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Vol.72 まさかの米国大統領選と、大詰めの真田丸からの気づき ~ 青山社中6周年を迎えて感じること ~

もう数か月前のことのようにも思えるが、たった3週間前、ドナルド・トランプ氏が米国大統領選で勝利した。
 
今回の結果から見える民主主義・世界の「暗い」行方については、10日前のフジサンケイ・ビジネスアイへの寄稿で詳述したが(「8年前のオバマ氏当選と本質的には変わってない」)、ここでは、少し別の角度から見てみたい。
 
着目しておきたいのは、ヒラリー・クリントン氏の「負けっぷり」の良さ・潔さだ。一部の州における「緑の党」の再集計要請に際し、クリントン陣営が便乗していることをとらえて、「潔くない」と見る向きもあるようだが、そこは本質的な動きにはならないであろう。
 
むしろ、獲得票数ではクリントン氏が200万票余りも上回っているのに、当時は詳細な差までは分からなかったにせよ、投票から一夜空けた時点で、あっさりと敗北を認め、ほとんど全く、愚痴や言い訳がましいことを述べていないことが驚きだ。原文にも日本語訳にも目を通したが、大変格調が高く、少しも女々しいところがない。「れば・たら」にはなるが、トランプ氏が敗北していたら、こうはならなかったのではないか。
 
この「負けっぷり」の良さ(≒人間としての「気品」の一つ)、というものは、エリートとして国や組織を導く者が、当然に有しておくべき性質だと思うが、残念なことに、現在のアメリカでは、この性質こそが、クリントン氏の敗因だと思う。すなわち、私たちが直面している世界の軸足は、アメリカに限らず、無理をして品を保つ方ではなく、正直に赤裸々に感情をむき出しにする方に傾きつつあるからだ。
 
夏目漱石は「三四郎」の中で、少し私の解釈も交えて書けば、「世の中は、露悪(≒利己主義)と偽善(≒利他主義)の繰り返しで、どちらかにバランスが過度に傾くと、逆に振れるのが常だ」と、作品中の広田先生の口を借りて喝破している。やせ我慢をして品を保つクリントン的「偽善」よりも、感情むき出しのトランプ的「露悪」の方に、今は重心が傾きつつあると見るのが普通であろう。
 
例えばこれから出馬を考える人は、品を保った形で政策を語るより、「勝てば良いのよ、勝てば」とばかりに、実現可能性は無視して、気持ちに素直に思ったことを述べた方が得だ。
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ただ、世の中の流れがそうだからと言って、本当にこれで良いのだろうか。ここでクリントン氏の敗北宣言の終盤の一節が、非常に強く私の胸を打つ。
 
「若い人たちに特に聞いてもらいたいのだけど、私はずっと、信じるもののために人生をささげてきたわ。これまで、成功も挫折も色々と経験してきた。中には、時に、ひどく痛むものもあった。
きっと多くの皆さんが、専門家として、公的存在として、もしかしたら政治家として、人生のスタート地点に立っていると思うけれど、きっと、私と同じように、これから様々な成功や挫折を経験することになると思う。
 今回の敗北の喪失感は、とても痛い。でも、それでも、決して止めないでほしい。正しいことのために戦うのは、とても価値があることだ、と信じることを。」 (朝比奈訳)
 
とりあえず「目の前のことで勝つこと」、「トレンドに乗ること」だけが人生ではない。こんな時代だからこそ、背筋を伸ばして、世の中と毅然と戦うことが美しくも見える。「美」とは、露悪にならず、たとえ偽善でも、不便を受け入れて品を保つところから生じるものではないか。
 
NHKの大河ドラマ「真田丸」が大詰めを迎えているが、大阪方の豊臣の忠臣として徳川軍に対峙する主人公の真田幸村(信繁)は、ドラマ中では今のところ1度、一説によると2度、徳川側から、信州の領土などを提示されて寝返るよう調略を受けている。幸村は、明らかに勝ち目のない大阪方に命を懸けて味方をし、徳川家康の心胆を寒からしめる勇猛ぶりを発揮して「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と後世に名を残すが、それもまた人生ではないか。
 
去る11月15日に、青山社中設立6周年を迎え、「政治家」などの分かりやすい地位を求めない自分の生き様や、青山社中リーダー塾での教育方針について、改めて思いを巡らせている。今日は、「西向く士(さむらい)」の11月30日である。
 
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<1> 青山社中フォーラム Vol.34 スマートニュース株式会社会長・共同CEO 鈴木健 氏による講演会
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スマートニュース株式会社の鈴木健氏が青山社中フォーラムに登壇します。
 
スマートニュースは、全国紙をはじめとするニュースメディアと連携し、インターネット上で話題になったニュースを読めるスマートフォン・タブレット向けのアプリケーションで、現在世界各国で配信されています。また、鈴木氏は情報技術が社会に与えるインパクトを考察し、「伝播投資貨幣PICSY」や「分人民主主義Divicracy」など、社会制度やメディアによる世界像を具体的に提案した『なめらかな社会とその敵』などが著書にあります。
 
