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2018年5月31日

vol.90 米国・中国訪問、珠玉の映画鑑賞から民主主義を再考する  

vol.90 米国・中国訪問、珠玉の映画鑑賞から民主主義を再考する  

民主主義というものは、最悪の政治形態とされてきた。これまで試された他のあらゆる政治形態を除けば。 ウィンストン・チャーチル
【It has been said that democracy is the worst form of government except all the others that have been tried.  Winston Churchill 】


1.アメリカ訪問(ボストン等)雑感:5月

先日、母校であるハーバード大学行政大学院(ケネディスクール)のリユニオン(5年に1度、卒業生が集まる約3日に及ぶイベント)に参加した。私が所属していたMPA2コースの集まりで、クラスメイトを代表して1名がプレゼンするという栄誉を得て訪問したものだが(実態は、取りまとめのクラス委員に押し付けられただけ、という説もあるが・・・)、訪問の感想を一言で言えば、米国における分極化がここまで深刻だとは思わなかった、ということに尽きる。

出迎えてくれていた米国人の旧友(大学教授)が、Make America “kind” againという「面白Tシャツ」を着ていたのはまだ可愛い方で、卒業生向けの殆どのイベント(パネルディスカッション等)のテーマが「民主主義の危機」「分極化(polarization)にどう対処するか」といった類であったことには、ここまでやるか、と正直、驚いた。

もちろん、トランプ政権誕生以降、特に、米国社会の断絶・分極化が顕著になり、大統領の言動や政権の施策に対して、賛否両論、様々な論議を巻き起こしていることは、日本にいても報道等で承知はしていた。が、ここまで極端に、ほとんどのセッションで、教授・講師陣が、陰に陽にトランプの言動や施策を嘆き、メディアのあり方や政治のあり方等々、危殆に瀕した民主主義というシステムの行く末を案じる議論を展開していると、反安倍vs親安倍をベースに、スキャンダル攻防に明け暮れる我が国の状況が、米国を後追いしている感じもして、とても暗い気分になってくる。

「ケネディ」スクールと、民主党の代表的な大統領の名前を冠していて歴代学長がほぼ民主党政権の要人であったことからも明らかなように、また、同校のあるマサチューセッツ州という土地柄、民主党支持者が大半を占める中、良識ある民主主義の信奉者と出会うことが多い。そうした良識に基づき「それでも断絶を乗り越え対話を」と、民主的に選ばれてしまったトランプ大統領への微妙な感情を押し殺して叫んでいる面々を見ると、何やら白々しくも痛々しくも思えてくる。

紙幅の関係上、ボストンの後に訪れたワシントンDCやNYでの感想は割愛するが、いずれにしても、民主主義を巡る米国の悩みは深い。


2.中国訪問(上海等)雑感:4月

米国訪問に先立ち、先月、中国(主に上海)を訪問した。私も若干運営を手伝っている日中リーダー会議(ビジネスマンを中心に日中の若手が集まって討議などをする約3日間のイベント)の第4回の集まりに参加し、自身、「19世紀末の東アジアの国際関係」をテーマとしたセッションに登壇してコメントなどをしたところであるが、こちらの感想も一言で言うならば、「民主主義ならずとも資本主義は成立するという事実に改めて心を乱された」ということだ。

中国のベンチャーを代表するHorizon Roboticsのエンジニア部門の責任者や、AIで有名なiFLYTECKのCEOの話を聞いたが、特に後者の実演(会話を突然に英語から中国語に切り替えるや否や、スクリーンに中国語が会話のままに映し出され、それがそのまま日本語に即座に変換される様)などを見るにつけ、「技術大国、日本」などとうそぶいていられる時代は終わった、と感じざるを得ない。ドローンやキャッシュレス・エコノミー(アマゾン・ゴー的な無人店舗なども見学した)の発達を目の当たりにすると、日本が置いて行かれるのも時間の問題かもしれない、と思う。

