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Vol.67 マックス・ヴェーバーの正論と、それでは持たない日本

「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、硬い板に力をこめて、じわっじわっと穴をくり貫いていく作業である。」
~ マックス・ヴェーバー『職業としての政治』より ~

間もなく参院選の投開票が行われる。

巷間では、自民党が単独で過半数を制するかどうか、改憲勢力で2/3以上の議席を獲得するかどうか、などが焦点とされている。仮に、これらのハードルがクリアされた場合、安倍政権は、普通に考えれば、大きな力を得ることは言うまでもない。

仮に大勝利となれば、2年ほど、国政選挙がない期間を得ることになる。仮に、よく言われるように、年内のどこかで衆院の解散総選挙に打って出るとして、それにも勝利するとなると、次の参院選までの3年弱もの間、基本的に選挙の心配は不要となる。こうした安定的な期間に、憲法改正や増税等の不人気施策、本当にやりたいこと・やるべきことを実現することができるわけである。

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ただ、不謹慎であることを承知で言えば、正直、参院選の動向にも、こうした情勢分析にもあまり関心が持てずにいる自分がいる。

仮に、この一見巨大なポリティカル・アセット(政治的資産)を使って、憲法改正に道筋を付けるとしても、それだけで資産は食いつぶされてしまう。本来であれば、農業や医療や教育など、多くのセクターで抜本的改革が必要であるが、高度に大衆化していて、毎月のように支持率調査が行われる昨今、敵を作る改革をいくつも実行するのは容易ではない。もちろん、インパクトは異なるが、例えば、憲法より先に農業改革に本腰をいれる場合でも、それはそれでかなりの「資産」を食いつぶす。

政治・行政のこれまでの常識から考えると「とてつもない」改革であっても、部分的変革では、もはや日本は持たない。農業従事者の高齢化が進み、農地は荒廃し、人口は減少し、各種後継者不足等で地方は疲弊・衰退し、医療費は天井知らずで、財政悪化にはなかなか歯止めがかからない。

アベノミクス(端的には金融緩和)の効力にも陰りが見える中、このままでは日本の先行きが暗いことは、段々と、多くの国民の目に明らかになりつつあり、さりとて、「安倍長期政権」という選択肢以上の有効な策が現実的には持てない中(このタイミングでの民進党政権などは最悪であろう)、本質的には「解なし」と言った状況である。

そうなって欲しいわけではないが、何らかの形でやってくる「破綻」を、少しでも引き延ばしつつ、基本的には座して待つしかない気もする。
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冒頭のマックス・ヴェーバーの至言のとおり、少しずつしか動かない政治の本質を理解しつつも、物事が大きく動くかもしれないとの期待をもって、青山社中の起業以来、約5年にわたって、与野党を問わず、次世代を創って行く方向で頑張られている様々な政治家・政党(グループ)を対象に政策作りをしてきた。

2年半前に国会の参考人を務めた公務員制度改革のように、私自身が表に出ることもあれば、裏方に回って、大胆な改革案を、主要政党の公約その他に盛り込もうとしたり、政権要路と議論しながら実現しようとしたりしたこともある。

ただ、何十ページにもわたってまとめた「大胆な出生率向上策」にしても、10年近く前から温め続けている「霞が関構造改革策」にしても、クライアントからフィーをいただいて政策を提供している立場では、本質的には「じわっじわっと穴をくり貫いていく」端緒につくことすらできない。失礼を承知で言えば、いわんや陣笠議員をや、であり、政治に打って出るのもあまり意味がない。

最近では、クライアントから自由になって、現役官僚や官僚OBの青山社中リーダー塾生などと、新たな政策提言型のシンクタンク・研究所を創設することなどを夢見て、あれこれ議論はしているが、悲しいことに、先立つものがない。

私に20億円、せめて10億円があれば、例えば、活きの良い若手の官僚を5~10人ほども研究員として雇って政策曼荼羅(マンダラ)図を策定した上で、総合性と個別感を持った政策パッケージを作り、来るべき乱世に備えることが出来るのだが、現実は甘くない。

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各国民の意識がだんだんと内に向く → 戦争のような極端な国家間対立と破裂 → 国際的な協調路線 → 各国民の意識がだんだんと内に向く・・・・、という繰り返しで世界史が巡る中、イギリスのEU離脱、トランプ現象(米国の利益が損なわれいてると極端に強調)、中国の海洋を中心とした対外強硬策など、各国の「内向き」状況が、最近、明白になってきている。

国際的な趨勢と軌を一にする形で、日本国民の「内向き」化も、だんだん顕著になってきていると個人的には感じているが、「破綻」を迎える前に、或いは、せめてその直後にでも、「大胆な抜本的解決策」を提示しつつ実現に動いて、マックス・ヴェーバーの箴言にチャレンジしてみたいと思う昨今である。「硬い板」を叩き割らないと、日本の未来はないと思う。

