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Vol.77 得るものと失うもの ~見えないものを見ることの難しさ~

昨日、4月29日の早朝、東京メトロの車内で「北朝鮮がミサイルを発射した影響で運転を見合わせている」旨、アナウンスが流れた。 

「××駅でのホームドアの安全確認のため」とか「人身事故のため」といった理由で列車が止まることは、それこそ日常茶飯事であるが、まさか「ミサイルが発射されたため」に列車が止まる日が来るとは夢にも思わなかった人が大半ではなかろうか。少し考えれば想像できたはずではあるが、見えないものを見ることは、ことほど左様に結構難しい。

主宰するリーダー塾に、ある総理補佐官経験者にゲスト講師として来ていただいたことがある。尖閣問題などを担当していた氏は、当事者としての経験を踏まえ「どうも日本国民は、例えば領海に中国船が入ると、その時は勇ましく『追っ払え』『断固として対峙せよ』と言うが、いざ、日本側に人的・経済的に大きな被害が出る段になると、とたんに手のひらを返して『政府は何をやっているのか!』と、矛先が自国政府に向かう」ことを慨嘆していた。

20年近い海外滞在経験を持つ同氏の実感としても、「諸外国に比べ、日本は、何か被害が出ると、矛先が敵方(主たる原因そのもの)ではなく、自国政府に向かう傾向が強い」とのことだ。平和ボケというか、責任無き子供のような国民というか、本来日本人はそうではなかったと思うだけに、事実だとすると残念だが、私の実感としてもそんな気がする。

北朝鮮への制裁その他、対外的に強硬なことを言うからには、国民としては、最後まで、自分で選んだ政権を支えなければならない。後になって、「情報が開示されていなかった。そんなに北朝鮮のミサイルが凄いとは知らなかった。政府は一体何をやっているのか。」などという言い訳は許されない。

ある程度の人生を過ごしてくれば、仕事や人間関係などのあらゆる局面で、「得るものがあれば、失うものもある」という人生の教訓を、否応にも痛感することが少なくないはずだ。「失うもの」という最初は表面には出てこない「見えないもの」を見る力、そしてそれを引き受ける覚悟が改めて必要だ。
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今年、2017年は、私が幼い頃に心を躍らせて見たアニメの「宇宙戦艦ヤマト」の「愛の戦士たち」シリーズが「2202 愛の戦士たち」として、全7章でスタートする年でもある。既に第一章が上映され、6月に第二章が始まる予定になっている。

「ヤマト」は、地球上で最後に残った日本の若者たちが、地球を救うべく宇宙に旅立つストーリーだ。そうした背景から仕方ないとはいえ、敵方は、ガミラスのデスラー提督はじめ、みんな西洋人名・顔で、ヤマトの乗組員は主人公の古代進など、ほぼ全員が日本人名・顔なので、幼い心に、「何と、日本国民のナショナリズムを喚起して、溜飲を下げさせるアニメなのか」と、もちろん表現は違うが、少し冷めて感じたりもしていた。

ただ、未だに強く印象に残っているのが、他の子供向けアニメが、主人公が敵をドンパチやっつけて「ヤッター、正義は勝った!」と単純に小躍りして終わるだけなのに対して、その勝利の向こう側、普通は「見ようとしない世界」を割と正しく描いていた点だ。

例えば、ヤマトと敵方との激戦後のシーンだが、「本当は、戦ってはいけない。人類は、愛し合わなければいけないんだ」などのセリフの向こうで、子ども心にも、いたいけではかなくて美しいヒロインの森雪(当初は十代の設定だったと記憶)が、死体の散乱する甲板で銃身を抱きながら泣いていたりする。ほかの戦闘ものアニメではほとんど見たことがないシーンだった。「得るものと失うもの」、最初は表面に出てこない「見えないもの」の大切さを見せてくれた、と改めて思う。
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日常生活から、政策に至るまで、何かを得るために何かを変えれば、それは、同時に、見えない何かを失っていることになる。

企業での人事評価を「見える」化すべく目標管理型にすれば、志やミッションのために働いていた気持ちが、「目標のため」「目標連動の給料のため」中心にすり替わってしまうかもしれないし、子どもの教育で、毎日毎日を各種習い事のオンパレードにすれば、確かに様々なスキルが身にはつくだろうが、友達との交流・家族との触れ合いが減り、人として最も大切とも言える人間関係を作る力が失われるかも知れない。

国として「見える形」で経済(GDP)を伸ばすのであれば、GDPカウントされていないもの、典型的には家事労働などをどんどん外注させるべく、主婦などが働きに出れば、きっと非常に効果的であろう。実際に政策はそのように進んでいる印象だ。ただ、その裏側で家族のぬくもりや親子の触れ合いなどが犠牲になるかもしれない。

サン・テグジュベリの名作「星の王子様」の一節ではないが、「大切なものは目に見えない」。見えないものにも目を向けつつ、得るものと失うもののバランスも熟慮して、その上で、国民一人一人が、覚悟をもって自分の決断を引き受ける態度が今更ながら大切だとつくづく思う。

筆頭代表CEO
朝比奈 一郎

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<1> 政策事業担当に森原が就任
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4月より、遠藤の後任として政策事業担当に森原誠が正式に就任しました。

<プロフィール>
森原 誠
1979年生まれ。鳥取県出身。東京大学法学部卒業。UCLA法科大学院修了(修士)。2003年から、総務省で情報通信政策、知的財産政策などを担当。2011年から、ボストン・コンサルティング・グループにおいて、ハイテク・メディア・通信業界を中心に、民間企業向けの新規事業開発、成長戦略策定などのプロジェクトを担当。現在は、官庁、政党、議員、自治体等の政策支援や調査活動に従事。