言論の自由その他、独裁的な統制とはかけ離れたところで、資本主義的な経済や技術の発達は進むと漠然と感じていた私の中のこれまでの「常識」をあざ笑うかのように、昨年、アッと言う間に憲法を改正して国家主席の任期をなくしてしまった中国で、まさに日進月歩で経済・技術が発展していく。いわゆるデータ社会、ビッグデータの時代がもうそこまで来ているが、国家独占的に、半ば民衆のあきらめの中で、膨大な個人情報が容易に集約される体制の方が、民主主義より、国際競争を勝ち抜く上で有利であるという見解も有力だ。

日中リーダー会議の際の夜の懇親会では、いくら飲んでも、決して習政権その他政治に関する見解・存念が彼らの口から出てくることはない。まるで世の中に政治という概念はないかの様に夜が更けていく。政治や国際関係についての結論の無い議論をする暇があったら、ビジネスに専念する方がマシだ、とでもいうように。

民主主義というものは、およそ非効率で、経済や技術の発展に関しては、むしろ邪魔なものなのだろうか。


3.グレイテスト・ショーマンとウィンストン・チャーチル

米国や中国での民主主義に関する雑感を胸に抱きつつ、連日、森友問題や加計問題に関して不毛な議論が繰り返されている日本の国会を見ると、いっそのこと民主主義を止めた方が良いのではないか、とすら思いたくなる昨今だが、珠玉の2つの映画との出会いが、かろうじて民主主義への希望を想起させてくれる。

1つは、既に5回ほど観賞している「グレイテスト・ショーマン」。私見では、色々な意味で完成度が極めて高い映画で、思わず色々と書きたくなるが、ここでは民主主義との関係に絞ってネタバレにならない程度にポイントを略記する。

私がこの映画から得た最大のメッセージは、効率や合理ということを超えて、誰にでも生きる権利・表現する権利があるということ、そして、そのことをベースに紡ぎだされる「職業・恋愛その他、様々な選択肢があることの素晴らしさ」、「色々な夢を持つことの美しさ」、「多様性の織りなす社会の強さ」といったものである。映画の途中に、celebration of humanityというセリフが出てくるが、多様なあり方を認める自由主義的な民主主義ならではの見事な表現だ。

もう1つは、2回観賞した「ウィンストン・チャーチル」。副題が「ヒトラーから世界を救った男」となっているが、まさに、ヒトラーの独裁・野望にどうチャーチルが立ち向かったかを時系列に心理描写を中心に克明に描いた作品だ。

一時期、ヒトラーに対する妥協・和平に傾きかけたチャーチルの心境を変えたのは、初めて彼が乗った地下鉄で出会ったオリバー・ウィルソン、ジェシー・サットン、アビゲイル・ウォーター、マーカス・ピーターズ、、、といった名もなき市井の人々の声であった。解釈にもよるが、国王の支援も、そうした人間味あふれる国民の一意見として描かれている。

彼らの声を聴き、必需品だったはずのステッキを使わずにスタスタと元気に歩き出すチャーチルは、映画のセリフを借りれば、英語という言葉を総動員して、議会の流れを一変させるわけだが、言論や演説の持つ意味も含め、民主主義の良さに浸れるシーンだ。

その他、民主主義を守りたい、もう一度その価値を信じたい、という心境のプリズムを通してみると、最近の映画は、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ペンタゴン・ペーパーズ」(→ただし、個人的にはあまり好きではない)、「レディ・プレイヤー1」などなど、ほとんど民主主義・個人の価値尊重の賛歌なのではないか、と思えてくるが、こんな暗い時代だからこそ、芸術に浸って一休みし、そしてまた現実に戻って前向きに進みたい、と心から思う。

代表・CEO
朝比奈  一郎

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<1> 6/27(水)青山社中フォーラムVol.42 (株)
イトーヨーカ堂 代表取締役社長 三枝富博 氏による講演会
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㈱イトーヨーカ堂 代表取締役社長 三枝富博氏が青山社中フォーラムに登壇します。

