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Vol.88 民主主義と日本の危機 ~民主主義の構造的危機について考える~

森友問題で、永田町が、霞が関が、そして日本が揺れている。
決裁文書の改ざんは論外だし、過度の忖度その他で、本来の手続きが歪められることはもちろん大問題である。
 
しかし、正直な気持ちを言えば、この問題をここまでトコトン国会で議論する暇があったら、予算案の中身、北朝鮮への対応、働き方改革のあり方などについて、より突っ込んだ議論をした方がよほどマシだ、とも思う。本件は、必要な処分を粛々と進め、取りうる技術面や運用面での改善をするしかない。
 
民間企業でもそうだが、組織人による上司への「忖度」(そんたく)を壊滅することは不可能だ。忖度で粉飾まがいの数字を作ったり、事実を隠ぺいしたりして、多くの企業が世間で叩かれているが、淡々と処分をして改善策を練るしかない。忖度やそれに伴う不正を未来永劫なくすことは無理であろう。
 
更に言えば、「忖度」には、当然ながら良い面もある。上司の意向を自ら考えながら(=忖度)、自発的に動くことで、組織が有機的に機能したり、統一性をもって運営されたりする。
 
官僚が官邸の顔色を伺うのを止めさせようと、せっかく出来たばかりの「内閣人事局」(各省の審議官級以上の人事を実体的に内閣に一元化させることで、省益争い・縦割りの弊害を取り除こうという仕組み)を廃止すべきだとの議論もあるようだが、それこそ論外だ。
 
「角を矯(た)めて牛を殺す」(欠点を直そうとして却って全体をダメにする)とは、まさにこのことで、そんなことをしたら、また、TPPも、増税延期も、金融緩和も決められない混乱の政府に逆戻りすることは明白だ。
 
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私が「良識ある人」と思う方の多くは、ほぼ上記の見解を共有しているのだが、では、それでもなぜ、世の中・国会では、何よりも森友の議論に熱狂し、議論が煮詰まる中で迷走し、人事局を廃止するなどという信じられない話にまで発展するのか。
 
言うまでもないが、アリストテレスが2300年以上前に既に喝破しているように、民主政は、容易に衆愚政に堕する。即ち、「パンとサーカス」を求める市民の多く、その市民に支えられる国会議員の多くは、1)「パン」が買えないような危機状況(例:リーマンショック時)であればパンを求め、また、腹が多少満たされていれば、2)「サーカス」での興奮(例:郵政解散などの小泉劇場)を求める。この限りにおいては、政策の議論は生じうる。
 
為政者は、当然ながら、「パンが買えない」経済危機は歓迎しないので、国民の政治への関心をつなぎとめるべく、「サーカス」に走ろうとする。ただ厄介なことに、政治におけるサーカスとは、即ち「VS構造」「二項対立」だ。郵政民営化にしても、TPP参画にしても、憲法改正にしても、それらを旗印とした選挙(=現代の戦争)においても、敵を作り、排除しようとするところに「サーカス」・「劇場」が生まれる。
 
VS構造の敵方は、昔であれば、負けたら文字通り殺されて終わりだが、最近は、物理的には生きながらえる。恨みを貯め、逆襲の機会をうかがう。当然ながら、最も効果的な逆襲・カウンターパンチが「スキャンダル」だ。むろん、「上げて、落として2度美味しい」という法則のメディアも、登りつめた有力者のスキャンダルに便乗して視聴率を稼ぐ誘惑からは逃れられない。
 
2012年12月からの復活後の安倍政権も5年を経過し、TPP、増税延期、憲法改正などの様々な政策マターや数々の選挙で、自民党の内外に多くの敵を作ってきた。前二者は既にある程度決着がついているが、憲法改正はこれからだ。改正反対論者は、「これは最後の闘い」と思っていても不思議はない。更には、領土問題その他の張り合いの中で、また、近隣国が強くなることを喜ばない人間の性(さが)から、周辺国も基本的に安倍一強を好まない。
 
聞くところでは、最近の中国では、トップニュースが、しれっと憲法改正をして国家主席の任期を撤廃するなどした全人代(全国人民代表大会。国会に相当。20日に閉幕)で、その次のニュースが森友問題に揺れる日本の報道だったことがしばしばあったようだ。
 