今回の青山社中フォーラムでは「現代社会の危機とスマートニュース・鈴木健のチャレンジ」というテーマで、スマートニュース株式会社設立の背景や創業から現在に至るまでのチャレンジなどを中心に、ご講演頂きます。
ビジネス、テクノロジー、哲学、数学など、様々な分野に深い造詣をお持ちである鈴木氏の講演が皆様のアクションを促す一助となれば幸いです。奮ってご参加ください。
 
 
【日時】
2016年12月20日(火)19時30分-21時00分
 
【会場】
青山社中オフィス(最寄駅:外苑前)
港区南青山2-19-1 サザンキャッスルビル2階
 
【参加費】
講演会2,500円(青山社中後援隊メンバーは1,500円、割引コード別途送付)
※12/19(月)以降のキャンセルは返金不可となります。コンビニ・ATMでチケットを購入し、キャンセルした場合は500円の返金手数料が発生します。
【内容】
19時00分 受付開始
19時30分 開会
19時35分 講演

20時30分 質疑応答
21時00分 閉会
 
【講演者プロフィール】
鈴木 健 (Dr. Ken Suzuki) スマートニュース株式会社 代表取締役会長 共同CEO
1998年慶応義塾大学理工学部物理学科卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。情報処理推進機構において、伝播投資貨幣PICSYが未踏ソフトウェア創造事業に採択、天才プログラマーに認定。著書に『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013年)。東京財団研究員、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター主任研究員など歴任し、現在、東京大学特任研究員。
2006年4月 株式会社サルガッソー設立、代表取締役社長就任。
2012年6月スマートニュース株式会社(創業時社名:株式会社ゴクロ)に共同創業者として参画、取締役に就任。2014年6月 代表取締役会長共同CEO就任。SmartNews米国版ローンチのため米国法人SmartNews International. Inc.を設立、Presidentに就任。海外メディアとの連携を進めながら、世界中の良質な情報をなめらかに発信中。
 
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<2> 「青山社中リーダーシップ・公共政策学校 経済・財政編」12月6日(火)お申し込み締め切り迫る!(次回医療・社会保障 編は1月11日開講!)
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青山社中リーダーシップ・公共政策学校「経済・財政編」が12月より開講いたします(お申し込み期限は12月6日(火)です)。
 
担当講師は法政大学の小黒一正教授です。(大蔵省出身、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了)
最近は「預金封鎖に備えよ マイナス金利の先にある危機 朝日新聞出版」を出版、大変注目されている経済学者です。
 
人工知能・ビッグデータ・IoT等の成長戦略に期待が高まりながらも、人口減少・少子高齢化で低迷する経済、消滅の危機に直面する地方自治体、膨張が止まらない政府債務。
本講座では現代日本における経済・財政の解決策を模索する上で基本的な視角を身につけることを目的としています。
 
経済、財政の観点から日本社会の大局的な流れを眺めることにより、個々人のお仕事やキャリアのヒントを掴むきっかけになれば幸いです。
 
また、来年1月からは日本医療政策機構理事の宮田氏が担当の医療・社会保障編が開講します。
医療政策に携わりながら、最近では地域密着型のクリニックを開業され、ご自身も現場でリーダーシップを発揮されています。
 
最新の医療政策、現場でのお取り組みにご関心のある方は是非受講をご検討ください。
 
 
講師、スタッフ一同、皆様と共に学べることを心より楽しみにしております。
 
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<3> 青山社中が6周年を迎えました。
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先日、2010年11月15日の設立より青山社中が6周年を迎え、総勢8名の社員で懇親会を行いました。
 
今年で6年を迎えることができたのも、これまで様々な形で私達を支えてくださった皆様のお陰であり、厚く御礼申し上げます。
 
日本を「世界に誇れ、世界で戦える」国にするために、①国や社会のことを深く考え変革に向けてリスクをとった決断のできるリーダー、②日本を少しずつでも良くするような各種政策、③世界を相手に大きく立ち向かうことのできる組織、などを創るべく、種々の事 業を実施していきたいと思います。
 
今後とも、皆様の変わらぬご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
 
会社案内パンフレットをリニューアルしましたので、2016年現在の事業などに関する取り組みが記載されておりますので、ぜひご覧頂ければと思います。
 
 
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<4> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾
先日、2016年度第2回合同クラスにて、東京大学エッジキャピタル(UTEC)の郷治代表取締役社長にご登壇いただきました。
 
経済産業省でベンチャー投資関連の法案を起草されたご経験や、志を胸にUTECに転じられたこと、現在の研究機関とベンチャー投資の実際について、現在は社長を務めながら東大博士過程にご入学され研究に励んでおられることなど、多岐に渡ってお話をいただきました。
 
塾生一同、多いに刺激を受けました!