三枝氏は1997年に、イトーヨーカ堂の社員として海外店舗の立ち上げのため、中国四川省の省都である成都市に出向され、その後約20年間に渡り、同地に骨を埋める覚悟で「地域に密着したビジネス」や「社員の育成」を大切にしながら、繰り返される反日デモにも負けず、同地のトップとして店舗の拡大を進めてきました。

約1600万人の人口を有する成都市の小売店の中で、売上第一位を何度も記録し、顧客からは「高品質な品物を販売しており、店員の接客も素晴らしい」という声を聞くほど、厚い信頼を得ています。その功績が地元の人々にも認められ、三枝氏は外国人唯一の成都市の名誉市民となり、日本人で初めて、中国チェーンストアー協会の理事に就任されました。成都では勿論、日本でも偉大な経営者として、NHKのプロフェッショナルなど多くのメディアで取り上げられています。

今回の青山社中フォーラムでは、三枝氏のこれまでの人生の歩み、特に成都市での店舗拡大に伴うご経験やリーダーシップなどをお話し頂きます。本講演が皆様の今後のアクションを促す一助となれば幸いです。奮って参加ください。

【日時】2018年6月27日(水)19:00-20:30
 ※通常の青山社中フォーラムより30分ほど早い時間ですのでご注意下さい。

【会場】一般財団法人高度技術社会推進協会(TEPIA)B1F 会議室 A
住所:〒107-0061 東京都港区北青山2-8-44 東京メトロ銀座線 外苑前駅3番出口から徒歩4分
URL:https://www.tepia.jp/access

【申し込みページ】
http://aoyamashachuforum42.peatix.com

【参加費】講演会2,500円 (後援隊メンバーは1,500円、割引コード別途送付)
※6/26(木)以降のキャンセルは返金不可となります。コンビニ・ATMでチケットを購入し、キャンセルした場合、クレジットカードで購入して支払日から50日以上経過した場合は500円の返金手数料が発生します。

【内容(予定)】
19時00分 開会?
19時05分 三枝氏による講演?
?20時00分 質疑応答
20時30分 閉会

【講演者プロフィール】
・1949年 神奈川県生まれ
・1973年 大和証券入社
・1976年 イトーヨーカ堂 入社
・1996年 成都イトーヨーカ堂 有限会社 出向
・2006年 成都イトーヨーカ堂 総経理
・2009年 成都イトーヨーカ堂 董事長
・2011年 イトーヨーカ堂 執行役員 中国室長
・2012年 イトーヨーカ堂 中国総代表(中国投資会社 董事長、北京イトーヨーカ堂 董事長)
・2013年 イトーヨーカ堂 常務執行役員 中国室長
・2017年 イトーヨーカ堂 代表取締役社長(現職)
      セブン&アイ・ホールディングス 常務執行役員(現職)

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<2> ぬまた起業塾 塾生募集中
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朝比奈が塾頭を務める「ぬまた起業塾」(7月開講)では、説明会参加者・入塾希望者を募集しています。群馬県沼田市での起業家養成が目的ですが、お住まいの場所に関わらず、起業や事業承継、第二次創業など積極的に考えている方を対象にしております。

起業塾は、一方的に講師が授業を行うことが一般的であるところ、ぬまた起業塾では、座学にとどまらず①ビジネスプラン作成、②講話、③専門講座を重視しています。

・ビジネスプラン作成では、実践で使えることを最重要視し、講師による丁寧な指導により完成させます。
・講話では実際の経営者や会長(沼田市長)による熱い講義が繰り広げます。
・専門講座では、ビジネスの基本的なエッセンス、起業前後や運営段階で重要なノウハウをコース別に総合的に教授します。(総合コース・観光コース・6次産業コース・ショップ経営コースの4コース)

具体的な成功事例やビジネスプランの作成、会社経営の専門知識などのセミナー等を行い、会社等の設立をはじめ、創業環境の整備・サポートを行うことにより、健全なベンチャー企業等が生まれ、本市の地域活性につなげていくことが企図されており、市も真剣に取り組んでおりますので、是非ご関心のある方やお知り合いに紹介したいという方は、ぬまた起業塾ホームページにて詳細情報をご参照ください。
http://www.city.numata.gunma.jp/jigyosha/chusho/sangyo/1003602.html