いずれにせよ、スキャンダルで安倍政権をつぶしたいと思っている勢力には事欠かないのが現在の状況であると言えよう。先述の中国以外にも、次々に周囲をイエスマンで固めるトランプ政権、18日の選挙で圧勝して約四半世紀にわたる支配を固めたプーチン大統領、圧倒的独裁の北朝鮮の金政権、政敵の元大統領を逮捕し権力掌握を進める韓国の文政権などと対峙しなければならない中、我が国は、「決裁文書の細かな改ざんの指示を誰がしたか」くらいで政権の土台が揺れる。
 
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上記のような民主主義の構造的な危機の中で、政権はメディアへの反撃とばかりに、放送事業への新規参入を企図してか(将来的な電波オークションなども視野?)、放送法の改正を検討している模様だ。
 
新興メディアのブライトバートが、極端なトランプ支持をして、同氏の大統領選での勝利をサポートしたことはアメリカでは有名な話だが、放送法改正の帰結として、そんな状況が日本で生まれる可能性もゼロではない。
 
ただ、このようなカウンターパンチ的な動きだけでは、民主主義の危機は、ますます変な形で深まってしまうだけであろう。分極化著しい米国がその証左だ。なかなか難しいところではあるが、ここは、スキャンダル至上主義者がどう騒ごうとも、国民がそれにどう踊らされようとも、粛々と将来の国民、日本という社会の健全な発展に向けて、予算の中身や各種制度のあり方を真剣に議論し続ける国会及び国会議員に解決策を求めるしかないのではないだろうか。
 
紙幅も尽きたので詳述はしないが、真に重要な議論がなされるような国会改革、行政をチェックするだけではない議会(提案型の議員・政党)の興隆を各地で促すべく、議員や政党を政策面でサポートする弊社のようなシンクタンクが益々頑張らねばと、早くも散りゆく早咲きの桜を見ながら、強く思う。

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<2> 青山社中フォーラムVol.41「安定か?挑戦か?リスク
を取ったリーダーたちの成長戦略」を開催
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青山社中リーダー塾の主催で、ビズリーチの南社長、小林衆議院議員、青山社中 朝比奈の3者に来場者も交えて、「リスクを取っての人生構築」というテーマで対談を行いました。
http://aoyamashachu.com/forum_report/2018/5304.html

二人とも1999年に社会人となり、10年後の2009年に南さんはゼロからビズリーチを立ち上げ、同年に小林さんは政権交代直後で解党すら危ぶまれた自民党に「真の保守政党が必要だ」と財務省キャリアの道を捨てる覚悟で門戸を叩きました。

登壇者からは「世の中の構造を把握し、成長する市場に身を置くこと」「状況をしっかり分析して勇気を持った判断・決断をしていくこと」「歴史やリベラルアーツを学ぶこと」など、これまでの体験を元にしたリーダーとしての哲学やチャレンジするためのコツをお話頂きました。

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<3> グロービスの「第2回100の行動アワード受賞記
念イベント」に登壇
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グロービスを中心にG1サミットのメンバーで作成した「日本を動かす100の行動」に関する対談イベントが行われ、「100の行動・ニッポン未来会議~私たちがつくる新たな憲法の形とは~」というテーマで朝比奈がコメンテーターとして登壇しました。
http://aoyamashachu.com/講演・イベント登壇/2018/5327.html

<登壇者(敬称略)>
・スピーカー  :細野豪志(衆議院議員)
          森まさこ(参議院議員)
・コメンテーター:翁百合 (日本総研 副理事長)、
         朝比奈一郎(青山社中 筆頭代表 CEO)
・モデレーター :堀義人(一般社団法人G1 代表理事)

2018年、安倍首相は「時代に対応した国の姿、理想の形を考え、議論していくのは歴史的な使命だ」と任期中の憲法改正に意欲を示し、憲法改正が現実的となってくる中、憲法改正の考え方について、意見を交わしました。

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<4>  今月のフジサンケイビジネスアイ「高論卓説」
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総合ビジネス金融紙「フジサンケイビジネスアイ」の連載記事
「高論卓説」で今月も朝比奈の記事が掲載されました。

【題名:国会議論「角を矯めて牛を殺すな」】
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180326/bsg1803260500002-n1.htm

【過去の記事はこちら(青山社中筆頭代表 朝比奈一郎のブログ)】
http://blog.livedoor.jp/aoyamashachu/

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<5> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾通信
楽天の海外グループ会社CEOを辞し、スタートアップを創業
株式会社NearMe代表取締役社長CEO 髙原幸一郎(2期生)