*塾生通信  5期生 伊藤 聡

私は2015年5月に青山社中リーダー塾の5期生として入塾した。

毎週土曜日の午前、座学で朝比奈塾頭の白熱講義をみっちりと受けた約1年間に、私の「人生の幹」が太く強く強化され、青山社中リーダー塾在籍2年目以降の実践編に入ったいま、その枝葉がミシミシと四方八方に、僅かながら、しかし着実に伸び始めている。私は時折立ち止まり、目を閉じてその音に耳を澄ませる。将来歩みたい道と、「いま」が繋がっているかと自問しながら。
 
私は現在、塩崎恭久代議士の政策担当秘書として永田町に勤務している。
 
政治の渦中に身を置いていると、膨大な情報量や感情の交錯に、自らを見失いそうになる。政策と政局、これは政治には必須の両輪であるが、自らを律しながら、双方に主体的に関わっていくことがこの世界の仕事である。そのためには世界と歴史を俯瞰する広い視野と、「てにをは」一字一句に至るまでに神経の行き届いた繊細さ、そしてあらゆる原始的な人間感情への配慮と、それを態度で現す行動力がなければ、政治の世界で大成することはない。政治の世界でのリーダーシップとは、そのような激しい渦の中で、人間の意識と集中をひとつの方向へと集め、永田町や霞ヶ関のみならず、国民全体と共に行動する機運を作り出していくことの占める要素はとても大きい。
 
座学編におけるリーダー教育、伝記教育、文明教育は、人間力の根本的な「土台」を作るための最適な場であり、その素養は即、自らの仕事に活きているのを感じていた。いま振り返っても、この座学編は、私にとっての将来といま、を強く結びつける大きな存在だった。
 
今年に入ってから、私は青山社中リーダー塾の「政策研究会」の活動に深く関わっている。これは、リーダー塾のOB、OG、現役生の有志が、オリンピック後の2020年以降の日本の政策提言作りに取り組む研究会で、「国家としての日本の在り方とは?」、「真に乗り越えるべき日本のイシューは?その打ち手は?」といった本質的な課題に正面から向き合い、しっかりと時間を掛けてまとめようとしている。ドグマティズムだけにも、プラグマティズムだけにも陥ることなく、必要なあらゆる叡智を集めて日本の未来を切り拓いていきたい、そういう強い思いで、新しい日本の土台作りに踏み出している。幸いにして、リーダー塾の素晴らしい仲間たちとともに議論を進めることができていることは、言葉にできない程の感謝の気持ちで一杯だ。このような活動に踏み出せる「場」があることも、青山社中の大きな「力」である。今後、あらゆる立場の方々とともに、日本の未来を創っていきたい。
 
 
*NPO法人「地域から国を変える会」(リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
 
【群馬県沼田市】
2期生のビジネスプラン作成が本格的に行われている「ぬまた起業塾」では、このたび、初めて1期生・2期生の交流会と、1期生の現在の取り組みのプレゼンテーションを行いました。ここからビジネスマッチングが生まれ、縦の連携・横の連携がより生まれるようアシストしたいと思います。
 
【新潟県三条市】
先月開講した滞在型職業訓練施設「しただ塾」では、全国各地から移住した塾生が、旧荒沢小学校で学びながら下田地域での生活体験に接しています。しただ塾生の日々の活動は、以下のホームページにて報告されています。下田とはどのような風景で、どのような体験を塾生がしているのか、是非ご覧ください。
 
 
 
*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
 
 
経済活性アドバイザーを務める三条市の海外視察のアレンジで中国内陸部の成都、重慶に4日ほど滞在し、三条市の製品の販路開拓可能性の調査をしてきました。
 
フォーブズ誌で2010年に発表された「今後10年間で最も成長する都市ランキング」において、成都は第1位、重慶は第2位にランクインしています。人口はそれぞれ1000万人、3000万人を超え、消費者市場が近年凄まじい勢いで拡大しています。日系企業においては、成都ではイトーヨーカドーや伊勢丹等の百貨店が外資の百貨店と凌ぎを削っており、重慶ではセブンイレブン等のコンビニの進出が盛んです。
 
伊藤忠商事さんの多大なご協力もあり、成都の小売店として近年、大躍進を遂げている日系百貨店のイトーヨーカドーを始めとして、JETRO成都、四川省人民対外友好協会、在重慶日本国総領事館などを訪問しました。特にイトーヨーカドーの三枝代表からは、現地の従業員を育成し、顧客の信頼を獲得し、一定の地位を築き上げるまでの取り組みなど、非常に参考になる話を頂きました。
 
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<5>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<11月の実績>

・11/6 東大弁論部総長杯弁論大会にて審査委員 (朝比奈) 

・11/18 奈良県生駒市役所にて選抜職員向け研修・若手職員向け講演 (朝比奈) 

・11/21 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
 
・11/25 BBTChの講義をオトバンク上田代表と収録 (朝比奈)
 
<12月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載
・聖心女子大学にて講義
・福澤諭吉記念文明塾にて講義