筆頭代表・CEO
朝比奈 一郎
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<1> 青山社中フォーラム Vol.32
厚生労働大臣 塩崎恭久氏による講演会
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厚生労働大臣 衆議院議員(愛媛1区選出)の塩崎恭久氏が青山社中フォーラムに登壇します。

塩崎氏は厚生労働大臣というリーダーの立場から、医療、社会保障、働き方改革、経済などの諸分野における課題に対する政策提言など様々なご活動をされています。

今回は、特に「少子高齢化を迎えている日本が進むべき道」について中心に講演頂きます。

日本の未来を自ら作り上げていくために、本講演が皆様のアクションを促す一助となれば幸いです。奮ってご参加ください。

【日時】2016年7月28日(木)19:30 – 21:00

【会場】「匠ソホラ」 6階 セミナースペース
東京都港区赤坂8-5-32 田中駒ビル6F
東京メトロ銀座線・半蔵門線、大江戸線 青山一丁目駅 A4南口より徒歩3分
URL:http://sohora.jp/aoyama/

【申し込みページ】
http://ptix.co/297zbXn

【参加費】
2,500円 (青山社中後援隊は1,500円、別途割引コード送付)
※7/27(水)以降のキャンセルは返金不可となります。コンビニ・ATMでチケットを購入し、キャンセルした場合は500円の返金手数料が発生します。

【内容】
19:00 受付開始
19:30 開会
19:35 講演
20:30 質疑応答
21:00 閉会

【講演者プロフィール】
昭和50年 東京大学教養学部教養学科アメリカ科卒業
      日本銀行入行
昭和57年 ハーバード大学行政学大学院修了(行政学修士) 平成 5年 衆議院議員初当選(旧愛媛1区)
平成 7年 参議院議員当選(愛媛選挙区)
平成 9年 大蔵政務次官
平成12年 衆議院議員当選(愛媛1区)、以後連続6回当選 平成16年 衆議院法務委員長
平成17年 外務副大臣
平成18年 内閣官房長官・拉致問題担当大臣
平成26年 厚生労働大臣
平成26年 衆議院議員当選(現在衆7、参1)
平成26年 厚生労働大臣(再任)

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<2> G1東松龍盛塾 第2期生 募集中
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地域から日本を変えていく政治家やパブリックリーダーを育てることを目的とした「G1東松龍盛塾」が第2期生を募集しています。

「G1東松龍盛塾」は青山社中、グロービス、龍馬プロジェクト、G1サミットの各組織の得意分野を十分に活用しながら、『行動する軸』と『政策を作り動かす実力』をもった政治家を育むためのカリキュラムとコンテンツづくりを追求し、他にはない学びのプログラムを提供します。

主に自治体議員や政治志願者を対象として、プログラムを7月16~18日の3日間に渡りグロービス東京校にて提供します。

詳細は下記URLをご覧ください。
http://www.ryouma-project.com/g1/

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<3> 青山社中フォーラムVo.31 開催のご報告
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グロービス代表の堀義人さんをお招きし、ご著書「日本を動かす『100の行動』」
をテーマにご講演頂きました。
 http://aoyamashachu.com/news/2016/2643.html

日本を動かす「100の行動」を発刊されるまでのストーリーや、
ビジョン・リーダー・世論など、日本に変革を起こすための要素について
具体的にお話し頂きました。

次回の青山社中フォーラムは7/28の開催を予定しております。

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<4> 青山社中リーダー塾通信
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*青山社中リーダー塾 4期生 冨樫さやか
現在は株式会社NTTデータで電力関連のシステム開発に携わっています。「日本発のソリューションを世界標準にする」ことを目標に掲げ邁進していますが、目の前の仕事に忙殺されて、気がつけば世間の出来事から置いてけぼりになっていました。このままでは良くないと一歩を踏み出したのが、青山社中リーダ塾との出会いです。

座学編の一年は学びの全てが新鮮でした。工学系の大学院を卒業し、そのままSE…といわゆる理系のキャリアを歩んできたので、カリキュラムで見聞きする歴史、思想、哲学、文明論などはもちろんのこと、塾頭や塾生と議論する行為が貴重な学びの時でした。研究室や職場での議論はある程度皆が納得する答えの出る(を出すための)ものがほとんどであって、己の思想・価値観に基づいて意見を交わし、互いの考えをより深めていくための議論というのはあまりない経験だったのです。今は実践編に入り、リーダ塾では日本と世界をつなぐ会と政策研究会で活動する中で、社会課題に対する基礎的な知識の不足や、己が置かれている立場でしか物事が見えない視野の狭さを痛感しています。

突然話が変わりますが、この執筆時点では、第24回参議院議員通常選挙を2週間後に控えています。選挙という、国の形を決める大事な一票を投じるこのときに、いつも考えることがあります。果たしてこの一票はベストな選択をできたと言えるのか、ということです。今でこそ折につけて社会課題を考え、政治家等の政治活動を注視するようになりましたが、まだまだ、必要な正しい情報を収集し、考えあぐねいた上での一票ではないと感じています。
国の形を決めるものが、一部の人間のものであってはならない一方で、幅広い人々の判断に委ねられるとき、衆愚政治となる危険を孕むことは、皆思うところだと思いますが、大河の一滴だとしても、自分がその一因を担っているのではないかと自省する次第です。