独系大手ソフトウェア会社のSAPやシカゴ大MBAを経て楽天に入社し、これまで国内外のスタートアップ事業やターンアラウンドなどを推進してきました。

リーダー塾での講義や仲間との議論は自らを深く内省する時間になり、「何に貢献にしたいのか」「何にワクワクするか」を大事にするようになりました。MBA取得後に楽天に転職するときも、塾頭のアドバイスを参考にしつつ「本気で世界一を目指す会社」にロマンを感じ、自分がその触媒になりたいと入社を決めました。入社後もそのワクワクを大事にし、当初の思いに近い仕事に就くことができました。

一方、買収した会社の創業者たちの圧倒的な情熱やコミットメントに触れるに連れ、自分が何にコミットしたいのか常に考えるようになりました。そして、「地域活性につながるサービスを作りたい」と思い、起業することを決めました。

リーダー塾卒業後も、 社中の仲間とのつながりは、自分の考えを深めたり、背中を押してもらえる場になり、塾の大切な教えである「始動」のきっかけになっています。

*NPO法人「地域から国を変える会」(リーダー塾生が立上げた団体です)
【埼玉県鳩山町】
埼玉県鳩山町では、交流施設と農産物直売所の建設が予定されており、これらの施設の運営と特産品の製造・販売を行う組織として、まちづくり会社の設立準備を進めています。弊会では、これまでに携わってきた地域の同類施設を参考にしつつ、事業スキームの構築を進めています。

【兵庫県多可町】
多可町職員の皆様にリーサスを活用して町の現状分析をプレゼンを実施、また、住民参加ワークショップも合わせて実施しました。「ビッグデータ+職員・住民の意見」から経済活性化策を導き出し提案をしました。

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(リーダー塾生が立上げた団体です)
【沼田市】
これから伸びゆく中国・成都とベトナム・ホーチミンの新興国市場に先行者として、沼田ブランドの食品・工芸品・観光商品を、展示販売会とレセプションを通して提供し、外需を取り込むための試金石となる事業を行うため、各所と調整を進めつつ事業計画を策定しています。沼田市や政府の補助金も活用しつつ、今後のグローバル事業の推進に繋げていければと思います。

【妙高市】
朝比奈が地域活性化アドバイザーに就任し、4月より妙高市の総合計画策定における重点プロジェクト立ち上げの支援を行います。年間で10日間ほど妙高市を訪問し、主には中心市街地の活性化、インバウンドにおける富裕層の取り込み、RMO(行政機能を持ち地域をマネジメントする民間法人)の設立等をテーマに調査・方針策定を進めていきます。

【総会を開催】
会員を集めて今年度の活動報告と次年度の活動計画を共有する総会を実施しました。自治体コンサル(視察、商談会、テストマーケティング、インバウンドなど)や物販などの事業をメインに、インバウンドや海外発信の分野等の取り組みも加えて、引き続き活動していきたいと思います。

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<6> 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<3月の実績>
・3/1 グロービス「100の行動アワード受賞記念イベント」に登壇(朝比奈)
 題名:100の行動・ニッポン未来会議~私たちがつくる新たな憲法の形とは~

・3/8 グロービス「働き方改革」のセミナーに青山社中として後援
 題名:人生100時代に政府・企業・教育機関・個人が果たすべき役割について

・3/12 グロービス「番町会」にて講演(朝比奈)
 題名:地域活性化に向けたカギ  ~地方創生の現在と青山社中の取り組み~

・3/12 ハーバード大学ケネディスクールの「Japan Trek」に青山社中が協賛

・3/20 第25回 「CIRCULATION LOUNGE」にて登壇(朝比奈)
 題名:大変化の時代、これからの人材に必要なリーダーシップとは

・3/22 青山社中リーダー塾特別公開シンポジウムにて登壇(朝比奈)
 題名:安定か?挑戦か?リスクを取ったリーダーたちの成長戦略

・3/26 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載(朝比奈)
 題名:国会議論 「角を矯めて牛を殺すな」

・3/28 「森友文書」に関わる佐川前国税庁長官の証人喚問に関するコメント が各紙で掲載
 題名:政治主導人事 透明性を ~改ざん対策 電子化進めて ~

<4月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載
・The Japan Timesにて記事掲載