政策立案や人事などの内部管理業務を担当する予定ですが、一流コンサルティングファームでの豊富なビジネス経験も活かして、地域活性化業務や我が国企業の海外展開支援業務など、幅広く、日本や弊社の活性化に尽力してもらう予定です。

引き続き青山社中をよろしくお願い致します。

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<2> 第36回青山社中フォーラムを開催
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東京大改革のブレーン 慶應義塾大学総合政策学部教授 上山信一氏をお招きし、これまでの大阪の改革やこれからの東京の都市経営について、事実を基に課題を浮き彫りにしつつ、進むべき方向性について様々な視点からお話を頂きました。
http://aoyamashachu.com/news/2017/4143.html

多くの人が関心を持つ日本の二大都市について戦略的に改革を進められる際の、上山様の考え方などに非常に感銘を受けました。

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<3> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾通信 4期生 駒形 俊太郎
「アルジェリアの砂漠で採ったサソリ」「フランスのナポレオン (ブランデー)の瓶」、海外に駐在にしていた祖父が買ってきた品物や現地での苦労話を「世界の広さ」に感動しながら興味津々で聞いていた幼い頃の記憶がしばしば脳裏に蘇る。

その話は、自分を新潟⇒東京⇒世界と駆り立て、諸外国への訪問により「世界を知る」という貴重な経験を得たが、皮肉にも、多くの異文化と相対したことが、自分の「Identity」を考えることに繋がり、頭を悩ませる要因となった。

振り返ってみると、私は幼少期から高校まで、新潟という地方都市でサッカーや勉強に多くの時間を費やしてきた。常に「競争!競争!競争!」という環境下で「他者よりいかに優れているか」ということが自分の価値基準であり、世の中のグローバル化やIT化による国際競争のトレンドもそれに拍車をかけていたように思える。

本を呼んで思考したり、旅に出たり、人と議論したりしても自分の「Identity」としてしっくりくるものが無い中、自分自身よりもむしろ社会についてより深く探求していけば、関心のあるテーマも見えてくるのではと自分を試す気持ちで、リーダー塾に入塾した。http://aoyamashachu.com/project/education/leader

そこでの学びを通し、①志 (自分がこれだ!と思う価値基準/テーマ)、②構想力 (時間や空間を超えた俯瞰的視野と複数事象を結び付けた発想)、③巻き込み (他者を率いて協力を引き出す能力)の3つがリーダーシップを発揮する上で総合的に必要だと考えるようになった。

リーダーシップは「人間を自由にし、可能性や夢を広げてくれる」素敵な能力であると私は考えている。一人ではできないことも五人ならできる、百人いればもっと大きなことができる、というように。

私は現在、外需獲得による経済活性化の推進を目指し、中小企業のアジア市場を中心とした販路開拓支援の仕事をしている。2年半前にゼロから立ち上げた組織で「次世代の新型商社」を目指して一歩ずつ前進をしている。

今後は既存の事業を更に発展させると共に、「国際共創」をテーマとして、国や業界の垣根を超えたビジネスのプロデュースを、リーダーシップを発揮しながら推進していきたいと考えている。

幼い頃に祖父から聞いた世界の話を、今度は自分の口から語りたいと思う。

 
*NPO法人「地域から国を変える会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です)
【沼田チーム】
群馬県沼田市の起業家養成塾「ぬまた起業塾」はおかげさまで三年目を迎えることとなり、第3期生の募集を開始しました。今年は、更にカリキュラムを強化し、「魂に火をつける経営者講話」「実践型ビジネスプラン作成」「群馬県内・東京の企業視察」を中心とした授業を展開します。群馬県沼田市での起業家養成が目的ですが、お住まいの場所に関わらず、参加可能です。単なる座学だけではなく、魂のこもったカリキュラムを是非ご体感ください。

[ぬまた起業塾説明会]
平成29年5月28日(日)14:00~15:00 沼田市役所北庁舎3階第二会議室
平成29年6月6日(火)19:00~20:00 沼田市役所北庁舎3階第二会議室

[詳細はぬまた起業塾ホームページをご参照ください]
http://www.city.numata.gunma.jp/jigyosha/chusho/sangyo/1003602.html

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(リーダー塾生が立ち上げた団体です)
中国成都イトーヨカドーでの催事に向けて準備を進めています。成都イトーヨカドーは年間3000万人(1日あたり約8万人)が来場するほど、繁盛しており、2014年度は成都市場で売上第一位の小売店となりました。

北京や上海に比べて伸びしろの大きい中国内陸市場に注力し、店舗とECを連携させた購買促進の仕組みづくりなども同時に行うことで、地域の優れた産品の海外販路開拓を進めていきたいと思います。

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<4> 青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<4月の実績>
・4/13 アバンフォーラムにて講演
題名:地域活性化のカギ ~マクロとミクロから地域と日本の創生について考察する~
・4/17 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載
題名:大局を見渡し、局地戦で日本活性化 ~混迷の時代に囲碁的世界を生きる~
・4/18 BBT Chの講義を収録
ゲスト:日野公三氏 (株式会社アットマーク・ラーニング 代表取締役社長 / 明蓬館高校理事長)
・4/27 浅尾 慶一郎「日本のヴィジョンを考える会」にて講演
題名:位無きを患えず、立つ所以を患う ~霞が関を飛び出して、多方面から日本を変える「青山社中」の挑戦~

<5月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載