザーを拝命
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地域力創造アドバイザー制度とは、総務省が行っている地域力創造のための外部専門家の活用に対する財政支援の施策で、全国各地の各分野の専門家約300名が登録されており、上限560万円まで特別交付税措置がされる制度(100%補助。実質自治体からの持ち出し無し)です。
経済活性一般を得意とする朝比奈に引き続き、交通施策等の見直しなどを得意とする大山も本制度の対象になりました。
地域から国を変えるべく、今後とも邁進していきたいと思います。
*地域力創造アドバイザーHP
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/
*大山掲載総務省HP
http://www.soumu.go.jp/main_content/000482229.pdf
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<3> 第3期 ぬまた起業塾 塾生募集中
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NPO法人地域から国を変える会が運営を支援し、朝比奈が塾頭を務める「ぬまた起業塾」(7月開講)では、現在説明会参加者・入塾希望者を募集しています。
全国各地で雇用、産業、人口が減少する中、自ら業を起こし、1名でも2名でも雇用を創出して次代につなぐ「地域の自立」をコンセプトに、群馬県沼田市での起業家養成を目的として開講します。
ビジネスプラン作成や経営者講話を中心とし、単なる座学だけではなく、魂のこもったカリキュラムを実施します。
詳細はぬまた起業塾ホームページをご参照ください。(お住まいの場所に関わらず、参加可能です。)
http://www.city.numata.gunma.jp/jigyosha/chusho/sangyo/1003602.html
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<4> トライセクター リーダーシップ講座が終了
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CSVを企業理念に掲げるIT・コンサルティング会社、キャスレーコンサルティング株式会社と弊社で共催をした「トライセクター リーダーシップ講座」が終了しました。
http://www.casleyconsulting.co.jp/leadership/#
企業、NGO/NPO、行政機関等、セクター間の垣根を越え、世界と日本の情勢を理解した真のリーダーシップとイノベーションを創出する人材育成を目的に2016年6月より月1回ずつ、計12回講義およびワークショップを行ってきました。
講座の内容をもとに受講生が今後リーダーとしてアクションを起こしていくことを期待しています。
その他、教育・リーダー育成事業にご関心のある方は、下記をご参照ください。(過去の講演実績の閲覧や講演の問い合わせなどが可能です)
https://aoyamashachu.com/project/education/seminer
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<5> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾第7期が開講
5月20日より第7期青山社中リーダー塾が開講しました。
今年度は総合商社・金融・コンサル・メーカーなどのビジネスセクターの人材を中心に個性豊かなメンバーが揃い、闊達な議論が始まっています。
今後も講義や活動などの様子をレポートしますので是非ご注目ください!!
*青山社中リーダー塾通信 4期生 原岡 遼弥
就職先も決まり、学生最後の1年をどう謳歌しようかと考えていた時、当時一番尊敬していた先輩に挑戦してみたらどうかと青山社中(以下、社中)を勧められた。
社中で学ぶ内容は、偉人をモデルとした哲学や生き方、国家の盛衰等、とにかくテーマの規模が大きい。しかし、一つ一つ紐解いていくと、日常の意思決定に落とし込めることに気付くようになった。
中でも、現在の私に一番印象深く残っているのは「memento mori 死を想え」。授業で学んできた偉人達、塾頭、そして共に学んできた同期(人生の大先輩達)は皆、人生は一度きり、いつ死ぬかわからないことを意識し、新たなことに貪欲にチャレンジする努力家だった。
現在、私は社会人3年目となり、各業界の最前線で戦っている中小・中堅企業の経営者をお客さまとした法人営業をしている。社中で学んだ大局観やチャレンジ精神を日々の業務に落とし込むことで、銀行とお客さまの中立の立場として最善の解決策を見つけ、一銀行員として日本の商工業の発展に少なからず寄与している自負がある。
プライベートではスカイダイビングや流鏑馬、滝業、ウルトラマラソン(100キロ)にも挑戦した。人生は一度きり。自らの選択肢を狭めず、世界に目を向け、世界中で活躍している人々に負けないくらい日々努力し、生まれて良かったと心から思える人生にしていく所存です。
*NPO法人「地域から国を変える会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です)
【新潟県三条市】
ディレクターを務めております新潟県三条市「しただ塾」の塾生募集記事が日本仕事百貨に掲載されています。これまでの塾生のインタビューを通じて、しただ塾の雰囲気が伝わるいいサイトになっていますので、よろしければ是非ご覧ください。なお、6/4(日)・18(日)青山社中オフィスで説明会を行いますので、ご関心のある方はぜひご参加ください、物見遊山も歓迎です。
http://shigoto100.com/2017/05/shitadajuku-2.html
【兵庫県川西市】
総合計画(後期基本計画)策定支援をしています。私達のタスクとしては、3月に講師を務めた市民ワークショップの内容を反映させることと、これまでの施策の評価方法の策定です。総合計画は市が自身で考えるのが筋と思うかもしれませんが、施策そのものを我々が考えているのではなく、交通整理のようなお手伝いです。
*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です)
8/1~7に成都イトーヨカドーで行われる催事に向けて準備を進めており、OMOTENASHI Selectionや燕三条地域の企業含め、現在25社以上からの出品の意向を伺っております。
出品事業者や成都イトーヨーカドーの双方と成都市場にマッチする商品選定を進め、8月の催事販売において一定の成果を出すとともに、10月以降の越境ECでの展開に繋げていきたいと思います。
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<6> 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<5月の実績>
・5/19 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
題名:女性政治家受難の時代? 普通に「かさ上げされる時代」は終焉
・5/19 第7回軽井沢22世紀風土フォーラム基本会議に委員として参加 (朝比奈)
・5/30 ビジネス・ブレークスルー・チャンネル「社会変革型リーダーの構想力」の講義を収録 (朝比奈)
ゲスト:安部敏樹氏 (株式会社Ridilover 代表取締役/一般社団法人リディラバ代表理事)
<6月の予定>
・6/17 NPO法人ストリートデザイン研究機構にて講演(朝比奈)
題名 (仮):地域を変革するリーダシップとは何か ~セクターの垣根を越えて~
・6/28 総合幼児教育研究会にて講演(朝比奈)
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載(朝比奈)