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<3> 三重県の地域活性を担う人財を育成する「夢・志事塾」
    の設立総会にて講演・アドバイザーに就任
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三重県の企業経営者、行政職員、学識者などが集い、次世代を担う人材の養成を目的に「夢・志事塾」が設立されました。

三重県知事、三重大学長、津市長、松阪市長などが出席した設立総会には約160名が出席し、朝比奈が「地方創生とリーダーシップ」をテーマに記念講演を行い、正式にアドバイザーにも就任しました。

三重県の地域活性を担う人材育成のために今後とも尽力してまいります。
https://aoyamashachu.com/seminer/2018/5580.html

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<4> Harvard Kennedy Schoolの同窓会にて講演
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朝比奈の母校であるHarvard Kennedy schoolの卒業生が集まる同窓会が開催され、卒業後のプロジェクトKや青山社中の活動など、卒業生を代表してプレゼンテーションを行いました。
https://aoyamashachu.com/seminer/2018/5606.html

その後には、元クラスメイトたちとの懇談などもあり、近況について意見交換を行いました。

経済・文化の拠点であるニューヨークでは日本のプレゼンスがある程度感じられる一方で、学術・政治拠点であるボストンやワシントンなどでは、その低下が感じられ、日本の現状を正しく発信する拠点の設立なども視野に、グローバル事業も検討を進めて参りたいと思います。

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<5> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾通信
5月26日より第8期青山社中リーダー塾が開講しました。今年度は総合商社・コンサル・不動産・製薬・行政・医療はじめ様々な分野から個性豊かなメンバーが集い、早速闊達な議論が行われております。今後も講義や活動などの様子をレポートしますので是非ご注目ください!!

*NPO法人「地域から国を変える会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です) 
【岩手県】
岩手県の中で観光重点地域を選定し、来訪した観光客のデータを徹底的に解析し、回遊性の高い観光戦略策定プロジェクトに関与することとなりました。花巻空港の国際線が増えている昨今、インバウンド向け花巻~北海道ルートの更なる活性を目指します。

【北海道北斗市・道南いさりび鉄道株式会社】  
北海道・道南いさりび鉄道における新規事業創出プロジェクト、第1回会議が5/28に開催されました。函館からの動線、冬場の観光、日本一の車窓・・・現状をビッグデータを活用して徹底的に認識して、強いところを徹底的に向上させる事業構築が始まりました。

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です)
【新潟県妙高市】
ハイエンドツーリズムの促進に向けた着地型観光商品の開発や海外へのプロモーションの方法などについて、事業者や行政職員と協議を行いました。 自然の恵み(農産物・海産物・温泉・山・雪など)が豊富にある妙高市の強みを活かした新たな取り組みで、海外の富裕層の来訪を促進していきたいと思っております。

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<6> 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<5月の実績>
・5/10「中央公論」の6月号に鈴木寛文部科学大臣補佐官との対談が掲載
 題名:「若手は役所の「小粒化」に満足するな」

・5/15 三重県の地域活性を担う人財を育成する「夢・志事塾」の設立総会にて講演(朝比奈)
 題名:地方創生とリーダーシップ(始動力)~結局は“人財どう創るか。夢・志事塾への期待

・5/19 ボストンで開催されるHarvard Kennedy schoolの同窓会にて講演
 題名:My / Classmates’ Challenges

・5/22 The Japan Timesにて論考掲載 (朝比奈)
 題名:Time to reform Japan’s political parties

・G1サミット2018のセッション動画が公開(朝比奈)
 題名:国民による「憲法改正」のあるべき姿とは?~朝比奈一郎 × 柴山昌彦 × 細野豪志 × 三宅伸吾~

<6月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載
・The Japan Timesにて論考掲載 

 
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