つい先日の英国の国民投票は、EU離脱という結果になりました。これについてポピュリズムに走りすぎたという指摘があります。開票後に英国で2番目に多かった検索キーワードが”What
is the EU?”だったことから、EUが何かを知らぬまま投票した人が多数いるのだと揶揄する声もあります。
必要な正しい情報を的確に集め利用するという、情報リテラシーの向上は必要です。しかし現代人の一日の情報量は江戸時代の人の一生分だと言われるこの世の中においては、いつの間にか偏った情報取捨選択をし、一時の感情に流されたり、勘に頼った判断をしてしまうのではないでしょうか。情報リテラシーを向上するだけではなく、常日頃から己の思想・価値観を磨き、考えを深めておくことで、いざという時、僅かな時間・情報の中でベターな決断ができるのだと思います。そこで求められるのが「土足で踏み込む議論」だと考えるようになりました。他者の知識を取り込み、己の価値観を広げ、より深く自問自答をする、醸成の場として。

しかし”議論”はすればいいというものではなく、一方的に意見を述べたり、易きに流れ似た考えを持つもの同士だけで議論を重ねたり、ましてや議論の中で感情の対立をして溝を深めるようなことがあってはなりません。ポピュリズムを招かない実のある議論には、一種の理性が必要ですが、これが経験によるものかノウハウ学習で身につくものか分かりません。いずれにしても、現在日本は実のある議論ができる環境・人が少ないように思います(私は青山社中リーダ塾という出会いを得ましたが)。
明治維新前後、活躍した多くの日本人は若者でしたが、自由闊達に議論し切磋琢磨していたことが、その原動力の一つだったのであれば、今一度議論できる文化を呼び起こしたいものだと思います。

*NPO法人「地域から国を変える会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
ホームページhttp://chiikikara.org

【三条チーム】
「滞在型職業訓練施設・しただ塾」が10月に本開講します。インバウンド需要が高まる中、観光関連サービス業への就職や地域の観光資源を活かした起業などを目指す方に最適な滞在型職業訓練施設です。市内経営者からの講話や観光資源の発掘についてのプログラムが日々実施されます。8月21日(日)14:00~ 東京で、8月27日(土)14:00~三条で説明会が開催されます。詳しくは、三条市役所 市民部地域経営課(TEL 0256-34-5511)までお問い合わせください。

【沼田チーム】
群馬県沼田市の起業家養成塾「第二期ぬまた起業塾」には、今年も多くの方にご応募いただき、面接を経まして、15名の方が入塾されることになりました。今年からは新たに「ショップ経営コース」を設置し、市街地の空き家対策制度と連携しつつ、まちなかの活性にも繋げていきたいと考えてます。

*一般社団法人「日本と世界をつなぐ会」(青山社中リーダー塾生を中心に立ち上げた団体です)
燕三条貿易振興会第一弾の事業となるベトナムミッション(7月19日~23日)の企画準備のため、ベトナムのホーチミンを訪問しました。燕三条地域からは7社の企業や三条市長、三条商工会議所会頭などを含め計14名が参加する予定です。ホテルニッコーサイゴンにて開催するビジネスマッチング商談会がより効果的なものになるよう、7社の企業の商品に即したベトナムの卸売業者・小売業者の集客活動を行っています。(参考:http://goo.gl/PZdIo3

また、同時期に香港にも訪問し、JETROや各種商社から香港および中国内陸部への販路開拓の可能性について、市場の特徴や商流などについて、ヒアリング・意見交換を行いました。今後、中国内陸部の中心都市である成都や重慶などへの視察を予定しています。

日本の地域の産品を海外へ展開する一つのモデルを作れるよう、引き続き活動を進めて参ります。

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<5>青山社中のメディア掲載・講演等のお知らせ
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<6月の実績>
・6/1 「PROISM」にてインタビュー記事が掲載 (朝比奈)
http://aoyamashachu.com/news/2016/2667.html

・6/10 一般社団法人日本フードサービス協会にて講演 (朝比奈)
題名:イノベーションを起こせるリーダーになるためには ~これからのリーダーに求められる人材要件とは~
http://aoyamashachu.com/news/2016/2661.html

・6/21 フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」にて記事掲載 (朝比奈)
題名:賢人たちが語る「3、4、5」 ~選挙前、日本の将来を見通す視座学ぼう~
http://aoyamashachu.com/news/2016/2648.html

<7月の予定>
・フジサンケイビジネスアイ「高論卓説」7月号にて記事掲載 (朝比奈)
・7/5  土屋人間社長塾OB会にて講演予定 (朝比奈)